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イギリス保守党は、なぜお騒がせ者を次の首相に選んだのか。

7/24(水) 11:39配信

BuzzFeed Japan

イギリスの与党・保守党は7月23日、党首選でボリス・ジョンソン前外相が勝利し、新たな党首になると発表した。【BuzzFeed Japan/吉川 慧】

ボリス・ジョンソン前外相

首相就任は24日。EUからの離脱(ブレグジット)の行き詰まりから辞職に追い込まれたテリーザ・メイ首相に代わり、迷走する国の舵取りを担う。

ブレグジット強硬派のジョンソン氏が新首相になることで、イギリスはどうなるのか。一部には「短命政権になる」との見方もあるという。

国内外の反応と今後の見通しについて、在英ジャーナリストの小林恭子さんに話を聞いた。

新政権は「短命」との見方も

――ジョンソン氏の首相就任で、ブレグジットは実現に向かって前進するでしょうか。議会との関係など、懸念点はありますか。

「ジョンソン政権が短命になる」という見方があります。

ジョンソン新首相は、「10月31日までに、何としてもEUから離脱する」と宣言していますが、それには議会内で合意が取れることが必要です。

そのためには、議会が合意する離脱協定案を提出することが求められます。これまで3回も議会で否決された協定案の「どこか」を変える必要があります。

しかし、この離脱協定案はすでにEU側とメイ政権で合意したものです。これを下院が承認する段階でつまづいているわけです。EU側は再三にわたって「協定案は変えるつもりはない」と述べています。

――メイ首相と同じく、EUと議会の板挟みに合う可能性もある。ジョンソン新首相は、具体的に協定案のどこに手を入れたがっているのでしょうか。

ジョンソン氏は、協定案と一体化した巨額の清算金(EUへの供出金)の支払いを覆すと言っています。また、いわゆる「バックストップ」も取り除きたいと述べてきました。

《解説:「バックストップ」とは?


現在、北アイルランドとアイルランドは、共にEU圏内のため、行き来は自由です。ところが、イギリスがEUを離脱すれば、物理的な国境(ハードボーダー)を設けざるを得ません。


それを避けるために考えられたのが、政府の離脱協定案にある「バックストップ」条項でした。


イギリスはEU離脱後の移行期間(2年間)で、今後EUとの通商関係をどうするかを決めることになります。


この期間内でEUと合意できなかった場合も、北アイルランドとアイルランドの間にハードボーダーができないようにする。これがバックストップ条項です。


これによると、イギリスはEUとの間で、一種の関税同盟を結び、北アイルランドはイギリス国内でありながら特例的に「EU単一市場」のルールの一部を取り入れるとしています。


メイ政権は、北アイルランドとアイルランドの国境管理や人・モノの往来を、現在と同じくスムーズにすることを狙ったわけです。

(BuzzFeed News「混迷のイギリス政治、次期首相レースは離脱強硬派に勢い 背景に新興右派政党の存在」より)》

議会が合意する協定案をまとめなければ、時間切れ(10月31日)で否応なしに「合意なき離脱」になってしまいます。ジョンソン氏は、これも辞さないことを明言しています。

そのためには、政府の権限で(10月末に)議会を強制的に閉会する(議論をできなくする)ことも考慮していると伝えられています。

――ジョンソン新首相が総選挙に打って出る可能性はありますか。

現在、保守党は下院で過半数の議席を持っておらず、北アイルランドの地方政党「民主統一党」(DUP、10議席)に頼っていますが、DUPは今のままの「バックストップ」が入った離脱協定案には賛同しない方針です。

また、来月には補欠選挙があり、ここで保守党が議席を失うと、また立場が弱くなります。

ブレグジットをスムーズに実現するとして、果たしてどんな「奇跡」が起きるのか…?という感じです。

ブレグジットの進展が遅くなることで、ジョンソン氏が総選挙に打って出る可能性は捨てきれません。

また、「合意なき離脱」に突き進んだ場合、議会が内閣不信任決議を提出し、総選挙となる可能性もあります。

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最終更新:7/24(水) 15:07
BuzzFeed Japan

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