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「セブンイレブン」問題続出でも高収益の追求に躍起、背景にある親会社のいびつな構造

7/26(金) 9:42配信

税理士ドットコム

24時間営業の問題に続き、セブンペイの不正使用問題など、最近問題続きの「セブンイレブン」ですが、他方で7月11日には沖縄に初出店し、約200人の行列ができるなど、依然として高い人気があります。

2019年6月時点のコンビニ店舗数は、セブンイレブンが20,973店舗 、ファミリーマートが16,438店舗 、ローソンが14,691店舗 となっています。セブンイレブンは、これまで一人勝ちの状態で向かうところ敵なしという状態が続いてきましたが、24時間営業問題やセブンペイの不正使用の問題で、信頼が揺らぎ始めています。

今回は、7月4日にセブンイレブンの親会社であるセブン&アイ・ホールディングスの第1四半期の決算短信が発表されましたので、財務面から見て現在どのような状態なのか決算を読み解いてみたいと思います。(ライター・メタルスライム)

●売上高は「ほぼ横ばい」

売上高(営業収益)の推移は、多少の変動はあるものの2016年2月期以降はほぼ横ばいと言っていいでしょう。2019年2月期の売上高の内訳を見てみると、国内コンビニは9554億円(14%)、海外コンビニ2兆8210億円(42%)、スーパーストア1兆9025億円(28%)、百貨店5921億円(9%)、金融関連事業2150億円(3%)、その他5201億円(4%)となっています。売上ベースで見ると、国内コンビニの割合は14%と意外と少なく、海外コンビニ(42%)とスーパーストア(28%)の割合が多いことがわかります。

【売上高(営業収益)の推移】
2016年2月 6兆0457億円
2017年2月 5兆8356億円
2018年2月 6兆0378億円
2019年2月 6兆7912億円
2020年2月 6兆7410億円(予想)

●営業利益:「国内コンビニ」売上は全社の14%なのに、利益は全社の59%

2019年2月期の営業利益は4115億円で、前年同期比105.1%の上昇となっています。この内訳を見ると、国内コンビニは2467億円(59%)、海外コンビニ922億円(22%)、スーパーストア211億円(5%)、百貨店37億円(1%)、金融関連事業528億円(13%)となっています。これを見ると、国内コンビニは全体の約6割の営業利益を出していることがわかります。他方、売上ベースで全体の7割を占める海外コンビニとスーパーストアは、合わせても27%程度にすぎません。ここから国内コンビニのセブンイレブンがいかに高い収益を上げているかがわかります。

その他、注目すべきなのは金融関連事業で、売上ベースでは全体の3%にすぎないのに営業利益では13%も占めていることです。スーパーストア(5%)や百貨店(1%)の倍以上の営業利益を出していることがわかります。金融関連事業というのは、セブン銀行のことでコンビニなどにあるATMでの利益です。つまり、店舗などにATMを設置するだけで、そごう・西武やイトーヨーカ堂よりも営業利益を出しているということです。

●キャッシュフローの状況

2019年2月期の営業CF(キャッシュフロー)は5779億円で、投資CFは△5641億円、財務CFは△53億円となっています。フリーCFは、138億円で、キャッシュの増加額は84億円になります。投資CFは前年の倍以上の額になっており、店舗の新規出店や改装、海外コンビニ事業取得等に伴い、有形固定資産の取得などによるものです。積極的な投資を行いつつ、十分なフリーCFを確保しています。

●第1四半期の営業成績:以前よりも高収益体質に

第1四半期(2019年3月1日~2019年5月31日)の業績を見てみると、売上高が1兆5964億円で前年同月比は0.2%減になっています。しかし、営業利益は903億円、経常利益は888億円と両方とも前年同月比で4.6%増になっています。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は520億円と前年同月比21.5%増になっています。つまり、売上は若干減っているけれども、営業利益、経常利益、純利益共に過去最高の数値になっているということです。このことから、以前よりも高収益体質に変化していることがわかります。

ただ、若干気になるのが、セグメント別の営業利益で百貨店事業が3億円の赤字になっていることです。百貨店事業の前年同月の営業利益は3億円の黒字なので、百貨店事業がついに他の事業の足を引っ張るようになってしまったということです。国内外のコンビニ事業と金融関連事業は第1四半期でも前年同月比を上回っているので、百貨店の赤字をこれら事業で穴埋めしていることになります。

●各種財務指標

2019年2月期の有価証券報告書から、収益性、安全性、成長性の観点からいくつかの代表的な指標を見ていきます。

(1)収益性

ROE:資本効率は少し低い

ROEは8.2%になっています。ROEは、当期純利益を自己資本で割ったもので、企業が自己資本をいかに効率的に運用して利益を生み出したかを表す指標です。10%以上が優良とされているので、資本効率という点から見て収益性は少し低いと言えます。

ROA:資産効率は少し低い

ROAは3.5%になっています。ROAは、当期純利益を総資産で割ったもので、総資産をいかにうまく使って利益を生み出しているかを表す指標です。5%以上が優良とされているので、こちらも資産効率という点から見て収益性は少し低いと言えます。

(2)安全性

①自己資本比率:安全性が高い

自己資本比率は43.5%になっています。自己資本比率は、自己資本が全体の総資産の何%あるかを示す指標です。30%あれば良いとされているので、セブン&アイは安全性が高いと言えます。

②流動比率:十分安全な水準

流動比率は118%となっています。流動比率は、流動資産を流動負債で割ったもので、短期的な返済能力を示す指標です。100%以上あればよいとされているので、十分安全な水準にあります。

(3)成長性

①売上高伸び率:高い成長性

売上高伸び率は12%となっています。売上高伸び率は、当期の売上高が前期からどれほど伸びたのかを確認する指標です。6%以上で超優良とされているので、セブン&アイは成長性においても優れていると言えます。

②経常利益率伸び率:問題がない水準

経常利益率伸び率は、4%となっています。経常利益伸び率は、当期の経常利益が前期からどれほど伸びたのかを確認する指標です。高い水準とまでは言えませんが、プラスなので問題がない水準と言えます。

●総括:国内コンビニと金融事業が支える構造、どう変わるか

以上見てきたとおり、セブン&アイの財務状況は優良と言えます。ただ、イトーヨーカドーとそごう・西武の収益力は低く、第1四半期では百貨店事業が赤字になっています。したがって、今後のこれら事業の推移は十分注意して見ていく必要があります。現在は、国内コンビニ事業と金融事業でセブン&アイの収益を支えている状況ですが、24時間営業問題やセブンペイの問題が国内コンビニ事業にどのように影響してくるのか、また、スーパーストアと百貨店事業をどのように改善していくのかなど、セブン&アイの今後の戦略の行方が注目されます。

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:7/27(土) 19:06
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