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【秋田】明桜が秋田中央に延長11回、サヨナラ負け…中学時に1年半も試合に出られなかった加藤主将の思いとは?

7/21(日) 21:04配信

スポーツ報知

 ◆第101回全国高校野球選手権秋田大会 ▽決勝 秋田中央5―4明桜(21日、こまちスタジアム)

 昨夏に続き、2年連続で秋田大会準優勝に終わった明桜。しかし、主将の加藤洋平捕手(3年)に涙はなかった。約80人の野球部員を従えた加藤主将は試合後、保護者や関係者らと球場の正面出口に集まった。全員で秋田中央ナインを出迎えると、割れんばかりの拍手でたたえた。加藤主将は笑顔を見せながら「秋田中央には自分たちの分も甲子園で暴れて欲しいです」と語った。

 チームは計10安打を放つも、4―4で迎えた9回2死満塁で無得点に終わるなど、再三の好機を生かせなかった。決勝までの4試合で17打数9安打と勝負強さを発揮していた加藤主将は、決勝では3打数無安打。3四球と、大事な場面では勝負すらしてもらえなかった。それでも、最後まで笑顔を絶やさなかった。

 昨夏の秋田大会決勝、吉田輝星投手(現日本ハム)率いる金足農に0―2で敗れた。加藤は「2番・捕手」で先発したが、4打数無安打に終わった。「悔しい思いを1年背負ってきた」。秋以降、練習中はユニホームのズボンのポケットに、県準優勝の銀メダルをしのばせていたという。あの悔しさだけは、絶対に忘れない―。強い思いを胸に、厳しい練習を積み重ねてきた。

 その金足農は昨夏の甲子園で準優勝し「雑草軍団」とも呼ばれた。だが加藤主将もまた「雑草魂」で、はい上がった。岡山・福浜中1年秋時に、少年野球チームの岡山メッツから赤磐ボーイズへと移籍した。しかし父の洋さん(48)によると「登録書類の不備という理由で」、移籍後から同中卒業までの約1年半、たったの1試合も公式戦には出場できなかった。

 自分を見失いそうになった日もある。だが小学校からの夢である「甲子園出場」を果たすため、前を向いた。練習では全精力を傾け、誰より声を出した。どんな時も笑顔を心がけた。そんなひたむきな姿が偶然、練習を見学した明桜・井元俊秀副校長(83)の目に留まった。同副校長は「常に全力でチームのために、という子だった。それなのに、聞いたら公式戦には出られないという。絶対に伸びると思いました」と明かした。

 古里・岡山を離れて明桜に入学。秋田には親戚もいない。入学式が終わると、弟・翔平くん(6)を抱きしめ泣きじゃくったという。最愛の家族と離れて暮らす毎日。さみしさはあったが、野球への情熱を失った日はない。「試合に出られることの喜び」を胸に、戦い続けた。周りには、いつも支えてくれる仲間がいた。

 昨夏4番だった山口航輝外野手(現ロッテ)から主将を受け継いだ。山口が卒業する際には「最高の景色を見てこい」と書かれた色紙を手渡された。今夏、その夢は実現しなかったが加藤主将は「僕の野球はこれで終わりではない。大学に行って、プロになりたい。(輿石)監督には感謝しかないです」と笑顔で語った。「最高の景色」を見るための挑戦は、まだ始まったばかりだ。

最終更新:7/22(月) 20:47
スポーツ報知

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