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【舛添要一の僭越ですが】 退屈な参院選 注目はSNSで勝利の「れいわ」と「N国」

7/26(金) 12:40配信

ニュースソクラ

ポピュリズムの躍進に感じる日本の民主主義の危うさ

 今回の参議院選挙は盛り上がりに欠ける選挙であった。48.80%という投票率がそれを示しており、1995年の44.52%に次ぐ低さである。吉本興業所属のタレントの記者会見が選挙以上に話題をさらい、テレビのワイドショーもそのテーマに集中した。そのほうが選挙よりも視聴率がとれるからである。

 その理由は、メディアの選挙情勢調査による予測で、自公の過半数が確実であることが広く喧伝されたからである。また、決定的な争点もなく、タレントなどの著名人の立候補も少なかった。

 同じ亥年の参院選挙である12年前と比較してみよう。投票率は58.64%と約10%も高い。また、当時は年金記録問題が最大の争点となり、政権党の自民党が惨敗するという予測が出ていた。実際に12年前の選挙を自民党候補として戦った私の経験を振り返ると、今回のような静かな選挙とは全く異なる雰囲気であった。

さらには、雨続きの梅雨空という天候も、街頭演説への動員数を減らし、投票所へ足を運びにくくしたようである。

 2007年の参議院選挙で、自民党は大惨敗を喫し、参議院は民主党が支配する「ねじれ国会」となり、厚労大臣であった私は法案を通すのに大変苦労した。そして、2年後には総選挙で自民党は敗退し、民主党政権が生まれるのである。

 10年前は「政権交代」の4文字があれば、民主党は選挙を戦える状態にあったが、今の野党はそのような状態とはほど遠く、それだけに有権者は変化への期待を持てなくなっている。この状態を打破しないかぎり、有権者が積極的に投票所に行くインセンティブを持てないであろう。

 今回の参院選で注目すべき二つの政治団体がある。一つは、山本太郎議員が組織し、代表を務める「れいわ新選組」である。私も新党を作って選挙に臨んだ経験があるが、参議院選挙比例区で1議席を獲得すること、そして政党要件(5人以上の国会議員か全国で2%以上の得票)を満たすことがいかに困難であるかを痛感したものである。

2%というと約100万票が必要である。「れいわ」は228万票を獲得し、みごとに2議席を確保したのである。特定枠を二つ使ったため、99万票をとりながら、第三順位となる山本太郎氏は落選した。

 この躍進は、山本氏の個人的人気もあるが、ネット社会、SNSがもたらしたものである。政策内容が吟味されたのではなく、左翼的に政権批判をすることが「何となくカッコイイ」といった感じで多くの支持を調達したものと思われる。

政治資金もネットで3億円集め、さらに新聞広告を可能にするために追加の1億円を要請したところ、すぐに集まったという。

 「れいわ」は、政策内容よりも、ネットによるブームで集票したようである。ウクライナでも同じ日に国会選挙が行われたが、元コメディアンのゼレンスキー大統領の与党が第一党となった。イタリアの「五つ星運動」の代表も元コメディアンのペッペ・グリッロ氏である。「れいわ」もまた、ポピュリズムである。

 もう一つは「NHKから国民を守る会」である。この組織は選挙区にも多数の候補を立て、98万余票を集めて、1議席と政党要件を獲得している。敵をNHKに定め、それを攻撃することが目的の「単一争点政党」である。このような泡沫政党がなぜそこまで健闘したのか。

 これも、「れいわ」の場合と同様に、政策や公約に賛同するというよりは、奇妙な団体が出てきたので、「何となく面白い」から投票しようという遊び感覚で投票したのではなかろうか。

 日本の民主主義の将来は、かなり危うくなっていきていると思う。

舛添 要一 (国際政治学者)

最終更新:7/26(金) 12:40
ニュースソクラ

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