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納税額を増やしてしまう「経理担当者」を大切にすべき理由 経営者は困惑だけど…

8/6(火) 9:45配信

税理士ドットコム

「経理担当者を変えたら納税額が大きくなり困っています」という質問が、文春オンラインのDMM亀山会長「かめっち会長の相談室」(https://bunshun.jp/articles/-/12404)に寄せられていました。

内容としては、従業員20人の中小企業の経営者からの相談で、大手企業から転職してきた経理部員の融通が利かず、納税額が大きくなって困っているというものでした。

亀山会長は回答で、「たぶん『経費は公私の区別をつけてください』とか言われてるんじゃないかな」としたうえで、「社員というのは社長を見ながら行動するもの。公私混同する俺を見た10人の社員は、それをマネる可能性が高い」と諭しています。

経理担当者によって、納税額が大きく変動するということは実際に起きるのでしょうか。三宅伸税理士に聞きました。

●中小企業者には大企業では適用できない優遇税制も

ーー大手企業から転職してきた経理部員の融通がきかず、納税額が大きくなってしまった要因として、どのようなことが考えられますか

「中小企業者には、大企業では適用できない有利な優遇税制措置があります。大企業出身の経理部員がそのことを知らなかったのかもしれません。また、前任者と会計や税務に関する認識に違いがあったのかもしれません」

ーーどのような優遇税制なのでしょうか

「例えば、期首(会計期間の開始日)に21万円の事務用の椅子を10脚購入した場合、購入年度に減価償却費として約28万円が経費計上できます。

中小企業者であれば28万円の経費計上にかえて、一定の要件のもと購入価額の210万円を購入年度の経費に計上することもできるのです。

このように中小企業者の優遇税制を適用すると、同じ取引であっても、その年度の納税額が変わることがあります」

●「租税回避行為」の代償は大きい

ーー経費の公私についてですが、中小企業者の場合、たとえば観光旅行を兼ねた海外渡航費のうち、観光にかかった費用を会社の経費に計上することはできるのでしょうか

「できません。税金は法律(税法)で計算方法から納付まで細かく規定されています。

脱税とまではいかなくても税務調査で租税回避行為として否認されれば、結果として延滞税、加算税等の高い代償を支払うことになります。

さらに、事実を隠したり、仮装したりして、売上を計上しなかったり、架空の経費を計上したりする行為は、脱税と認定され多額の追徴課税が課されます」

ーーこのような行為をした場合はどうなるのでしょうか

「最悪の場合には逮捕されることもあります。脱税の刑事罰は、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこの両方が科されることもあります。

もしこのような租税回避行為を、社会的信用やペナルティーを考えて新しい経理部員が受け入れなかったとしたら、その経理部員は優秀な方なのでしょう」

●公私の区別をつけることは重要

ーー会社の経営者にアドバイスをお願いします

「公私の区別をしない会計をすると、本来の会社の経営状態もわからなくなってしまいます。

亀山会長が言うように『会社規模が大きくなったら変わるんじゃなく、大きくなるために変わる』こと。社員が会社の未来を信じられるように経営トップ自らが実践していくことが大切なのではないでしょうか」

【取材協力税理士】
三宅 伸(みやけ・しん)税理士
大阪府立大学経済学部卒業後大手リース会社勤務。仕事、育児、勉強を両立しながら大阪の税理士法人に勤務。平成26年11月独立開業 誠実であること、素直であること、常にお客様の立場に立って考えお客様と共に成長していくことをモットーにしている。相続、起業支援等幅広く活動している。
事務所名 : 三宅伸税理士事務所
事務所URL: http://miyake-tax.jp

(税理士ドットコム トピックス)

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:8/6(火) 9:45
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