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”食べて救う”絶滅危惧種の郷土食 中洲の料理人「できることを」 ~ふるさとWish朝倉市~

8/9(金) 14:00配信

九州朝日放送

「川茸(かわたけ)」という食べ物を知っていますか? 学名はスイゼンジノリ。きれいな川に生息する淡水ノリで、現在は世界中で唯一、福岡県朝倉市の黄金川にのみ自生している絶滅危惧種です。江戸時代には幕府への献上品として、近年は高級食材として贈答品に重宝されています。

その川茸を、先祖代々守り続ける人がいます。川茸元祖 遠藤金川(かながわ)堂17代目・遠藤淳さん。遠藤さんは、約300年この地で親しまれてきた川茸を絶やすまいと、5人の仲間と共に日々作業に明け暮れています。

収穫は3月~7月の終わりにかけて。収穫したばかりの川茸は黒く、ゴミや藻などが混ざっています。食べるためには不純物を全て取り除き、洗浄して選別。それから5時間塩漬けにし、川の水でもう一度洗うと紫色の色素が抜け、ようやく美しい翡翠色の川茸になるのです。工程は全て手作業。機械では傷がつくため、丁寧に人の手で扱うそうです。江戸時代から変わらないその営みに、悠久の歴史と受け継ぐ者の深い意志を感じます。

水量の減少や異常気象によって、川茸の収穫量はピーク時の10~20分の1にまで減少しています。「川茸は、かつて秋月藩の財政を支えていました。昔から丁寧に守られてきた伝統でもあります。これからも地元の人と一緒に川茸を守り、そして次の世代につなげられたらと考えています」

偶然の出会いがメニュー開発のきっかけに

福岡市博多区中洲の和食居酒屋「牛タンと蕎麦のさえ木」の料理人・三角朋也さんは、インターネットで検索中に、たまたま川茸のことを知りました。「福岡にこんな食材があったのか!」。興味を抱いた三角さんは、すぐに遠藤金川堂へ電話し工場見学へ。そこで目の当たりにした、膨大な手作業。何より、遠藤さんの「川茸を大切にしたい、知ってもらいたい」という熱い思いに三角さんは衝撃を受けました。「何かできることはないか…」。三角さんは、すぐに自分の店で川茸を出そうと決めました。

1品は、川茸の美しい色が映える刺身こんにゃく。もう1品は、生の川茸と、川茸の佃煮をトッピングとして加えた冷たい蕎麦。どちらも清涼感に溢れ、夏の晩酌にぴったりな“当て”に仕上がっています。「僕は、蕎麦を作ってお客様の前に出すだけ。でも、この皿一つにたくさんの人と時間が関わっている。その価値を味わってほしいなと思っています」

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最終更新:8/9(金) 15:40
九州朝日放送

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