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北條、木浪よ 鳥谷の背中を見て学ぶのは今のうちだ

7/24(水) 16:40配信

東スポWeb

【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】ベテランの生きざまを見た。阪神・鳥谷が約3か月ぶりのスタメン出場。延長12回をフル出場し、8度の守備機会を無難にこなし、打っては2安打1犠打。出場機会に恵まれない状況が続いていたが、自身が必要不可欠な戦力であり、生きた教科書であることをプレーで証明してみせた。

 試合後の矢野監督のコメントがすべてを示していた。「足も動いていたし、気持ちが外に出ていたし、若い選手も感じ取ってほしい。背中で引っ張ってくれた。すべてにおいてトリらしさを出してくれた。チームにとってプラスしかない」と絶賛。指揮官自身「自分も初めての監督やから」と言うように、起用法を模索する部分もあったが何かが吹っ切れたようだった。

 まさに生きた教材だ。正遊撃手を目指す北條、木浪は今季それぞれ11失策を記録。鳥谷の動き、息遣いを肌で感じ、手本にできる時間はこの先長くはないだろう。体力では勝っても一瞬の集中力、判断力、ピンチでの平常心、技術は雲泥の差。レジェンドが目の前にいるうちに、すべてを吸収し実力でポジションを奪いチームが強くなる。鳥谷もそれなら本望だろう。

 かつての名選手も先輩の技を必死で盗んできた。NPBで遊撃として4度のゴールデン・グラブ賞、7度のベストナインに輝いた松井稼頭央(現西武二軍監督)はかつて「僕は投手から野手になったし守備も苦労した。若いころは奈良原さん(現中日内野守備走塁コーチ)の守備を何度も見て、まねさせてもらった」と述懐する。

 同じく三塁手部門史上最多、7度のゴールデン・グラブ賞を受賞した中村紀洋(近鉄、ドジャースなど)は「調整で二軍に来られていた真喜志さん(現楽天ヘッドコーチ)の守備をいろんな角度から研究した。打球の見方、入り方、バランス、足の運び、すべてが理にかなっていた」と先人を糧としてきた。

 もう、甲子園の遊撃に鳥谷が常時、君臨する時代は終わった。それでも、鳥谷は色あせない。背中を見て学ぶなら今のうち。若虎たちは、その現実を胸に刻んで、一緒にプレーできる瞬間を大切にしてほしい。

 ☆ようじ・ひでき 1973年8月6日生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、阪神などプロ野球担当記者として活躍。2013年10月独立。プロ野球だけではなくスポーツ全般、格闘技、芸能とジャンルにとらわれぬフィールドに人脈を持つ。

最終更新:7/24(水) 16:44
東スポWeb

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