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短時間パートだけ、今年から「手当カット」 これってあり?

7/22(月) 10:04配信

弁護士ドットコム

フルタイムと短時間パートで手当に差をつけて良いのでしょうか。

短時間パートで働いている女性が弁護士ドットコムのLINEに「パート職員にだけ手当が付いていませんでした」と情報を寄せました。

女性は特別養護老人ホームで週4回、8時間勤務をしています。年末年始などの連休では、特別な手当がつきます。たとえば毎年12月29日~1月3日の年末年始には、2000円の手当がありました。

今年も例年通り手当があると事前に発表があったものの、ふたを開けてみると、短時間パート職員にだけ付いていませんでした。 施設長は、短時間パート職員に「早番日勤遅番をしているフルタイム職員と差をつけるために、手当てを無くした」と説明したそうです。

女性は「こちらから確認して初めて答えてくれたので、聞かなかったら答えなかったのかな?という感じです。 泣き寝入りしないといけないものなのかな…と思った出来事でした」と打ち明けます。

フルタイムとパートで手当てに差をつけることは問題ではないのでしょうか。山口毅大弁護士に聞きました。

●違法な賃金減額に当たる

「使用者と短時間パート職員との間で、手当を無くす旨の合意がなく、就業規則等の変更がないのにもかかわらず、使用者が一方的に短時間パート職員の手当を無くしている以上、違法な賃金減額に当たります。

短時間パート職員は、使用者に対し、従前の労働契約に基づき、手当分の金銭を請求することができます」

●もともと差があった場合は?

もともと差があった場合は、どうなりますか。

「問題になる場合もあれば、問題にならない場合もあります。

2014年に改正された短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)8条では、フルタイムとパートの待遇に差をつける場合は、業務内容やその責任の程度(以下「職務の内容」といいます。)、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して『不合理と認められるものであってはならない』と規定されています」

どのような場合に不合理と認められるのでしょうか。

「手当の性質・目的が何かを確認する必要があります。

例えば、『通勤手当』や『給食手当』であった場合、これらは、職務の内容や職務の内容及び配置変更の範囲とは無関係に、全ての労働者にその必要性が認められる性質の手当であるので、その相違は『不合理である』と評価されるものと考えられます。

『皆勤手当』であった場合は、皆勤を奨励する趣旨で支給されるものであると考えられますが、出勤する者を確保することの必要性は、職務の内容によって変わるものではありませんので、その相違は『不合理である』と評価されるものと考えられます。

このように、短時間労働者の待遇と通常の労働者の待遇の相違が不合理なものと認められれば、問題があるということになり、短時間労働者は、使用者に対し、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。場合によっては、通常の労働者の賃金との差額分を請求することができる場合もあります。

なお、2018年にパートタイム労働法は改正され、「パートタイム・有期雇用労働法」(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)となりました。

改正のポイントは、パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者について、統一的な均衡・均等待遇ルールとなったことです。

この法律の8条では、個々の待遇ごとに、待遇の性質や目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべきということを明確化しています。法律の施行日は2020年4月1日です(中小企業は2021年4月1日)」

【取材協力弁護士】
山口 毅大(やまぐち・たかひろ)弁護士
神奈川県弁護士会所属。東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻修了。首都圏建設アスベスト訴訟(神奈川ルート)、日産自動車不当労働行為救済申立事件、労災事件等、労働者側の労働事件や大気汚染公害全国調停事件に取り組みながら、相続、不動産事件等、幅広く一般民事を扱う。
事務所名:川崎合同法律事務所
事務所URL:http://www.kawagou.org/

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:7/22(月) 10:04
弁護士ドットコム

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