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『スプラトゥーン』シオカラーズ、テンタクルズライブ振り付けの裏側。振り付け・めろちん&演出・橋口雄樹インタビュー

8/12(月) 13:02配信

ファミ通.com

文・取材:世界三大三代川、文・取材:堤教授

シオカライブ、ハイカライブ、テンタライブの演出&振り付け

 『スプラトゥーン』の歴史を語るうえで、忘れてはならないのが、シオカラーズやテンタクルズがおなじみの曲を歌って踊る、バーチャルライブ。生き生きとしたパフォーマンス、息を呑む演出は観客を魅了し、公演はすべて大盛況。配信にも多くの視聴者が集まり、『スプラトゥーン』の名物にもなっている。演出を手掛ける橋口氏、振り付け兼モーションアクターのめろちんさん、ライブ成功の立役者ふたりに、ステージに懸ける想いを訊いた。

『スプラトゥーン』&『スプラトゥーン2』インタビュー記事まとめ
https://www.famitsu.com/news/201907/21179901.html


橋口雄樹氏Twitter(@uk725suya)
めろちん氏Twitter(@melomelochin)
『スプラトゥーン』のダンスのジャンルは?


――まずは、『スプラトゥーン』のライブに関わることになった経緯からお聞きできますか?


橋口もともと、僕はVOCALOIDキャラクターのライブやVTuberフェスなど、ドワンゴ主催のバーチャルライブ全般の演出を担当していたんです。それもあって『スプラトゥーン』のライブには、企画構想ができ上がった段階から関わるようになって、そこで振り付けやモーションアクター、楽曲のアレンジなど、ライブに必要なことを考えたときに、『スプラトゥーン』仲間でもあり、一緒にダンス関連の仕事をしていためろちんに声をかけました。ライブの世界観やテイストも、めろちんにピッタリだと思って。


――もともと『スプラトゥーン』で遊んでいたわけですね。


めろちん橋口さんとは付き合いが長くて、『スプラトゥーン』もめちゃくちゃ遊んでましたね。

橋口楽曲のアレンジに関しては、5年前からいろいろなイベントをいっしょにやってきた大山さん(編注:大山徹也氏のこと。作・編曲家で、ベーシストでもある。)にお願いしました。スタートはそのふたりを呼んだところからですね。

イイダのショルキー、『あさってColor』の演出。『スプラトゥーン2』ハイカライブに込められた数々のこだわりを、アレンジ担当の大山徹也氏にインタビュー!
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――企画の最初からめろちんさんと大山さんの起用は決まっていたと。任天堂からはどんなオーダーがありましたか?


橋口まずは、僕らからアイデアを出さなければ、ということで、ドワンゴチームで作ったコンセプトを任天堂さんに持っていったんです。それを叩き台にして、打ち合わせを重ねつつ、振り付けはめろちん、アレンジは大山さんにしたいということも伝えました。


――ライブの演出というのは、どのように決めていくもなのでしょうか?


橋口いろいろな作りかたがあるとは思いますが、まずはコンセプト決めからですね。その後、お客さんに楽しんでもらうことを最優先に、僕らがやりたいことや任天堂さんが希望することなどをバランスを取りつつ内容を考えていきます。たとえば、シオカライブの時点でナワバリバトルの曲も演奏しよう、という提案もしましたが、最初のライブでしたので、まずはシオカラーズ楽曲にフォーカスにすることになって。その後、曲の順番やどんなアレンジにするかを決めていきました。


――めろちんさんや大山さんからアイデアが出てくることも?


橋口もちろんありました。いったん大枠の流れができた後、各演目の振り付けや演出に関してはめろちんといっしょに考えていくことが多かったです。めろちんは、『スプラトゥーン』の世界観を深く理解してくれているので、助かりました。

めろちん振り付けを考えたら、ラフの映像を送って、任天堂さんに確認していただくんです。ダンスをあまり経験されていない方が相手のときは、ほぼこちらにお任せで「これでオーケーです」っていう返答をいただくことが多いんですが、任天堂さんの場合は違いましたね。すごく細かいところまでチェックしていただいて、ここはこうしてほしい、こうしたらどうか、という意見をいただいて。ダンスの専門家ではなくとも、ライブをいいものにしたいという想いが伝わってくる返答ばかりで、とてもうれしかったです。

橋口任天堂さんの『スプラトゥーン』への愛を感じて、こちらもすごくやる気がでました。


――それは、たとえば「アオリだったらこういう動きをすると思うんです」といったお話が出てくるということですか?


