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「暑い。耐えられない」 五輪ボートテスト大会 課題浮上で対策見直しも

8/9(金) 22:44配信

産経新聞

 開幕まで1年を切った東京五輪で、暑さ対策の試金石となるボート競技のテスト大会「世界ジュニア選手権」が本番会場の海の森水上競技場(東京都臨海部)で行われている。会場全体に直射日光が照りつける上、海外で人気のボート競技だけに、会場には、日本の暑さに不慣れな外国人が多数訪れることが予想。主催者側は熱中症予防のために観客に冷却剤を配るなどの対策を試したが、それでも関係者からは安全な観戦や競技実施を心配する声が出ており、対策には大幅な見直しが迫られそうだ。(手塚崇仁)

 ボートの世界ジュニア選手権は今夏、大会組織委員会が暑さ対策を試す5つの重点大会のうちの1つ。競技は7日から開始された。

 海の森水上競技場は東京の埋め立て地に設置されて、周囲に日差しを遮る木々や建物がない上、観客席を覆う屋根は会場整備費削減の一環として、半分に削られた経緯がある。

 主催者側は観客に冷却剤を配ったほか、地面に水をまき、アスファルトからの照り返しを防ぐ取り組みを実施。会場から最寄駅までをつなぐバスの待機場所にはミストシャワー付きのテントが設置された。

 しかし、観客からは苦情や注文が相次いだ。気象庁によると、期間中の東京の最高気温は35度前後にまで上り、多くの観客が、直射日光を浴びながら観戦を行う事態に。埼玉県のボート部の男子高校生(17)は、「部活で暑さは慣れているがそれでも耐えられないほど。(観客席に)屋根が欲しい」と語った。

 ドイツから訪れた女性も「屋根がないところはとても暑い」と不安げに訴えた。ボート競技は欧州で大人気で、東京大会には海外からの多数の観戦客が会場を訪れることが予想され、「外国人はこの暑さで大丈夫か」と心配する声も出た。実際に気分が悪くなったという観客を車いすで医務室に運ぶ場面もあったという。

 また、観戦チケットの種類によっては、冷房が効いている屋内施設に入れない観戦客が出る問題点も浮かび上がった。大会組織委の担当者はこうした状況について、施設区域内に多くの「日陰を作る」ことが重要と指摘。「仮設や屋根のないスタンドなどの対策については、今後総合的にどう判断していくか検証していく」とも話し、テスト大会での状況を検証し、今後、追加施策を練り直していく考えを示した。

 東京大会のボート競技は近年では珍しく海水での開催となり、東京湾に吹き付ける横風や波の状況がメダル争いに影響を及ぼしそうだ。整備費308億円の海の森水上競技場は1964年大会でボート競技が行われた戸田漕艇場(埼玉県)に変わる強化拠点になることも期待されているが、塩害による船の劣化も懸念されており、課題は多い。

 埋め立て地の間の水路に作られた同競技場は、海からの波の侵入を防ぐため、締め切り堤や消波装置設置されている。しかし、今回のテスト大会に参加した選手はレース中の強い波風の影響を指摘。内陸の淡水コースでは見られない独特の競技環境があるようだ。

 関東地方の大学や企業チームの多くは現在、戸田漕艇場に艇庫を置き、練習拠点にしている。近年、コース内には藻が大量発生し、各チームの練習に支障が出ているほか、試合が他会場に変更される事態にも陥っている。

 そのため多くの選手が五輪会場の新設を歓迎しているが、塩害の影響や競技場までのアクセスの不便さから、練習拠点にはなりにくいとの声も。明治安田生命ボート部の木野田沙帆子選手(24)は「戸田を練習の拠点とし、大会は海の森で行うなど、すみ分けることが理想だ」と述べる。

最終更新:8/9(金) 22:44
産経新聞

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