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なぜ?優先席ない九州の高速バス 設置義務なく対応にばらつき

7/30(火) 9:48配信

西日本新聞

 「九州の高速バスには、なぜ優先席がないんでしょうか」。身体障害者の60代女性=北九州市=から、特命取材班にこんな疑問が届いた。以前暮らした関東や関西では、高速バスや空港へのアクセスバスには必ず優先席があったという。九州の現状を調べた。

【写真】高速バスに優先席設置を願う女性 歩行にはつえと装具が欠かせない

 女性は数年前、くも膜下出血で倒れ、左半身にまひが残った。リハビリのため半年間暮らした関東では、左右に2席ずつある高速バスを利用していたが、最前列に優先席があり、困ることはなかった。だが九州に戻り、高速バスに乗ると優先席はなかった。「それまでは健常者で意識しておらず、初めて気付きました」

 この女性の場合、理想的な席は「最前列の左側」。歩行には、つえと足首を固定する装具が欠かせず、細い通路を歩くのは難しい上、左半身まひなので腰掛けると左に体が倒れがちだからだ。「右側に座ると左の乗客に寄り掛かるような体勢になってしまうんです」。事前にバス会社に電話で伝え、席を取っているが「毎回頼むのも申し訳ないし、自分は障害者なんだ、と再認識する瞬間でもあります」と表情を曇らせる。

全員着席が前提

 関東、関西で高速バスや空港行きバスを運行する主要各社に尋ねると、運転席後ろ2席や最前列の4席などを優先席にしていた。一方、九州では「高速バスで優先席を設置している社は今のところない」(九州運輸局)という。

 国土交通省によると、街中を走る「都市内路線バス」は優先席設置が一般的だが、あくまで「義務ではなく企業努力」。標準的な整備内容として「乗降口近くに3席以上を原則として前向きに設置する」とガイドラインで示している。

 一方、路線が約50キロ以上で複数の市町村をまたいで走るバスなどを指す高速バスは、優先席には触れていない。「路線バスは立つ客もいるので優先席やつり革を設けているが、高速道路を走るバスは安全性の観点から立ったままの運行はしない」(同省)。つまり全員が座ることを前提とするバスだからという。

 設置は各社の考えに委ねられており、対応にばらつきが生じている。

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最終更新:7/30(火) 14:57
西日本新聞

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