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「陽水の世界」英語で追体験 ロバート キャンベルさん訳詞集刊行

7/24(水) 12:05配信 有料

西日本新聞

井上陽水さん

 日本文学研究者のロバート キャンベルさんが、井上陽水さんの詞を英訳した50作を一冊にまとめた。日本語から英語へと言語の違いを超えて「言葉を運ぶ」ために、陽水さんの独特な歌詞を丁寧に凝視したという。ぼんやりと聴くだけでは気付かなかった陽水さんの現代社会へのまなざしを自らもつかむことで、歌詞には直接描かれていない風景までもが見えてきた。

 2011年夏、都内の病院。窓の向こうでビル群の光がおぼろに明滅していた。集中治療室から個室に移ったばかりのキャンベルさんは、激痛に耐えながらある詞を思い出していた。

  星のこぼれた夜に
  窓のガラスが割れた

 陽水さんの楽曲「青い闇の警告」(1978年)の一節。無意識のうち、言葉の一つ一つを英語に置き換えていた。

  俺は破片を集めて-
  I picked up the pieces,
  心の様に並べた-
  scattered them to look like my heart.

 重い感染症にかかって緊急入院したのは3日前。心臓の手術も半年後に必要と宣告され、キャンベルさんの心は割れたガラスのようにとがっていた。「詞を英語でなぞるだけで、気持ちが軽くなる感じがした」

 翌朝、キャンベルさんは前夜の訳が自分の中で変わっていることに気付いた。

 「心の様に並べた」の「並べた」は「scattered(バラバラに並べた)」ではなく「lined up(整列させた)」。少し回復したことで自身の「心」の形が変わっていたのだ。

 「破片になったガラスは元に戻らないが、拾って並べることはできる。一望の光があると感じられた」 本文:3,029文字 写真:3枚

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西日本新聞

最終更新:7/24(水) 13:39
西日本新聞

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