ここから本文です

「ディズニーが支配したハリウッド」今後どうなる?

8/3(土) 11:03配信

BuzzFeed Japan

ハリウッドにとって、2019年は厳しい年になっている。興行成績はずっとパッとせず、サマームービーはどれも振るわない。アカデミー作品賞を受賞したのは『グリーンブック』だった。とにかく、すべてが芳しくない状況なのだ。

だが、ディズニーは例外だ。

ディズニーは2019年、世界的な大ヒット映画を4本公開した。しかも今年後半には、さらなる超大作複数も公開を控えている。またディズニーは今年、ハリウッド史上最大級となる買収を完了。これからのハリウッドはミッキーマウスの巨大な影に支配されるという現実を、ほかのすべての映画スタジオに突きつけた。

複数のメガヒット作を手がけてきたある映画制作者はBuzzFeed Newsに対して、「映画スタジオが競争する時代は終わりました」と語る。「ヤンキースが時々勝つし、レッドソックスも勝つ。その間隙を縫ってマーリンズもそれなりに勝つような世界とは違うのです。ディズニーの一人勝ちです。彼らがナンバーワンになるのです」

だが、勝利と征服を描く壮大な傑作物語が常にそうであるように、ディズニーの歴史的上昇にも、いまだにリスクと不確かさが伴っている。ディズニーの天文学的成功の原動力となってきたのは「作品のクオリティ」だが、そうしたクオリティそのものが今後、同社を地に落とす力としてはたらく危険を秘めているからだ。【BuzzFeed / Adam B. Vary】

ディズニーは過去、大きな苦労を経験している。わずか7年前、同社はスランプのどん底にいた。5年もの間、まったくと言っていいほどヒット作に恵まれていなかったのだ。ピクサーや、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが制作する作品は安定したヒットを記録していた。しかしそれ以外では、ディズニーは成功する長編映画戦略を発見できずにいた。

同社が公開する作品は、まさに大コケと駄作のオンパレードだった。たとえば、『ウィッチマウンテン/地図から消された山 』や『サロゲート』『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』『魔法使いの弟子』『トロン:レガシー』『アイ・アム・ナンバー4』『少年マイロの火星冒険記 』『フライトナイト/恐怖の夜』『リアル・スティール』『ジョン・カーター』といった作品たちだ。

そして迎えた2012年4月、晴天のロサンゼルス。大量のフラッシュが焚かれ、映画スターたちが大挙して押し寄せるなかで、『アベンジャーズ』が封切られた。

マーベル・シネマティック・ユニバースを確立したこの大ヒット作は、ディズニーが2009年にマーベル・エンターテインメントを42億4000万ドルで買収した後で初めて発表したマーベル・スタジオ作品だった。

マーベルの買収により、ディズニーはこれまでに、全世界の興行収入だけで182億ドル以上を得てきた。歴史的と言ってもいい素晴らしい数字であり、どんな映画スタジオでも不振から抜け出せる数字と言えるだろう。

だが、ロバート・アイガーCEO率いるディズニーが描く壮大な構想にとって、マーベルは駒のひとつにすぎない。ディズニーは、自社に比肩する高いブランド認知度を誇る映画スタジオを買い漁ることによって、自社の興行収入の未来を救う構想を抱いているのだ。

ほかの映画スタジオであれば、個々のシリーズ作品に依存したビジネスモデルを構築するところだが、ディズニーはシリーズ作品を個々のミニスタジオにすることによって、自社の映画事業を築いてきた。

まずは2006年、ディズニーはピクサーを74億ドルで買収した(現在までの総興行収入は104億ドル)。そして2009年にマーベルを買収。その3年後、『スター・ウォーズ』シリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスから、ルーカスフィルムを40.5億ドルで買収し、2015年に同作の新シリーズをスタートさせた(現在までの総興行収入は48.4億ドル)。また、スター・ウォーズのテーマランドが、ディズニーランドとディズニーワールドにオープンすることも決まっている。

2010年公開の『アリス・イン・ワンダーランド』で成功を収めたディズニーは、「ディズニー・ライブアクション」部門の勝利戦略も発見した。自社が持つクラシック長編アニメのライブラリー(『ジャングル・ブック』や『美女と野獣』『アラジン』など)を実写映画としてリメイクするという戦略だ。2010年に始まったこの取り組みによるこれまでの総興行収入は、世界全体で62億ドルに上る。

どの映画スタジオであれ、これだけでも繁栄には十分、いや十二分だっただろう。だが、大熱狂のなかで封切られた『アベンジャーズ』以来、ディズニーが手にしているのは繁栄だけではない。20世紀前半のMGM全盛期以降、どの映画スタジオも経験していないほどの支配力も手に入れている。

かつての映画産業には、サイクルがつきものだった。6大映画スタジオ(ディズニーと20世紀フォックス、ユニバーサル、ワーナー・ブラザース、パラマウント、ソニー・ピクチャーズ)のそれぞれが、観客の好みの変化や、思い切った賭けの成否に合わせて、栄枯盛衰を繰り返していた。ところが2016年以降、ディズニーがこのサイクルを覆すようになった。アメリカ国内の興行成績で毎年トップに立ち、マーケットシェアを伸ばし続けているのだ。

1/6ページ

最終更新:8/3(土) 11:03
BuzzFeed Japan

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事