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吉本興業の謝罪会見が、壮絶にスベった理由

7/23(火) 8:32配信

ITmedia ビジネスオンライン

 吉本興業が謝罪会見で、壮絶にスベってしまった。

 と言っても、説明の中に紛れこませたギャグがウケなかったとかそういう類の話をしているわけではない。

【画像】吉本興業はブラック企業なのか

 要領の得ない説明を延々と続け、イラついた記者から発言をさえぎられる。世間が知りたい、疑問に感じているポイントに対し、ことごとくズレた回答を連発する。生中継を見ていた多くの視聴者が、「おいおい、大丈夫かよ、この会社?」と背筋に薄ら寒いモノを感じさせてしまった、という意味において「スベった」と申し上げたのだ。

 例えば、大スベりした中でも明らかに「大事故」となっていたのが、宮迫さんと田村亮さんから指摘された「テープ回してないやろな」「会見をしたら連帯責任で全員クビ」「オレにはクビをする力がある」などのどう喝発言に対する岡本昭彦社長の釈明だ。

 テープうんぬんは、腹を割って話して場を和ませるためのジョーク。クビ発言も詐欺被害者のことを考えず、個々がバラバラの話をしていたのを見て、父が息子に対して「もうお前なんか勘当や」と叱り飛ばすノリで口走ったものであり、圧力をかけたつもりは毛頭ないという。

 吉本新喜劇に登場するチンピラ役がするような、あまりに無理筋な言い訳で、宮迫さんや亮さんの説得力のある話と比べても、かなり釈然としないというか、ツッコミどころが満載なのだ。

サムい対応をする不祥事企業の内部

 では、日本中の人々に「爆笑」を届けてきた吉本興業ともあろう人々が、なぜ会見ではここまでサムいことになってしまうのか。

 いろいろなご意見があるだろうが、これまで報道対策アドバイザーとして、この手のサムい対応をする不祥事企業の内部を見てきた立場で言わせていただくと、これは吉本興業が「既得権益」でメシが食えてしまっていることが大きい。

 今回、亮さんがポロッと言ったように、吉本興業の株主は在京5社、在阪5社のテレビ局である。じゃあテレビ局に対して頭が上がらない立場かというと、そんなことはなく、吉本がいなければ、テレビ局は明石家さんまさん、松本人志さんをはじめ多くの人気芸人が調達できないので、持ちつ持たれつの関係だ。

 要するに、「資本」と「芸人」をテレビ局と吉本で互いに持ち合うことで、強固なアライアンスを結び、他の新規参入を阻み共存共栄していく「既得権益集団」をつくっているということである。このような「ムラ社会」特有の閉鎖的なカルチャーが、世間が「はあ?」と首を傾げるおサムい対応の原因なのだ。

 「原子力ムラ」「製薬ムラ」なんて言葉をググってもらえば分かるが、基本的に既得権益集団に頭までどっぷりと浸かっている企業は、「世間からどう見られている」という意識が希薄になっていく。これは冷静に考えれば当然で、既得権益を握っている限り、新規参入に脅かされることもないし、「ムラ」の内部で安定的に仕事がまわってくるので、世論に忖度(そんたく)する理由がない。

  「霞ヶ関ムラ」の中で死ぬまで生きる「上級国民」の皆さんを思い浮かべれば分かりやすい。彼らが、我々一般国民とズレまくった発言をしたり、しょうもない不正やうそを繰り返したりするのは、どんなに世論から叩かれても「ムラ」の中で安泰だからだ。

 そう考えれば、同じく「芸能ムラ」の中でテレビ局とズブ……ではなくWin-Winの関係を築いている吉本興業が、宮迫さんと亮さんの「謝罪会見」を全力で潰しにかかったというのは、ちっともおかしな話ではないのだ。

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最終更新:7/23(火) 8:32
ITmedia ビジネスオンライン

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