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酷暑の東京五輪で最も危険 男子50km競歩はマラソンより過酷

8/1(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 関東地方も梅雨が明け、本格的な夏がやってきた。30日の東京の最高気温は33.6度。8月になれば「災害レベル」といわれる猛暑日が続くことになる。

 くしくも来年の今日(31日)は、東京五輪陸上男子20キロ競歩(スタート6時)が行われる。男女20キロ競歩は二重橋前からスタートし、皇居外苑の1周1キロコースを折り返す。男子50キロ競歩(同8月8日5時30分)も発着点は20キロと同じ二重橋前。北側・大手門、南側・祝田橋の1周2キロを折り返す。コースは路面温度の上昇を抑える遮熱舗装が施され、ミストシャワーも設置されるそうだが、どこまで効果があるのか疑問だ。炎天下で2キロコースを25周する単調な50キロ競歩は、東京五輪で「最も過酷な競技」といわれている。

 日本の男子競歩は近年、入賞やメダル獲得は当たり前というほどレベルが高くなった。直近5年の国際大会を見ても、20キロでは2016年リオ五輪で松永大介が7位。50キロは15年世界陸上(世陸)で谷井孝行銅、荒井広宙4位、16年リオ五輪で荒井が銅メダル。17年世陸も荒井銀、小林快が銅だった。9月27日開幕の世陸(カタール・ドーハ)も、50キロの日本代表(勝木隼人、野田明宏、鈴木雄介)3人はいずれもメダル候補に挙げられている。


■炎天下の単調コースを25周

 競歩の今村(文男)五輪強化コーチは4年ぐらい前から暑さ対策を行ってきた。今回の世陸は「東京五輪のシミュレーション」というが、ドーハの競歩は猛暑を避けるため深夜(現地23時30分)スタートだ。元陸連専務理事で91年世陸東京大会の大会本部長だった帖佐寛章氏はこう懸念する。

「五輪本番のスタートは早朝5時30分。競歩の競技時間は3時間40分から4時間半。酷暑を前提にすれば皇居前の午前7時の気温は30度を超え、湿度は80%以上だろう。6時スタートのマラソンは、約37キロから高低差30メートルの四谷の上り坂になる。ここを通るのは8時すぎ。50キロ競歩の先頭がゴールするのは9時すぎだから、もっと気温は高くなっている。競歩は日陰がまったくない単調なコース。風が吹かなければ体表の水分は蒸発せず、熱中症のリスクはさらに高まる」

 さらに帖佐氏は続ける。

「今年3月の国際陸連の決定で五輪の50キロ競歩は東京が最後になる。金メダルも期待できる種目なので、多くの観客が応援にやってくることが予想される。日本選手にとってはうれしい半面、無理をしないか心配です。マスコミや五輪組織委員会は、マラソンの熱中症についてばかり取り上げているが、競歩の危険性についても認識し、報じるべきです」

 競歩の有望選手は昨年8月、北海道(千歳)と都内の合宿で、体温変化、体重減少率、汗の成分、血中乳酸濃度などを調べ、酷暑対策のためのデータを集めた。そこではレース直前まで氷を握って体(血液)を冷やすプレクーリングや、氷を握ったまま歩く選手もいた。

 国内大会では首や脇の下を冷やして効果を確かめている選手もいる。しかし、酷暑を苦にしない万全の策などない。

 リオ五輪50キロ競歩のスタート時の気温は22度、湿度は80%。日差しをさえぎる場所がほとんどなく、80人中、ゴールしたのは49人。19人が途中棄権、12人が失格だった。

 東京五輪は自国開催でありながら、競歩は本番とほぼ同じ条件のテスト大会もない。ぶっつけ本番が、デスマッチならぬ、デスレースにならなければいいが。

最終更新:8/1(木) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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