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イラン危機の教訓、ロシアや中国の仕掛ける「ハイブリッド戦争」対策不足

7/21(日) 11:05配信

The Telegraph

【記者:Dominic Nicholls】
 今日のイラン危機は、ペルシャ湾岸国だけではなく全世界に教訓を示している。

 イラン危機の現状をみて、ロシアや中国といった国は、西側がハイブリッド戦争(軍事力と政治的効果を狙った市民活動など各種手法を組み合わせた戦争)に対する答えを持っていないという自分たちの考えが正しかったと確信するだろう。

 イラン海軍の軍事力は非常に弱く、軍事作戦が展開されれば、バーレーンを拠点とする米海軍第5艦隊に粉砕されるだろう。

 そのためイランは代わりに、ハードパワーがあまり問われないハイブリッド戦争を展開している。これにより、西側がいかにハイブリッド戦争に対する準備をしていないかが浮き彫りになっている。

 ハイブリッド戦争は、在来型・非在来型軍事手段と偽情報、名誉毀損(きそん)、経済、ソーシャルメディアの操作、宗教やその他政府が関連する活動の利用などの手段を組み合わせ、「伝統的」戦争を行うことなく敵を弱体化させることを目的としている。

 現在進行しているイラン危機は、ロシアや中国が被害を被ることなく、いかに西側のハードパワーに対抗するかということをみる試験台だといえる。

 ハイブリッド戦争の提案者らは西側と「戦わない」ことを選んだが、これは賢明な判断であり、堅実な軍事戦略だ。

 イラン、ロシア、そして最近では中国も、伝統的軍事力と深く結びついた自由民主主義が築き上げた構造を破壊することに非常にたけている。英議員ボブ・シーリー氏は「これらの国は以前に比べ、慣習にとらわれない考え方をするようになっている」と警告する。

 英国はイランへの経済制裁について、政治的には欧州連合(EU)を支持する一方、軍事的には米国と緊密な関係を保とうとしている。「英国は戦略的に苦境に陥っている」とシーリー氏は話す。

 イランは自分たちの苦境にできる限り外交的関心を集めたいと考えており、それを実現するためには中東の安定性を損なうこともするだろう。米国もしくは英国が軍事行動を起こせば、イランはそれを可能な限り迅速に国際問題化する可能性がある。

 イランの政治は唯一の階層的構造があるわけではなく、対抗する勢力が複数存在している。「代理戦争や非対称戦争についてやり取りする時、必ずしもイラン議会と交渉するとは限らない。むしろ政権とは距離を置くイラン革命防衛隊を相手にすることになる」とシーリー氏は説明する。

 英国防参謀総長を務めたことがあるデビッド・リチャーズ氏は、これらはすべて、ブレグジット後の大規模戦略を策定する必要があることを示していると指摘する。「英国は種々の危険や危機に見舞われ揺れており、自らが取るべき世界的な戦略や目的を誰も実際には理解していない」

 リチャーズ氏はペルシャ湾もしくはそれ以外の地域における問題で「意図されたものかどうかにかかわらず、新首相は今後半年間、試されることになるだろう」と語った。

「大部分(の政治家)が、そのような試練に対する準備をまったくしていないことを懸念している」【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:7/21(日) 11:05
The Telegraph

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