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会社を辞める本当の理由は? 「離職招く要因」見つける新サービス

7/22(月) 8:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

 日本でも雇用の流動性が高まりつつある今、企業の大きな課題となっているのが「離職」だ。転職の理由として「もっとやりがいのある仕事を」「もっと高い評価を得たい」などを挙げる退職者が多いことから、「優秀な社員がモチベーションを維持する仕組み」を模索する動きもよく見られる。

【画像】「離職につながる要因」の分析結果の一例

 しかし、離職要因の大部分は「やりがい」ではない。家庭との両立や自身の健康、人間関係など、より基本的な問題を抱えて会社を辞めてしまうケースのほうが多い。こういった要因を「ハイジーンファクター」という。

 ハイジーンファクターを分かりやすく示すと、心理学分野で著名なマズローの5段階欲求「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」のうち、高次的欲求を除く「生理的」「安全」「社会的」欲求に関わる要因。つまり、健康や生活の安定、家庭との両立、同僚との人間関係などの欲求が満たされないことが理由となる離職だ。

 厚生労働省のデータによると、自己都合退職では、離職理由の80%がハイジーンファクターにによるものだという。個々の業務内容の見直しや評価制度なども重要だが、もっと手前にある、環境整備や制度の充実などに投資することも、離職防止のために必要だといえる。

 とはいえ、ハイジーンファクターに関わる要素は多岐にわたる。「どこに問題があるのか分からない」状態も珍しくないだろう。

 このハイジーンファクター“だけ”に特化したサービスを打ち出したのが、プチ社食サービス「オフィスおかん」を展開するOKANだ。アンケート調査によって“離職者が出る可能性が高い”要因を明らかにして、対策の必要がある要素を可視化するシステムを提供する。

ハイジーンファクターを12要素に分類

 新サービスの発表会で、OKANの沢木恵太社長は「“やりがい”などの高次的欲求を満たすことに偏重せず、根底にある基本的欲求も含めた両方に投資が必要。一方で、人によって重視する要素は異なるため、難しいことでもある」と指摘した。

 ただ、離職理由の大部分をハイジーンファクターが占めている事実から、同社は「離職対策はハイジーンファクターを対象に実施した方が効果的」と判断。「“働き続けたい人が働けなくなる”ことを防ぐ」(沢木社長)ためのサービス開発に着手した。

 同社はオフィスおかんの導入企業を通して、「離職」に対する人事部門の悩みを聞いてきたという。「離職の原因が分からず対策が打てない」「部署ごと、店舗ごとの対策ができない」「従業員満足度は高いはずなのに突然の離職が発生する」「施策の効果が分からない」――。こうした問題の解決をサポートするツールとして打ち出すのが、ハイジーンファクターに特化した調査・分析サービス「ハイジ」だ。

 ハイジでは、ハイジーンファクターを具体的に落とし込んだ項目として、以下の12要素を提示。

・執務環境
・適正な労働時間
・フィジカルヘルス
・リフレッシュ環境
・休暇のとりやすさ
・メンタルヘルス
・チームワーク
・多様な働き方に関する制度の充実
・家庭やプライベートの充実
・社内の雰囲気
・多様な働き方に関する周囲の理解
・育児家事・介護など生活負担の軽減

 従業員が月1回のアンケート調査に回答し、その結果をもとに、12要素それぞれの状態を数値化する。部署や拠点、年齢などに応じて分析した結果も表示できる。数値が高いほど、手を打つ優先度が高い要素となる。

 正式リリース前のβ版では、50社以上から導入の問い合わせがあり、離職率が高いとされる小売・サービス業が約20%、製造業が約15%を占めたという。β版の導入結果は、企業によって差が表れた。離職防止策が比較的うまくいっている企業では緊急性の高い項目はなく、要経過観察が1項目だった一方、離職の増加に悩む企業では2項目で緊急性が高く、7項目が要経過観察となった。

 利用料金は1人あたり月額500円(基本プラン)。店舗や拠点の数が多い小売・サービス業と製造業を主なターゲットとし、2020年7月までに160社の導入を目指すという。

 仕事をする上で重要視する要素や欠かせない条件は人によって異なるが、それに対して自社の傾向を分析し、より働きやすくするための対策を講じることは、人材不足や働き方改革が経営課題となる中で有効な取り組みだろう。OKANのように、HRの分野で新たな課題に注目する動きはまだまだ広がりそうだ。

ITmedia ビジネスオンライン

最終更新:7/22(月) 8:00
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