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大船渡・佐々木「12回194球」完投勝利も…日米スカウトの複雑胸中

7/22(月) 12:00配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 リミッターを外した。

 21日、大船渡の佐々木朗希(3年)が、盛岡四との岩手大会4回戦に先発。八回に大谷翔平(現エンゼルス)と並ぶ高校生最速タイの160キロをマークするなど、延長12回194球をひとりで投げ抜いた。21奪三振の快投で、準々決勝(22日)にコマを進めた佐々木。延長十二回には決勝2ランを放ち、目からは涙がこぼれた。

「負けたら終わり。すごい重圧とかがあった。その中で勝ちきることができて、少し良かったなと思いました」

 延長に入ると肩で息をするようになった。今季最多となる球数を目いっぱいの力を振り絞って投げた。相手の盛岡四は春の準優勝校。21三振を奪いながらも、150キロ超の速球にバットを当てられたり、変化球を悠然と見送られたりもした。2―0とリードして迎えた九回には同点に追いつかれた。

 国保監督によれば、佐々木が入学した就任時から、夏の3回戦以降の「5日間で4試合」をいかに乗り切るかを考えていたという。佐々木の出力をどのタイミングで上げるのか。それがこの盛岡四戦だったということになる。3年生になって体が出来上がってきたことも後押しした。

 しかし、そんな佐々木の激投に複雑な心境だったのは、早朝から席取りに奔走した日米球団のスカウトだ。

■球数制限反対派に勢い

 日本ハムが今秋ドラフトでの1位指名を公言している右腕は、多くの球団が1位指名を検討。この日は、巨人、阪神など日米8球団のスカウトが視察に訪れた。さるパ球団のスカウトは「194球は明らかに投げすぎです」と、こう言った。

「佐々木の甲子園への強い思いは理解はしている。ただ、今年の最多投球数は6月2日の佐久長聖戦での149球。大船渡は医師からの『大人の体になり切っていない』との診断を受け、佐々木の肩肘に負担がかからないように、大事に育ててきた。佐々木くん自身も、球数や投球強度を抑え、制球重視で打ち取る術を身に付けようとしていました。が、負ければ終わりの3年夏の大会で大接戦になれば、いくら佐々木の将来を大事にしている国保監督とて、マウンドから降ろすことはできません。仮に降板させようとしたところで、佐々木自身が納得しませんよ。目いっぱいの力でこれほどまでの球数を投げたことで、肩肘への負担や反動が心配です」

 さらに、この佐々木の194球が昨今の高校野球界で議論になっている球数制限問題に影響する可能性がある。

 先月、高野連が設けた「投手の障害予防に関する有識者会議」の第2回会合で、全国大会に限り、大会終盤の数日間など一定の期間内において、総投球数に制限を設ける方向になった。だが、部員数が少ない公立校や、投げ込みを推奨する一部の強豪私立からは反対の声が根強い。球数制限賛成派のひとりが警鐘を鳴らす。

「あの大船渡でさえ、194球も投げさせざるを得ないとなれば、反対派が勢いづく恐れがある。球数を制限すれば、二度と『吉田輝星』は出てこないし、公立校でプレーする佐々木が甲子園に出場することもままならない、とね。でも、投げすぎで佐々木が壊れたら、誰が責任を取るのか。日程の問題を含め、本気で考える時期に来ていると思う」

 佐々木が今回の予選3試合ですでに計306球を投じていることで、さまざまな波紋が生じそうだ。

最終更新:7/22(月) 14:05
日刊ゲンダイDIGITAL

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