めろちんそうですね。キャラクターのクセや特徴を教えてくれたりとか。

橋口振り付けの収録のとき、アートディレクターの井上さん(井上精太氏)が振り付け収録のためだけにたくさんラフスケッチを描いてもってきてくださって。すごくわかりやすかったですし、その情熱が本当にすごいなと。


めろちんその場でスケッチを描いてくださることもあって、とても進めやすかったです。


――力を合わせて作っていく、いい雰囲気だったんですね。


橋口『スプラトゥーン』の魂を任天堂さんが伝えてくれて、それをめろちんが吸収しつつ、自分の感性を加えるっていう、すごくいいチームでした。


――これまで明確にはされていませんでしたが、めろちんさんは振り付けだけでなく、モーションアクターとして、シオカラーズ、テンタクルズのモーションキャプチャーも担当されていたわけですよね。


めろちんはい。これまで振り付けをしていたことは言っていたんですが、モーションアクターのほうは言っていなくて。やっと言えます(笑)。


――満を持してですね(笑)。めろちんさんがモーションアクターをやることも最初から決まっていたんですか?


橋口振り付けとモーションアクターが別の方が担当することもあるんですが、彼はVOCALOIDキャラクターをはじめとするいろいろなバーチャルキャラクターの動きをいっしょに作ってきていたこともあって、経験が段違いで僕の意図したこと等をすんなり体現できるんです。だから、すべてめろちんに任せました。


――振りはどのように作っていくのでしょうか? サビの振りが浮かんできてそこに肉付けするのか、冒頭から作っていくのか、とか。


めろちん曲によって、あとはシオカラーズとテンタクルズでも変わってきますが、おっしゃる通りサビから作って肉付けすることが多いです。シオカライブやテンタライブを観たことがある方ならわかると思うんですが、大山さんが仕上げてきた音源がすごくカッコいいんですよ。聴いた瞬間にブワッと湧いてくるイメージと、自分の中の『スプラトゥーン』像をミックスさせて、振り付けを考えていきました。『スプラトゥーン』は、イカとタコがいる独特の世界観ですよね。だから、「よくあるふつうの振り付けではダメだ」と思い、ポップでカートゥーンなイメージも盛り込んでいます。あと、それぞれの曲に対して、必ずひとつはフックになるというか、印象に残る振り付けを入れるようにしています。

橋口この曲と言えばコレ! っていう印象付けは意識しましたね。


――ダンスにはいろいろなジャンルがありますが、『スプラトゥーン』はどれに当てはまりますか?


めろちん“魚介類”ですかね(笑)。

橋口(笑)。ジャンルは『スプラトゥーン』としかいいようがないよね。

めろちんそうそう。僕自身「自分のジャンルは“めろちん”です」って答えることが多いので、『スプラトゥーン』に関しては、『スプラトゥーン』と“めろちん”の融合なのかなって勝手に思っています。

橋口そこも、めろちんにオファーした理由のひとつですね。ロックとかヒップホップとか、ジャンルに縛られるダンスにしたくなかったんです。ジャンルが曖昧というか、新しいジャンルを生み出せるめろちんがベストでした。
アオリ、ホタル、ヒメ、イイダそれぞれのイメージ


――最初に振り付けした曲はどれですか?


