ここから本文です

気が付けば、パトリック・リードに「漁夫の利」を許した他選手たち【舩越園子コラム】

8/12(月) 12:38配信

ゴルフ情報ALBA.Net

米ツアーのプレーオフ第1戦「ザ・ノーザントラスト」を制したのは、2018年の「マスターズ」覇者、パトリック・リードだった。

日本では“シブコ・フィーバー”に沸く1週間でした【フォトギャラリー】

最終日を単独首位で迎えたリードは、一時的に首位から後退する場面も見られたが、終盤に巻き返して堂々の勝利。リードのプレーぶりが実に見事だった一方で、他選手たちの動向と重ね合わせて眺めると、“漁夫の利”という言葉が浮かんでくる。

このところ、米ツアーのいわゆるスター選手たちが、どうも振るわない。今大会はリッキー・ファウラーもジェイソン・デイも予選落ちで、タイガー・ウッズは途中棄権。フィル・ミケルソンは71位タイに終わった。

成績が振るわない原因はさまざまだが、振るわない選手の大半はメンタル面から技術面へ悪影響が及ぶ「負の連鎖」に苦悩している。今大会2日目に単独首位に立ちながら24位タイに終わったダスティン・ジョンソンも、まさにそれで苦しんでいる。

やはり2日目にトップだったジョンソンと1打差の2位に浮上したジョーダン・スピースは、ジョンソン同様、3日目に「74」を叩き、後退した。だが、それでも最終日に「67」と巻き返し、6位タイに食い込んだことは久々の朗報だった。

スピースは2017年の「全英オープン」であの“練習場ショット”を披露して優勝して以降、この2年以上の間に1勝も挙げていないことは、メンタル面と技術面、双方に起因すると考えられる。予選2日間は好位置につけても、決勝2日間は大きく崩れてしまうスピースの苦戦ぶりを、米メディアは「スピースのウィークエンド・ホラーショー」と呼んでいるほどで、そうなってしまう根本原因が彼の自信の欠如であることは明白だ。

人気選手であるジョンソンやスピースの成績不振は、ファンにとっては残念な状態だが、ゴルフに不調はつきもの。それゆえ、こればかりは、彼ら自身のメンタル面、技術面の立て直しを祈りながら待つしかない。そして、ゴルフファンなら誰もが彼らの現在の苦境を理解し、温かく見守っているのだろうと思う。

しかし、今大会における「スロープレー問題」の侃々諤々(かんかんがくがく)ぶりには、そのまま頷けない部分が多々あった。スロープレー問題は世界のゴルフ界の長年の懸案だが、今大会中、ブライソン・デシャンボーのスロープレーぶりを示す動画がツイッターで発信されたことに端を発し、選手たちからデシャンボー批判が次々に噴出。デシャンボーが激しく応酬したため、事態はさらに悪化した。

ジャスティン・トーマスが辛辣にデシャンボーのスロープレーぶりを批判したのは、トーマスとデシャンボーが同組で回ったからではあった。だが、トーマスは今年の序盤は新ルールを、そして今回はスロープレーを批判。もちろん、他選手たちの声を代弁し、正しいことを言っていたのかもしれないが、何かを批判するトーマスの声のボルテージが上がるにつれて、彼の成績は下降線を辿っている。

ブルックス・ケプカもデシャンボーのスロープレーぶりを激しく批判し、こともあろうに日曜日の朝の練習グリーン上で彼らは激突。それからティオフしたデシャンボーは24位、ケプカは30位に終わった。

そんななか、“気が付けばリードが勝っていた”という印象は否めない。昨年のマスターズ優勝後、不調に陥っていたリードは、今年5月にリフレッシュのために10日間のオフを取り、健全な心身、健全なゴルフを取り戻し、そして復活優勝を遂げた。

「コースに出たら、ただしっかりとゴルフをするのみ」

リードが口にしたこの言葉は、皮肉にも「全米プロ」で勝利したケプカの言葉とまったく同じだった。大事なプレーオフ第1戦で、目の前のゴルフに集中できたリードは、ひっそりと通算7勝目を挙げ、166万5000ドル(約1億7500万円)の優勝賞金を獲得。フェデックスカップランクを50位から2位へアップさせ、気が付けば、ケプカを脅かす存在になっている。

あれやこれやと問題が浮上し、感情的になりがちなのは、ゴルフも人生も同じこと。だが、見失ってはいけないものを見続けることが何より大事。そんな教えを誰もが胸に抱いた1週間だったのではないだろうか。

文・舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

(撮影:GettyImages)<ゴルフ情報ALBA.Net>

最終更新:8/12(月) 12:39
ゴルフ情報ALBA.Net

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事