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駆除か 静観か 割れる意見 規制も検討 クマが登山者襲う中札内村の山

8/10(土) 14:19配信

十勝毎日新聞 電子版

 7月中旬以降に登山者が相次いでクマに襲われ、北海道などが登山自粛を呼び掛けている中札内村のカムイエクウチカウシ山(1979メートル)は、事故後も登山者の姿が絶えない。行政側は「山はもともとクマの生息地」として駆除しない方針だが、登山者や専門家は「死亡者が出ないうちに駆除すべきだ」と意見が割れている。11日は山の日-。

 事故は7月11、29日の早朝に発生。帯広署によると、それぞれ男性が単独で札内川ヒュッテから入山し、山頂に近い八ノ沢カールで野営。翌朝、山頂を目指して登山中に10~20メートル先でクマ1頭と遭遇し、近づいてきて襲われた。29日にドクターヘリで札幌市内の病院に搬送された40代男性は、頭などに50針を縫う大けがを負った。

 道と道警、道森林管理局、中札内村は最初の事故発生後、登山者に自粛を呼び掛けているが、札内川ヒュッテに置かれた登山届を見ると、今月9日までに少なくとも40人以上が入山している。中には本州のツアー会社の名前もあった。

 道によると、2日には道警ヘリコプターが八ノ沢カール付近でクマ1頭を確認した。おじがクマ討ちだったという十勝山岳連盟の斉藤邦明会長(音更)は「一度、人を襲ったクマは、また襲う。同じ場所に居着いているかもしれず、駆除されない限り山には登れない」と話す。

 駆除の最終判断は地元自治体に委ねられるが、中札内村は「クマが集落で住民に危害を与えたわけではなく、襲われたのは山深い場所。駆除の対象にはならない」(住民課)との立場だ。それでも、連日登山者がいることから、道は「登山自粛」から「登山禁止」に切り替え、より強い態度で登山しないよう呼び掛けることも検討している。

 クマの生態に詳しい知床財団(オホーツク管内斜里町)の葛西真輔さんは「雄のクマなら、かなり広い範囲で生活するので、来年は離れている可能性はある。だが、雌は定着性が高い」とする。

 駆除に当たっては、同じ個体であることを裏付けるためのDNA型鑑定や、山深い現場でどうやって捜し出すかなどの技術的な問題もあるとして、「山でクマが人を襲っても、それに対応できる体制ができていないことも課題」と指摘する。(高田晃太郎)

最終更新:8/10(土) 14:19
十勝毎日新聞 電子版

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