めろちんたぶん『イマ・ヌラネバー!』ですね。観客もいっしょに手を振れる部分から考えた覚えがあります。このオファーをいただき、セットリストを見たときに、楽しみな思いもありましたが、ハードルが高すぎるっていうプレッシャーもあって(苦笑)。だからまずは、1曲あげてみないと始まらないなって思って、入れやすい振りから考えました。





“Splatoon シオカライブ 2016”『イマ・ヌラネバー!』は05:25頃から。



――ハイカライブの『イマ・ヌラネバー!』では、観客もシオカラーズやテンタクルズといっしょに踊っていて、一体感がありましたね。


めろちん何がうれしいって、振り付けが浸透してくれていることですよね。生放送のコメントでも、「この振り付け好き」って書かれると達成感があります。


――振り付けに関しては、開発スタッフから大きな修正希望が出ることもあったんでしょうか?


めろちんありましたね。なかには、ガラッと変えた曲もありました。『マリタイム・メモリー』だったかな。バラードというか、ゆったりとした曲って振り付けが難しいんですよね。さらに、シオカラーズやテンタクルズがやるっていうところで、テンポの遅い曲は全体的に苦戦した思い出があります。



“Splatoon シオカライブ 2016”『マリタイム・メモリー』は05:25頃から。




橋口任天堂さんの提案で変えることが多かったですね。テンタクルズの修正が多かったんだっけ?

めろちんシオカラーズのほうが振り付けが多いぶん、修正も多かったかな。でも、的を射た指摘と、どうすればいいかというアドバイスもいただけるので、修正はやりやすかったです。


――なるほど。修正もあって、振り付けは難航することもあったのでしょうか?


橋口キャッチボールしたものを、めろちんがすぐ反映できるので難航はしませんでした。ただ、収録はすべてひとりだったので、時間はかかりましたね。

めろちん収録は大変でした。これはモーションアクターとしての話なんですが、毎回ふたりぶん、ハイカライブの場合は4人ぶん踊っているから、同じ曲を少なくとも2回、もしくは4回収録しているんですよ。飛んだり跳ねたりが多いので、体力的な部分がきつかったです。観客の方からすれば、録った順番なんて関係ないですし、誰かひとりの動きが弱かったら絶対よくないので、毎回気合を入れました。


――やり直すこともあるでしょうし、各曲ひとり1回の収録では終わりませんよね? 1曲に対して何回くらい踊ることになるんですか?


めろちん基本的には複数回踊っていますね。踊っていると、それに合わせてキャラクターが動いているところがリアルタイムで見られるんですよ。それを任天堂の方々に見てもらっているので、ちょっと違うなとか、こうしたほうがいいかもっていう部分を修正しつつ収録を進めました。


――ユニットとしての動きもありますから、各キャラクターの位置関係も考慮しながら収録されているわけですよね?


めろちんはい。全部僕の頭の中で完結しているんですけど、かなり気を遣いますね。『フレンド・フロム・ファラウェイ』のように、イイダが振り向いた後、それを受けたヒメが反応して……みたいな振りがありますよね。『あさってColor』にも似たシーンがありますが、すべて頭の中で考えながら踊ってました。



“スプラトゥーン2 テンタライブ 闘会議2019”『フレンド・フロム・ファラウェイ』は24:50頃から。



――それはすごい……。アオリ、ホタル、ヒメ、イイダ、それぞれの動きで気をつけているところはどこですか? できればダンスを知らない人でもわかるように教えていただけると……。


めろちんパッと当てはめていくと、アオリは元気いっぱい、ホタルは丁寧、ヒメは天才、イイダはセクシー、くねくねっていうイメージです。


――わかりやすい! ヒメの天才というのは振り付け的にはどういうものに?


めろちん言葉の通り、ヒメって天才なんですよ。型にはまらないというか、動きを見てもわかる通り、踊りというよりは、完全にヒメにしかできない動きっていうイメージになってます。


――たしかに、ヒメは自由という印象がありますね。


めろちん自由ですね。媚びないというか。

橋口シオカラーズがアイドルでしたからね。テンタクルズは、アイドルでもダンサーでもないから、“天才アーティスト”っていう側面を出すように意識しました。任天堂さんからも、ヒメは型にはまらない感じで、と言われていました。

めろちんヒメの収録は、とくに楽しかったですね。

橋口いちばん自由だったよね。

めろちん当初の振り付けには、任天堂さんから「もっと男前な感じです」という指摘が入ったんです。それを指摘に合わせると素に近いイメージになったので、「じゃあ、僕の素でいいんですね」と。それで、わりと自由にやらせてもらってました。


