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日欧EPA半年 国内市場に浸透 チーズ、ワイン 2割超増

8/1(木) 12:06配信

日本農業新聞

 欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)が発効し、8月1日で半年が経過した。同協定では将来的に農林水産品の82%の関税が撤廃。環太平洋連携協定(TPP)を超える市場開放を受け入れたチーズやワインなど一部品目は、発効後の輸入量が前年に比べ2、3割増えた。スーパーは取り扱いを強化、小売り価格を引き下げて消費を取り込む。国内で輸入品シェアが高まっていることに識者は「恒常的な輸入増加に結び付いている」と警鐘を鳴らす。

 「関税優遇拡大! インポートフェア」。食品スーパーの成城石井(横浜市)の店内では、こう打ち出したポスターが目を引いた。全国173店舗で展開したEU産食品などの価格を引き下げた販促イベントだ。ワインや生ハム、チーズなど72商品が対象。広報担当者は「手軽にヨーロッパの食文化を楽しんでもらいたい」と消費定着を狙う。

 EU産品はスーパーで販売を伸ばしている。大手スーパーのイオンは2月、EU産ワイン330種を一斉値下げした。直近の売上高は平均で前年を2割上回る。行楽シーズンでワイン需要が高まる秋以降、EU産の品ぞろえを強化する方針だ。

 関東の中堅スーパーはスペイン産豚肉「イベリコ豚」の扱いを拡大する。ロースは100グラム298円(税別)と国産より2割高い。6月から、陳列棚の最上段から消費者が手に取りやすい最下段に移し、売り込みを強化。売上高は前年を2割上回る。

 EUとのEPAは2月1日に発効し、4月からは発効2年目。財務省の貿易統計によると、2~6月のEU産チーズの輸入量は4万6000トン。前年同期を20%上回った。EPAではソフトチーズの輸入枠が拡大し、枠内税率も下がった。

 関税を即時撤廃したワインの輸入量も急増した。同期間のEU産は26%増の約6万6000キロリットル。このうち、関税の削減幅が大きかったスパークリングワインが36%増の約1万4000キロリットルとなった。

国産シェア奪う恐れ 北海道大学農学部の東山寛准教授の話

 日欧EPA発効後の輸入増は、一時的なトレンドではない。発効以降、安定した輸入量があり、恒常的な輸入増加に結び付いていると言える。

 国内のマーケットが輸入品に奪われる恐れがある。国産品は差別化されると説明していた政府の影響試算では、想定していなかった事態が起きている。消費が堅調なチーズなどは、その伸びが輸入品に奪われている。

 既にEPA発効の影響があると言える。政府には継続的に影響を見極める義務がある。TPP発効や日米貿易協定交渉など、国内の生産者に不安要素が多い。品目ごとの影響分析を丁寧に行うとともに、国産品の競争力を高めるための支援策を講じるべきだ。

日本農業新聞

最終更新:8/1(木) 12:06
日本農業新聞

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