ここから本文です

『なつぞら』の未来であり「ジブリ」の原点。『ホルスの大冒険』を知るとドラマは更に面白い?

7/20(土) 7:30配信

マグミクス

「なつ」のモデル・奥山さんも情熱注いだ、高畑&宮崎コンビの代表作

 広瀬すず主演のNHK連続テレビ小説『なつぞら』では、主人公・奥原なつ(広瀬)が黎明期にあった国産アニメーションの製作現場へと飛び込み、アニメーターとして、ひとりの女性として成長していく姿が描かれています。ドラマはいよいよ盛り上がり、高畑勲監督や宮崎駿監督の若き日を彷彿させる個性的メンバーが、なつと一緒に新しいアニメづくりに情熱を燃やしています。

【画像】宮崎駿監督の手書きレイアウトも。 レジェンドによる一級資料(5枚)

『なつぞら』でアニメーションの時代考証を担当しているのが小田部羊一氏。高畑勲監督や宮崎駿監督らとともに「東映動画(現・東映アニメーション)」や「ズイヨー映像(後の日本アニメーション)」で活躍した伝説のアニメーターです。

 そして、『なつぞら』の主人公・なつの人物造形に大きな影響を与えているのは、小田部氏の伴侶だった奥山玲子さんです。奥山さんは2007年に亡くなりましたが、東映動画時代やその後も、なつと同様にさまざまな作品に参加しています。

 また『なつぞら』で、中川大志演じる理論派の演出家「坂場」は高畑監督、そして染谷将太演じるアイデアマンの後輩アニメーター「神地」は宮崎監督がモデルのようです。

 後に「スタジオジブリ」を立ち上げることになる高畑&宮崎コンビ、そして小田部&奥山夫婦らが若き情熱を注いだのが、1968年に劇場公開された『太陽の王子 ホルスの大冒険』でした。製作期間3年、製作費1億3000万円と、当時としては異例の大作アニメとして完成したのです。

 大自然の中で少年ホルスは唯一の家族だった父親を亡くし、仲間を求めて旅へ出ます。旅先で悪魔グルンワルドの手先を倒したホルスは、村人たちから歓迎されることに。やがて、ホルスはヒルダという謎めいた少女と出会うのですが、そこからは子ども向けのアニメ作品とは思えないほど、意外な展開を見せていくことになります。

影のあるヒロイン、「ヒルダ」に魅せられたのは……?

 ヒルダは優しい心の持ち主ですが、一方では美しい歌声で村人たちの労働意欲を奪ってしまいます。実は、ヒルダは悪魔グルンワルドと内通していて、邪魔者のホルスを村から追い出すために、秘密工作員としてホルスに近づいたのです。

 2004年に刊行された『日本のアニメーションを築いた人々』(叶精二著、若草書房)によると、同作品では宮崎駿氏が最も多くの原画を手掛けましたが、次いで奥山さんの原画量が多く、その担当シーンは全編にわたっていたことが語られています。ヒルダがホルスを“迷いの森”へ突き落とすシーンなども、奥山さんが担当したそうです。

 影のあるヒルダは劇場公開時から話題を呼び、男性ファンを魅了しました。のちに高畑&宮崎コンビが手がけたTVアニメ『母をたずねて三千里』に登場する、人形劇団一座の次女フィオリーナなども、所在なさげな憂いのある表情を浮かべていました。男が放っておけない薄幸系の美少女キャラクターです。宮崎作品のヒロインのルーツを、ヒルダの中に見ることができるのです。

1/2ページ

最終更新:7/22(月) 14:25
マグミクス

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事