――ヒメはめろちんさんの素に近いと(笑)。


めろちんはい(笑)。

橋口ほかは、もうキャラクターを入れ込んでがんばってたよね。イイダのとき腰痛めてたし(笑)。

めろちんイイダはセクシーなポーズが多いので、腰をくねらせので、腰が痛くなりました(苦笑)。



――めろちんさんの頭の中にキャラクターを降臨させつつ収録していたんですね。


めろちん「はいアオリ」、「つぎホタル」、「ヒメ来た!」、「イイダ入ってきた!」とか、そういう感じで。

橋口アオリのパートを録った後、つぎの曲にもアオリとホタルのパートがあるときは、引き続きアオリで、という流れで効率よく降臨させていましたね(笑)。


――アオリとホタルは振り付けの決まったダンスだと思いますが、ヒメとイイダは振りよりも演技に近いようなイメージもあるのでしょうか?


めろちん演技とも違って、振り付けを見せたくてパフォーマンスしているわけじゃなく、観客や曲を盛り上げるために振りを入れているっていうイメージですね。

橋口収録中も本当にライブをやっているような雰囲気でした。シオカラーズもテンタクルズも、振り付けが決まっている部分以外は、毎回動きは違うんです。その中でも、テンタクルズはとくに違いが大きかったですね。

めろちん振り以外のところはすべてアドリブなんですよ。だから同じ動きをしてほしい、って言われても難しいんです。

橋口「さっきのよかった」って言うんですけど、「どれだっけ?」って返されたりして(笑)。収録もライブのようで、任天堂さんも楽しんでいましたね。
『あさってColor』だけシオカラーズの法則を変えた意図


――シオカラーズとテンタクルズの動きの違いは、それぞれのキャラクターの違いの動きがいちばん大きいのでしょうか?


めろちんはっきり違うところは、シオカラーズは“踊りがシンクロしている”ということですね。

橋口シンメトリー(左右対称)に動いていたり、ふたりでひとつといった、アイドルユニットらしい振り付けになっています。


――シンメトリーに動きながらも、アオリ、ホタルらしさも出すと。


めろちんはい。踊りをピッタリと合わせつつも、ふたりの個性も出す、ということは意識しました。アオリはホタルよりもはしゃぎ気味で、とか。同じ振りでもアオリは足を開いていて、ホタルは閉じている、という場面もありますね。

橋口振り付けもそうですが、MCの部分がいちばんゲームの姿に近いから、かなりこだわりました。

めろちんそうですね。踊りよりもMCのほうが苦戦したかも……。

橋口その場で見ていた任天堂の方が、キャラクターの重心についてアドバイスをくれたりもしました。

めろちんホタルは基本的にどちらかの足に重心が乗っていて、気だるい感じが出ている、アオリははしゃいでいるけどかわいこぶっているわけじゃない、といったイメージを教えていただいて。そこを動きに反映させるのがたいへんでしたね。


――テンタクルズもMCはたいへんしたか?


めろちんいえ、むしろ間を作らずに動き回るので、テンタクルズのほうがやりやすかったです。

橋口難所はイイダの腰くらいですかね(笑)。

めろちん腰はとにかく難しかったです。


――大山さんにインタビューしたとき、「めろちんはイイダのスクラッチの音に合わせて、その動きを反映させてくれたりと、細かな音まで汲み取ってくれる」とおっしゃっていました。そういった部分は、曲を聴いたらすぐに思いつくんですか?


めろちんたまたま僕もDJ活動をしていて、キーボードやピアノもやっていたので、そこは動きに活きていますね。イイダがショルダーキーボードを持ち出す場面では、実際にキーボードを持って動きを録ったんですけど、指の動きまで曲とシンクロできていると思います。スクラッチも、近寄って見ると手をクロスさせたり、フェーダーを動かしたりして、再現度は高いはずです。



――いろいろな経験が活かされているんですね。


橋口まさに適任でした。

めろちん個人で活動してるときも、DJしつつ踊ったりもするので、そういう意味ではイイダと同じようなことをしているわけで。あまり悩まずに行けました。


――振り付け以外の部分はすべてアドリブなんですか?


