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アメリカの先行く中国の量子科学 。「ステルス」は丸裸、兵器新調は無意味に

8/7(水) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

中国は量子コンピューターの開発でアメリカを引き離し、ハッキングや暗号解読を不可能にする量子衛星によって、ステルス戦闘機は「丸裸」にされる ── 。

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米中ハイテク冷戦で、アメリカが中国に対抗できない先端技術が量子科学分野だ。将来の戦争の概念と形態を根本から変えるとされるこの世界で、何が起きているのか。

中国に差つけられたハイテク

われわれはいま、既成の軍事概念と能力が覆され、誰がどんな兵器を使いどのように戦うかを再検討せざるを得ない時代に直面している。

「そんな革命がまさに進行している」と解説しているのは、国防戦略を専門にするクリスチャン・ブローズ(カーネギー国際平和財団ジニアフェロー)。アメリカ外交誌「Foreign Affairs」(Christian Brose「The New Revolution in Military Affairs War’s Sci-Fi Future」Foreign Affairs May/June 2019)に、米中がしのぎを削るハイテク競争をこう表現している。

その寄稿で彼は、アメリカは21世紀の20年間、対テロ戦争に追われ、さらに2010年からの軍事予算削減の結果、「ハイテク技術を開発する中国に差をつけられてしまった」と振り返っている。そして未来の軍事的優位を確保するには、ハイテク技術の導入が不可欠だと強調する。

ブローズ氏が挙げる先端技術とは次の4つだ。

人工知能(AI)

自律システム

3Dプリンターなどの先端製造技術

量子科学

新たな「スプートニクショック」

筆者は2年前、本サイトに「中国が『量子通信』実験に成功、米国の軍事優位揺るがす可能性」 を書いた。

中国の物理学者、潘建偉教授らのチームが2016年8月、世界初の量子通信衛星「墨子号」を打ち上げ、ハッキングや盗聴を不可能にする「量子暗号通信」を飛躍的に向上させたと紹介した。

米中関係に詳しい矢吹晋・横浜市立大学名誉教授は、「5G量子覇権─米中冷戦の行方」(2019年6月、蒼蒼社「中国情報ハンドブック」2019年版)の中で、量子科学分野での中国の先行と米中ハイテク戦を詳細に分析している。このなかで矢吹氏は、量子通信衛星を「スプートニク・ショック」に比較できる事件と表現した。

「スプートニク」とは米ソ冷戦時代の1957 年、ソ連が世界で初めて打ち上げに成功した人工衛星の名称。先を越されたアメリカは大きなショックを受け、その後米ソ間で激しい宇宙空間競争が展開された。

アメリカはまだ量子衛星打ち上げに成功していない。だから中国の量子衛星は、新たな「スプートニク・ショック」というわけだ。

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最終更新:8/7(水) 20:00
BUSINESS INSIDER JAPAN

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