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「ゴールはあの舞台」“激震”乗り越えた東京Vユース、恩師に見せた7発圧勝劇

7/22(月) 22:32配信

ゲキサカ

[7.22 日本クラブユース選手権U-18大会C組第2節 東京Vユース 7-0 鳥取U-18 前橋フC]

 日本クラブユース選手権(U-18)大会は22日、第2節が行われ、東京ヴェルディユース(関東3)がガイナーレ鳥取U-18(中国3)に7-0で大勝した。トップチームの永井秀樹監督が見守る中、無得点だった開幕節の鬱憤を晴らすゴールラッシュを披露。24日の次節・仙台ユース戦に勝てば自力での決勝トーナメント進出が決まる。

 今大会の開幕からわずか4日前、東京Vユースには激震が走っていた。2017年から指揮を執っていた永井監督がトップチームに引き抜かれ、大舞台を目前に体制変更が行われたのだ。S級ライセンスの交付直後とあり、既定路線であったことも推測されるが、選手たちにとっては急転直下の出来事だった。

「ミーティングで涙ながらに……という選手もいて、それを目の当たりにすればするほど、なんとかこの子たちにいいサポートをしなきゃと思いました」。急遽、今大会で代役を務めることになった元日テレ・ベレーザ指揮官の寺谷真弓監督は選手たちの動揺を素直に認める。

 なにせ現在の3年生は、永井前監督が初めて3年間かけて指導してきた選手たち。「やることを変えずにやろうというのがテーマ。スタッフの配置も大きく変えずにやるという選択をした」(寺谷監督)ため、積み上げてきたポゼッションスタイルに変化はないが、ピッチ上への影響は避けられない。

 そうして迎えた初戦は大分U-18に0-1で敗れた。指揮官が「思うような形が出てこなかった中でもチャンスはいくつかあったけど、単純にシュート数が少なかった」と振り返ったように、公式記録上のシュート数はわずか5本。「全部が決定機だった」とはいえ、課題は明白だった。

 第2節でも敗れればグループリーグ敗退の可能性もある。そこでチームは一つのミッションを共有していた。「最低でも前半7本、後半7本はシュートを打とう」(寺谷監督)。グループリーグは前後半35分ハーフで行われているため、5分に1本はシュートを狙おうという計算だ。

 そうした意識付けは『7ゴール』という結果となって表れた。試合は5-3-1-1で構える鳥取に対し、6トップ気味に前線に張り出す東京Vが一方的に押し込む構図。東京Vは序盤こそバウンドが安定しないピッチに苦しむ場面もあったが、まずは左サイドバックDF遠藤海斗(3年)の個人技がこじ開けた。

 前半19分、FW松橋優安(3年)のパスから遠藤が左サイドを駆け上がると、折り返しにMF天満恭平(3年)がワンタッチで合わせて先制。さらに同24分、最終ラインのDF馬場 晴也(3年)を起点とした崩しで再び左サイドを遠藤が破り、クロスは鳥取GK内田大貴(3年)に阻まれたが、こぼれ球をMF石浦大雅(3年)が冷静に流し込んだ。

 なおも東京Vは止まらない。相手が左サイドを警戒してくると見るや、今度は中央のスペースを有効に支配。前半30分、右サイドでタメを作ったMF阿野真拓(1年)のクロスに松橋が左足で合わせて3点目。同34分にはDF藤田譲瑠チマ(3年)のボール奪取から中央を崩し、石浦のパスから阿野が決めて前半に4点のリードを奪った。

 前線4枚がそろい踏みをしての4得点。加えて前半シュート数8本もミッションクリアだ。しかし、選手たちは派手に喜ぶ様子を見せなかった。「昨日の仙台が3-1だったので、最低限それより多く取ろうと目指していた」(寺谷監督)。最終節、順位を争う仙台との直接対決を見越し、得失点差を意識していたようだ。

 そのため、ハーフタイムが明けても勢いを止めるつもりはなかった。積極的な選手交代の影響でカウンターを受ける回数は増えたが、その裏を突いた後半22分、阿野のパスから松橋が2点目を決めて5点差。同28分には阿野も2点目を決めると、アディショナルタイムには途中出場FW松井陽斗(3年)が華麗なワンツーから流し込み、攻め続けた試合を締めた。

 この日はトップチームの練習がオフだったため、Jリーグ初陣を劇的な逆転勝利で飾ったばかりの永井前監督も観戦に訪れていた。試合前には「全国の人たちに自分たちのサッカーを発表しよう」と普段どおりの発破をかけ、試合後には選手一人一人に細かい指導も行うなど、なおも続いている師弟関係をうかがわせた。

 これもトップチームとアカデミーが進めていくべき連携の一環。そうした繋がりは選手たちが目指す“ゴール”への意識にも大きな影響を及ぼしているようだ。

「大会に向けては勝つことが大事だし、目標は優勝だけど、ゴールはトップの試合で活躍すること。今回、永井さんが監督になって、それをより明確に描けるようになったと思う」と寺谷監督は語る。

 実際、永井監督のJリーグ初陣ではMF藤本寛也、MF森田晃樹、MF山本理仁といった教え子たちが存在感を発揮。この日は同じ高校3年生世代の山本も観戦していたが、ユースの選手たちも後に続こうという気概にあふれている。

「保坂さん(保坂信之コーチ)が『お前たちも来週はあそこに出ろと言われたら出られるチャンスがあるし、そうなった時に100%のプレーができる準備をしないといけない。ゴールはあの舞台だ』と話していた。大会ではチームとしてまとまって勝つ。ただ、ゴールはトップチームで勝つことです」(寺谷監督)。

 最終節は引き分け以下で敗退が決定。しかし、これまで永井監督が掲げてきた『圧倒して圧勝』というコンセプトを貫き、トップチームに必要とされる選手を目指している以上、その状況に不安はない。「とにかく守備に回るんじゃなく、攻撃的にどんどん行きたい」(松橋)。自信を取り戻す圧勝劇を引っさげ、東京Vユースは堂々と2日後の決戦に挑む。

最終更新:7/22(月) 22:32
ゲキサカ

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