めろちん踊っていないところはアドリブです。もとの曲ではなく、アレンジされた音源をしっかりと覚える必要あり、そこがいちばんたいへんでした。

橋口収録の現場では、僕がガイド役になって目の前でテンポをとってあげたり、「つぎはこの動き」とか指示を出したりしてやっていましたね。


――先ほどのお話にあった『あさってColor』や『フレンド・フロム・ファラウェイ』などの間奏での掛け合いもすべてアドリブで?


めろちん基本的には僕が想像して、こういうことをやりたいって相談させていただいてから録っています。『あさってColor』は、相方がいないと苦しい、お互いを大切に思っているというふたりの想いを表現しました。『フレンド・フロム・ファラウェイ』もふたりの想いを描いている部分では似ていますが、もっと前向きに、観客ともいっしょに手を振る動きにしています。これは、任天堂さんからの要望でもありました。

橋口『フレンド・フロム・ファラウェイ』は観客も入り込める曲にしようっていうコンセプトがあったので、そこをめろちんが膨らませてくれました。

めろちんちなみに、テンタクルズのふたりがいちゃいちゃしているのは、僕がやりたかっただけです(笑)。表情に関しても、僕から笑顔にしてほしいってお願いしている場面もあります。


――会場もコメントも感動に包まれてました。泣いている人も多かったですね。


めろちん本当によかったです。これは小ネタなんですけど、シオカラーズは基本的にシンメトリーに踊っているんですが、『あさってColor』だけは同じ方向で踊っているんですよ。決していままで仲が悪かったわけではありませんが、改めていっしょになったことで同じ方向で踊るっていう、僕のこだわりです。





“スプラトゥーン2 ハイカライブ 闘会議2018”『あさってColor』は16:32頃から。



――おお……。それを聞いてから改めてライブを観ると鳥肌がたちますね……!


橋口めろちんからそのことを相談されたとき「やるじゃん!」って思いました。

めろちん『あさってColor』は、イントロがいちばん好きなんですよね。スッと歩き出すところが個人的に好きで。ふたりの姿が見える前に、光が出てくる演出もよかったですね。

橋口『あさってColor』は、とてもいい演目でしたよね。バーチャルライブは、照明の当てかたがすごく難しいんですよ。強く光を当てるとキャラクターが消えてしまうので、前をかすめるようにしたり、出力の部分を調整したりと、いろいろ工夫しています。


――ああ、いま観ると、冒頭の光の演出のあとに踊り出すので、シンメトリーじゃないことがわかる瞬間でもありますよね。


橋口そこまでわかって観ている人がいたらすごいですね。

めろちんさすがにそういったコメントは見たことがないかなあ。ライブの生放送のときって、お客さんの顔がちらっと映るじゃないですか。小さいお子さんから大人の方まで、全力の笑顔でサイリウムを振っているのを見ると、僕が泣いちゃいます(笑)。


2019年のテンタライブは、ひとつの完成形
ブキのモーションを入れた振り付け


――そのまま各曲の演出などもうかがっていきます。『イマ・ヌラネバー!』での4人の共演や『ナスティ・マジェスティ』でのテンタクルズの色変え、『フルスロットル・テンタクル』でのヒメの反復横跳びからのメガホンレーザーについての秘話はありますか?


橋口ハイカライブでは、シオカラーズとテンタクルズの両方が出演することが決まっていたので、ぜひ共演させたいっていう流れになったんです。任天堂さんから「『イマ・ヌラネバー!』がいいのでは?」という提案を受けて実現させました。『ナスティ・マジェスティ』での色変えは、ちょうどテンタクルズの新カラーが出るタイミングだったというのもあり、導入することになったんです。これも任天堂さんとの話し合いで出たアイデアでしたね。ヒメの反復横跳びは、めろちんのアイデアだったよね?

