ここから本文です

「隠しても何にもならない」「認知症を楽しむ」 若年性認知症患者の訴え

7/31(水) 18:10配信

カナロコ by 神奈川新聞

 認知症であっても、友人や支援者ら多くの人とつながることで、人生を前向きに楽しく生きていけることを訴えたシンポジウム「認知症について認知症の人から学ぼう!鎌倉Ⅱ」(かまくら認知症ネットワーク主催)が14日、神奈川県鎌倉市大船の鎌倉芸術館で開かれた。認知症の本人4人が日々の生活や今後の抱負を語り、認知症の当事者を含む来場者に大きな勇気と感動を与えていた。

 シンポジストは、いずれも65歳未満で発症した若年性認知症で、57歳の時にアルツハイマー型認知症と診断された近藤英男さん(66)=逗子市、51歳の時にパーキンソン病、62歳でレビー小体型認知症と診断された松浦謙一さん(64)=横須賀市、56歳で前頭側頭型認知症と診断された中村成信さん(69)=寒川町、60歳でアルツハイマー型認知症と診断された山根功さん(64)=相模原市中央区。

 4人の認知症の原因疾患、進行状態はそれぞれだが、いずれも地域の支援者らに支えられ、自分らしい日々を送っている。認知症であることをオープンにし、体験談を語る活動も行っている。4人の話を聞こうと、会場には、認知症の本人十数人を含む約140人が訪れた。

 講演で近藤さんは、持ち前のユーモア、ダジャレを交え、「楽しみながら認知症と付き合っています」という日々を語った。2年前に好きだったギターを再開し、支援者とデュオグループ「ヒデ2」を結成し演奏を行っていること、週4日通っているデイサービスでは、併設の保育園の園児にギター演奏を披露していることを紹介。認知症啓発のため地域をリレーして走る「RUN伴+三浦半島」への参加、「認知症フレンドリー逗子葉山」代表への就任、歩こう会、フレンドリー楽団などについても楽しく語った。近藤さんは「認知症を隠しても何にもならない。自分が自分であることは確か。自分が思った道を歩けばいい」と述べ、盛んな拍手を受けた。

 松浦さんも、音楽ユニット「三音」を結成しライブ演奏をするなど、精力的に活動している日々を語った。そんな松浦さんも一時、パーキンソン病が悪化し「引きこもり状態になった」という。脱却のきっかけは「高校時代の同級生が心配して声をかけてくれて、高校生バンドを復活させたことだった」という。RUN伴にも参加。友人、支援者に囲まれて前向きに生きることで、レビー小体型認知症の発症も冷静に受け止めているという。「家の中で子どもと高齢者の幻視も見えます。うちには座敷わらし、貧乏神と、リアリティーあふれる大きな座敷わらし(妻)がいるなどと言っています」と、ユーモアを交えて語った。

 中村さんは、3月に静岡県富士宮市で行われた全日本認知症ソフトボール大会について映像を交えて報告した。神奈川チームは当事者18人を含む総勢55人で参加。「私がピッチャー、松浦さんがキャッチャーのバッテリー。最後に三振を取り、6対5で神奈川チーム初勝利を上げました」と熱く語った。

 山根さんは昨年秋の県認知症ソフトボール大会を振り返った。「ソフトボールは勉強させてもらってレベルを上げたい。選手宣誓は緊張しましたが、一言スポーツマンシップだけは忘れないで話せばできると思ってやりました」と話した。

 4人によるシンポジウムではさらにスポーツの楽しさを語り合った。会場から「これからチャレンジしたいことは」との質問が出ると、近藤さんは「ラグビーがまたできたらいい」、松浦さんは「テニス再開、サーフィン再開」と力強く答えた。山根さんは「60歳過ぎてもできないことはない。スキーの大会に出場し続けたい」。そして中村さんは「写真が趣味で、もっとうまくなりたい。ソフトボールは審判の資格を持っているので、頑張って審判をやっていきたい」と語り、会場から大きな拍手が続いた。

 かまくら認知症ネットワーク代表の稲田秀樹さんは「やはり積極的な行動が大事。こうすれば大丈夫だと当事者自身が実感し、その実践を続けること。それぞれの地域に大丈夫だと言えるサービスや資源があることが大切だ」と強調した。

神奈川新聞社

最終更新:7/31(水) 18:17
カナロコ by 神奈川新聞

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事