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特許法が20年ぶりの大改正、知財訴訟システムを強化

7/25(木) 10:10配信

MONOist

 日本弁理士会は2019年7月23日、同年5月17日に法律第3号として公布された「特許法等の一部を改正する法律案」について、法改正のポイントを解説した。

特許侵害訴訟での審理と、今回の新制度および明確化された範囲について

 今回の法改正は、デジタル変革やオープンイノベーションの動きが加速し、中小企業やベンチャー企業が優れた技術力をもって活躍する中、取得した特許で大切な技術をしっかりと守れるよう訴訟制度を改善するもので、「これまで細かな改正はあったが、今回は知財訴訟システムを強化する内容を含む、約20年ぶりの大改正となった」と日本弁理士会 特許委員会 副委員長の中尾直樹氏は語る。

 そもそも特許は公開されているため侵害が容易で、その割に(証拠は侵害者側に偏在することが多いため)立証が難しく、過去に刑事事件になったケースもないため抑制しにくいという特殊性があり、既存の枠組みでは「侵害した者勝ち」になりやすかったという。今後、そうならないための配慮がより一層求められるため、今回の改正では、新制度の追加および内容の明確化(曖昧だった点を新たに条文で明確にした)が図られている。

伝家の宝刀としての存在感が期待される査証制度

 訴訟提起において特許侵害の有無を確認する際、証拠収集が重要となる。これまで裁判所命令による書類提出の枠組みはあったが、新たに裁判所が選定した中立的な専門家による現地立ち入り調査(査証)が加わった。「査証による証拠収集は、製品を分解しても分からないような製造方法やプログラム、市場に出回っていないようなB2B製品、さらには持ち出すことが困難な大掛かりな工場設備などが対象となる場合に有効となる」(中尾氏)。

 ただし、査証はその“存在”により、当事者が任意に証拠を提出することを促すもので、伝家の宝刀としての意味合いが強く、「査証制度が存在することで、書類提出命令などの他の証拠収集手続きがこれまで以上に円滑に運用されることを期待する」(中尾氏)という。

 そのため、査証の要件は厳格に設定されており、「侵害行為の立証に必要(必要性)」「特許権侵害の蓋然性(蓋然性)」「他の手段では証拠が十分に集まらない(補充性)」「相手方の負担が過度にならないこと(相当性)」などが明文化され、査証の対象も国内施設に限られる。また、秘密保護の仕組みも含まれ、立ち入りを受ける側からの専門家選定に対する異議申し立て、報告書中の秘密情報の黒塗り、専門家の秘密漏えいに対する刑事罰などが規定されている。

 その他、今回の改正では、特許侵害訴訟において侵害が認められた場合の損害額の推定に関する明確化も図られている。

MONOist

最終更新:7/25(木) 10:10
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