めろちんそうですね。ゲーム内でヒメが反復横跳びしながらくるっと回転しているんですが、それもしっかり再現して。ヒメを観察するために、何回も『オクト・エキスパンション』のボス戦をやりましたから。

橋口メガホンに関しては、ドワンゴの中野真(スプラトゥーン甲子園のスタッフであり、解説なども担当する)と話しているときに出てきたアイデアです。任天堂さんからも「何か大仕掛けがほしい」という要望をいただいていたので、メガホンレーザーのアイデアを話してみたら「いいですね!」という反応だったので、導入することにして。でも、どうやってメガホンレーザーを再現するかは悩みましたね。最終的には、すごく大きな扇風機を借りてきて、風と煙と光でメガホンレーザーを表現することになったんです。


――ああ、あれは扇風機を使っていたんですね!


橋口会場全体には風は届かなくて、会場の前方の方だけ風を浴びていると思います。ヒメの「マ゛ーーーーーーーーーッ!!!!」に合わせて、風が出ているんです。

めろちん収録のとき、ヒメの仕草を真似するのがすごく楽しかったですね。『ミッドナイト・ボルテージ』でテンタクルズが着替えて出てくるとき、ヒメが下から飛び出してくるのは、僕が熱望した演出です。






“スプラトゥーン2 テンタライブ 闘会議2019”『ミッドナイト・ボルテージ』は20:15頃から。





――あの演出も盛り上がりましたね!


橋口すごくカッコよかったですよね。『ミッドナイト・ボルテージ』は、テンタライブで初出しの曲ですし、ライブでは初めて私服に着替えるということで、盛り上げたいなって思っていたんです。最初はふたりいっしょに下から徐々に出てくるようにしていたんですが、めろちんからの提案もあり、ヒメが飛び出してくる形になりました。


――ちなみに、とある曲にブキの動きを入れているとお聞きしたんですが、詳しく聞かせていただけますか?


めろちん『フライ・オクト・フライ』ですね。意識して動画を観ていただいたら、1発でわかると思います。連続でブキのモーションをしているんですよ。マニューバー、ブラスター、スロッシャー、パブロ、ローラーの動きをした後、最後にナイスダマっていう流れです。


“スプラトゥーン2 テンタライブ 闘会議2019”『フライ・オクト・フライ』は29:40頃から。


橋口めろちんがその動きを持ってきたとき、めっちゃ感動しました。


――それは、めろちんさんのアイデアですか?


めろちんはい。シオカライブ、ハイカライブを経て、テンタライブの最後に振り付けした曲でもあるので、いままでの経験・知識を総動員しました。その結果、あえてベタに、直接的にゲームにアプローチしようと思って、ブキの動きを入れてみたんです。最初にこの曲のアレンジを聴いたとき、すごくテンションが上がって、なんとしてもいいものにしたいっていう思いがありました。


――すべての集大成というわけですね。


めろちん振り付け自体はすぐに思いつきましたね。たぶん10分くらいしかかかっていないと思います。


――めろちんさんのアイデアが随所に入っているんですね。細かい部分ですが、ハイカライブの最後にヒメが立ち去るときの振り返って両腕を上げるポーズが、闘会議版とニコニコ超会議版で腕を上げている時間が違いましたよね。


めろちんああ、あれも僕の悪ふざけですね(笑)。あのポーズは、マイケル・ジャクソンの“THIS IS IT”を意識して。



――そのほか、注意して見てほしいところなどはありますか?


めろちん回数を重ねるごとに、ライブがより引き込まれるものになっているっていうところは注目していただきたいですね。すべての経験が活かされて、どんどんよくなっています。

橋口シオカライブから、観客と一体になるという試みは続けていました。ハイカライブ以降も、もっと臨場感のあるライブらしいものにしようと試行錯誤を続け、2019年のテンタライブは、ひとつの完成形を迎えたという手応えがあります。

めろちん具体例を挙げると、『フルスロットル・テンタクル』のイントロは、闘会議ではポージングを決めているだけだったんですが、ニコニコ超会議からは手拍子で煽っているんです。そういった変化は、もちろんお客さんの反応を見て決めているので、ライブのたびに勉強させてもらってます。

