ここから本文です

吉本興業がテレビ業界から干される日

8/2(金) 7:15配信

ITmedia ビジネスオンライン

 7月22日、吉本興業(以下吉本)が記者会見を行なった。反社会的勢力のパーティーに所属芸人が参加したと週刊誌に掲載されたことで一連のトラブルが発生し、7月20日には宮迫博之氏、田村亮氏の二名が謝罪会見を行い、それを受けたものだ。

マスコミ側のあり方は?

 不祥事で謝罪会見を行えば、ある程度、トラブルは鎮静化するものだが、「グダグダ」「意味不明」と批判された会見によってさらに報道がヒートアップするなど、形容詞が見つからないほどに吉本はボロボロだ。

 「会見をやるなら連帯責任で全員クビ」「テープを回していないか?」などと社長が所属芸人に暴言を吐いていたことについて、「冗談」「和ませようと思った」と説明し、契約書について今後も交わさないと公言したことで、さらなる批判を浴びた。

 会見の翌々日には、公正取引委員会が「契約書を交わさない状況は問題がある」と定例会見でコメントをすると、一転して書面で契約する旨を公表するなど、行き当たりばったりの対応を繰り返している。

 会見直前に書いた『「テレビ局が株主だから大丈夫」宮迫・亮の謝罪会見に見る、吉本興業の深刻な勘違い』では、吉本の経営陣は勘違いしていると指摘したが、いまだに何が問題なのか分かっていないように見える。コンプライアンス重視の現在、古くからのマイルールに固執している状況を批判されているにもかかわらず、経営陣は一貫して他人が口を出すなと言わんばかりの対応だ。

 今後の吉本は、重要な取引先であるテレビ局各局から「干される」可能性すらある。そしてその動きはすでに表面化している。

 当初トラブルの発覚時に入江氏が契約解除をされているが、二人目の契約解除、より厳密にいうと「解雇」がすでに発生している。これはほとんど注目されていないが、今回の騒動で「解雇」が出たのはおそらく初めてだ。事態は多くの人が考える以上に深刻化している。

テレビ局各局が「反吉本」へと動いた

 吉本を今後も野放しにするならば、最大の取引先で大株主でもあるテレビ局各局は、道義的な責任という曖昧な話で済まないことは、『テレビ局が吉本興業を出入り禁止にすべき理由』で指摘した。問題は、芸人個人の責任がうんぬんという次元から、すでに事務所、テレビ局へと移行している。

 会見のしばらく前、7月の第一週にはNHK、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京と、各局のトップが定例記者会見で、視聴者やスポンサーへの謝罪、今後の対応、再発防止の申し入れなどを多少トーンの違いはあれど説明している(参照・各テレビ局トップが次々と「遺憾の意」…闇営業問題、吉本興業の会見は一体いつ? スポーツ報知 2019年07月6日)。

 そして7月29日、会見後に行われた日本テレビの定例記者会見では、「第三者委員会を設置しての早急な事実確認」「反社会的勢力との関係を遮断する具体的な施策の公表」「企業のガバナンスを徹底する方策の開示」など三点を書面で申し入れ、なおかつ文書での回答を求めたという(参照・引用 日テレ、吉本に事実関係の確認などを求める申し入れ書…社長定例会見 スポーツ報知 2019月7日30日)。

 謝罪会見の前よりも、あきらかにトーンが一段階上がっている。会見によってかえってトラブルが拡大したことで、局側が経営陣の資質を問題視したことの現れだろう。

 吉本抜きでテレビは成り立たない、といった見方も当初一部であったが、もはやそのような段階ではない。「テレビ局が株主だから大丈夫」発言で広く知られるようになったが、大株主であるテレビ局10社の持ち株を合わせると、吉本の議決権の半数近くになる。つまりテレビ各局が結束すれば、吉本は「テレビ業界の子会社」となり、経営陣の刷新すら容易にできる状況だ。

1/6ページ

最終更新:8/2(金) 7:15
ITmedia ビジネスオンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事