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最低賃金大幅アップ、企業への影響は 19年度の総人件費は5兆円増予想、「これ以上は難しい」の声も

8/7(水) 10:01配信

帝国データバンク

史上初の最低賃金900円台、一方で経営者は新たなコストアップが悩みに

 7月31日、厚生労働省・中央最低賃金審議会の小委員会は、時給に相当する最低賃金の目安について、2019年度は全国平均で27円引き上げ、901円にすることを決定した。全国平均の引き上げ率は約3.09%で、3%台の増加率は4年連続。全国平均が900円を超えるのは初めてとなる。

 近年、深刻な人手不足に陥っているものの、賃上げは思うように進んでいない。政府は「骨太の方針」に基づいて最低賃金の全国加重平均1000円を目指し、賃上げと消費拡大を両輪で進めたい考えだが、企業側では賃上げが収益悪化につながりかねないと指摘している。近年は人件費のみならず、原材料価格の高騰など収益環境が厳しいなか、最低賃金の大幅引き上げという新たなコストアップは企業経営者にとって悩ましい問題となりそうだ。

人材採用の切り札、うなぎ上りの“採用時給”は最低賃金とのかい離も大きく

 「時給1100円」「深夜時給1300円」―東京都心のみならず郊外でも、時給が1000円を超えるアルバイト募集の案内を出す店舗は珍しくない。しかし、ある人材派遣会社の社員は、「好待遇でも応募がなく、人材採用に至らないケースも多い」と話す。

 背景にあるのは深刻な人手不足。人材採用の切り札として、高時給など他社より好待遇を提示する事で採用を有利に進めたい企業の思惑がある。実際に帝国データバンクが企業向けに行った調査では、2019年度に賃金改善を行う企業は5割を超え、そのうち約8割が「労働力の定着・確保」を理由に挙げた。企業の半数超が人手不足を感じるなか、「(人材確保や会社への貢献から)賃金はわずかであっても上昇させたい」など、人材の定着・確保のために賃上げを実施する傾向は中小企業でも一段と強まっている。

 こうしたなか起こっているのが、企業が実際に支払う採用時の時給と最低賃金とのかい離だ。2018年度の調査では、従業員採用時の際の最も低い時給は平均975円。同様の調査で把握可能な16年度の958円から17円上昇、18年度当時の最低賃金における平均874円からは101円上回っている。地域によってもそのかい離は大きく、18年度は特に大分県や愛媛県などでは定められた最低賃金から150円以上も高い水準だ。

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最終更新:8/7(水) 10:01
帝国データバンク

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