橋口ライブの経験は、必ずつぎの収録に活かされてますね。

めろちん僕もイイダと同じようにDJをしていることもあって、観客を煽りたい、盛り上げたいっていう気持ちが強いんです。ヒメは、ラップ中は自由に動き回っていることが多いんですが、その最中はイイダが手拍子で煽っているっていうのは、こだわりのポイントだったりします。


――ヒメは座り込んで観客を見つめたりして、芸が細かいですよね。



橋口緩急がついていて、カッコいいですよね。

めろちんヒメは動画で映っていないところでも、けっこう細かいことをしているんですよ。

橋口収録を見ているとおもしろいですよ。急に座り込んだりして、「めろちん疲れたのかな?」って思ったりもしました(笑)。あと、テンタライブでは、ライブ感をより強めるためにバンドの演奏からスタートさせたんです。


――バンドの演奏もすごく盛り上がりましたね。


橋口先ほども言いましたが、シオカライブのころからゲームのバトルBGMもライブに入れ込みたいと打診していたんです。ライブを重ねていく中で、そろそろ違った刺激を与えたいということで改めてバンド演奏の提案をしたら、任天堂さんからも「やりましょう」という話になって。だから、ハイカライブはフェス仕様のスタートだったのが、テンタライブはふつうのハイカラニュースから始めたんです。


――ハイカラスクエアから移動しているあいだに、バンドが盛り上げるっていう演出もおもしろかったです。


橋口バンドが演奏するナンバーは、任天堂の峰岸さん(峰岸透氏。『スプラトゥーン』シリーズのサウンドディレクター)といっしょに考えました。峰岸さんがピックアップしてくれた曲と僕の想定がほぼ同じで、そこはよかったんですが、曲数と分数をどうするかすごく悩みましたね。長すぎてもダレてしまうので……。最終的に少しずつ流すメドレー形式にする、という形に落ち着き、絶妙な長さに収めることができました。峰岸さんと「バッチリでしたね」って自画自賛していました(笑)。


――本当に最高でした! バンドのステージBGMだけでもライブが成立しそうですよね。


橋口今年からバンド紹介も入れられるようになり、テンタクルズとバンドがひとつのチームとしてステージに立っている雰囲気が出せてよかったです。


――一方で、ファンがライブに期待するハードルがどんどん上がっている気がします。


めろちんその点は、いつもみんなで話してますね。

橋口正直、2019年で完成した感はありますが、もしつぎがあっても超えるんでしょうね。

めろちん余裕ですよ!

橋口つぎもサクッと超えていけるよね。このチームなら。



編注:このインタビュー(2019年6月に実施)の後、京都・国立京都国際会館にて、2019年10月13、14日に開催される“Nintendo Live 2019”内で、“ハイカライブ KYOTO MIX”が行われることが発表された。詳細は下記の記事にて。



『スプラトゥーン』京都でハイカライブ開催決定。シオカラーズ&テンタクルズが関西初上陸!
https://www.famitsu.com/news/201908/01180726.html


――心強い! でも、毎回新たなことに挑戦するのは大変そうですね。


橋口大丈夫です。天才のめろちんがいるんで。

めろちん何その上げかた(笑)。


橋口いや、本当に信頼しています。とくにめろちんと大山さん。そこに、任天堂さんの魂が入れば最強です!


――大山さんもおっしゃっていましたが、皆さんお互いの信頼感が強いですね。


橋口最初のシオカライブのときから、僕と大山さんで考えたライブアレンジを任天堂さんも信頼してくださっていましたし、ハイカライブ以降は、峰岸さんもエンジンがかかってきて、大山さんといっしょに曲構成を考えてくださるようになって。それからは、僕はほとんど音楽のディレクションはやっていないんです。もちろん、方向性の話し合いなどはしますが、大枠が決まったら、ほとんど峰岸さんと大山さんだけで完結していました。

めろちん振り付けに関しては、シオカライブのときは修正が多くて、ちょっとたいへんでした。でも、回数を重ねるに連れてほとんど修正はなくなっていきましたし、お互いの魂が近づいてきたという実感があります。


――まさに阿吽の呼吸になっていたと。


橋口全員が“こうすれば、こう応える”という信頼関係を持ったうえで、それぞれが高いクオリティーのパフォーマンスを出せているからこそです。


――皆さん持っている“『スプラトゥーン』愛”の強さゆえというところもありそうですね。


橋口そうですね。そもそも、僕とめろちんが『スプラトゥーン』の大ファンですから。

めろちん『スプラトゥーン2』の発売日は僕の誕生日と同じなんです。これって、運命と言うしかないですよね!

