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安倍首相、しぼむ「日ロ」発言 「交渉必ず終止符」が「少しでも前進」に

7/24(水) 11:23配信

北海道新聞

関心が薄れないか、元島民からは懸念

 安倍晋三首相が北方領土問題の解決に向けた主張をトーンダウンさせている。繰り返し在任中の解決に意欲を示し、昨年11月の日ロ首脳会談後には「平和条約交渉を仕上げていく」と自信を見せた首相だが、参院選勝利を受けた22日の記者会見では交渉進展への意欲を言葉少なに語っただけ。日ロ交渉が行き詰まる中、首相の関心が薄れないか、根室の元島民関係者からは懸念の声が上がっている。

参議院選挙で遊説で札幌を訪れた安倍晋三首相の演説に足を止める聴衆=15日午後5時40分、札幌三越前

憲法改正への意欲とは対照的

 「戦後70年以上解決されていない大きな難しい問題だが、少しでも前進させるべく努力を重ねていきたい」。22日の会見で首相は平和条約締結交渉について慎重な言いぶりにとどめ、憲法改正への意欲を雄弁に語ったのとは対照的だった。

 首相は昨年11月の日ロ首脳会談で、歯舞群島、色丹島の日本への引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速することで合意。1月の施政方針演説などで、平和条約締結交渉について「必ずや終止符を打つ」と繰り返すなど、解決への意欲を強く発信してきた。

道内遊説でも具体論には踏み込まず

 だが、首相は参院選の全国遊説では、対ロ外交についてほとんど言及しなかった。15日の道内遊説でも、4カ所の演説全てでトランプ米大統領との蜜月ぶりなどを強調する一方、日ロの平和条約問題に触れたのは2カ所だけ。「全力で取り組んでいく」などとあっさりした内容で、具体論には踏み込まなかった。

レガシーづくりの優先度は…

 北方四島に関する歴史認識などを巡る溝は大きく、プーチン大統領が約2年半ぶりに来日した6月末の大阪での首脳会談でも大きな進展は見られなかった。日ロ交渉に関する首相の慎重発言は、現状では有権者の支持を得られにくいとの判断に加え、官邸筋は「首相の政治的レガシー(遺産)づくりの優先度は、改憲や日朝交渉の方が高くなっている」と明かす。

 首相の記者会見での発言について、根室市の元島民2世、法月(のりつき)信幸さん(61)は「一歩でも領土交渉を前進させるという強い決意を示してほしかった」。歯舞群島勇留(ゆり)島出身の角鹿(つのか)泰司さん(82)は「このタイミングで話し合いが止まったら交渉が動かなくなる。対話を続け、道筋をつけてほしい」と要望した。(則定隆史、武藤里美)

北海道新聞社

最終更新:7/24(水) 11:51
北海道新聞

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