橋口1週間ずれてたら僕の誕生日だったんだけどなー(笑)。
観客の反応が入って完成するライブ


――そもそも『スプラトゥーン』に興味を持ったきっかけは何だったんですか?


めろちん僕が遊び始めたのは、リリースから半年後くらいで、けっこう遅かったですね。食わず嫌いなところがあって、発売直後はやっていなかったんですが、友だちに誘われて遊んでみたらハマっちゃいました。

橋口僕は、発売日からガッツリです。E3で『スプラトゥーン』が発表されたときからのひと目惚れで、Wii Uごと買って遊んでましたね。


――おふたりの好きなブキは?


橋口僕はスパッタリーですね。最近はスパッタリークリアを使うことが多くなりました。ルールによって種類は変えるんですけど、基本的にはスパッタリー系しか使わないです。ほかのブキを練習すると、勝てなくなっちゃうんですよ。たまに練習してみるんですけど、勝てなくてウデマエが落ちるからけっきょくスパッタリーに戻る、っていうのをくり返してます。

めろちん僕は、スプラマニューバーベッチューですね。


――ふたりともマニューバーなんですね。


橋口『スプラトゥーン』のときはスプラシューターコラボじゃなかったっけ?

めろちんバケットスロッシャーが多かったかな。奥に行って、ひたすら蹂躙してました。


――おふたりが好きなルールは?


めろちんガチエリアとガチヤグラが好きですね。ガチアサリは苦手です。

橋口僕はガチアサリがいちばん成績がいいです。


――ちなみに、最高のウデマエは?


めろちんガチエリアがウデマエXですね。

橋口僕は、S+なんですよ。めろちんもそうですけど、まわりのドワンゴ社員もXが増えてきたので、時間を作って本気でXを目指そうかなって思ってます!


――そして最後になりますが、2019年7月24日には、テンタライブのライブCDが発売されますね。初回限定盤には、ヒメとイイダの振り付けが全部観られる“振り付けVer.”も収録されています。


『スプラトゥーン2』テンタクルズのライブCD発売決定。初回限定盤はBlu-ray付き。サントラ未収録のバトル曲も収録
https://www.famitsu.com/news/201905/23176519.html
『スプラトゥーン2』“テンタクルズ”ライブCDに、ファイナルフェス告知映像の曲が追加収録決定。ヒメとイイダの“振り付けver.”映像も公開!
https://www.famitsu.com/news/201906/17178173.html

めろちんこれが本当にうれしい! 動画では映っていないところまでこだわって振り付けをしているので、ぜひ細かいところまで見てほしいですね。

橋口今日お話した内容を思い出しながら、映像を観ていただけると、もっと楽しいと思います。

めろちんやっぱりカメラだともどかしいところはあるんです。「ここを映してしてほしかった」っていうときもありますので、今後機会があるのかわかりませんが、ぜひ生で観てほしいです。ライブでは、歌やボイスを担当されていたアーティストの方々もいらっしゃっていて、同じ関係者のところで観るのがエモかったですね!

橋口関係者の方々、みんなでいっしょに観ていて、みんなで子どもを見守るような感覚ですね。


――感動して涙を流している方も多かったですね。


めろちんパフォーマンスもそうですけど、お客さんの反応を見て感動しちゃうことが多いんです。

橋口観客の反応が入って初めてライブが完成するんだって実感します。リハーサルで何回もステージを観ていますが、お客さんが沸いているあの瞬間がやっぱりたまらないですね!
めろちんダンス振り付けピックアップ

最終更新:8/12(月) 13:02
ファミ通.com

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