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カメラのレンズに2000年ぶりのイノベーション! 球面収差を「完璧に」打ち消す数式が発見される

8/13(火) 11:01配信

ギズモード・ジャパン

ワッサーマン・ウルフ問題を解決

今までは、この球面収差効果を修正する、または打ち消す効果を持つ新しいタイプの非球面レンズが登場したり、デザインや製造方法の向上によりこの収差を弱める手法をとったりすることで、現代のレンズ製法は限りなく均一にシャープな画像を作り出すことができるようになっています。レンズメーカーは用途によって非球面形状をひとつひとつ実験しながら導き出さなくてはならなくなってしまうため、これらのレンズは完全に球面形ではないばかりか、生産に大きなコストが伴ううえに、製造とデザインは困難を極めます。

ここにきて、この"常識"が覆されることになるのです。これもメキシコのモンテレイ工科大学所属の博士課程に所属するラファエル・ゴンザレス=アクーニャさんのおかげです。数ヶ月の研究の後に、誰もが目を剥くような奇抜な方程式を駆使して、この球面収差の反作用となる分析的な「解」を導いたのです。この解は、時を1949年にさかのぼる「ワッサーマン・ウルフ問題」と呼ばれる難問の「解」となりました。

新たなレンズで科学分野にも新たな光がもたらされる

普通の人がこれを見ても、たぶん「俺は物理や数学にはむいてないな」って余計に思い知らされるくらいでしょうが、レンズメーカーにとっては球面収差がまったくないレンズのデザインの青写真となる貴重な数式です。レンズの大きさや素材、その用途には関係なく、この数式は光学的に完璧なデザインに必要な数字を導くことができる魔法の数式なのです。

この画期的発見は、惜しみなくお金を注いだレンズのほんの小さなフォーカスのずれにも機嫌が悪くなる気難しい写真家を喜ばせるだけのものではありません。望遠鏡や顕微鏡など鮮明さが増せば新しい発見につながる、科学用途のイメージング分野で使用する機器に大きく貢献することになるでしょう。

一般の消費者ですら、この論文から得られるものは大きいはずです。メーカーは要素の少ないシンプルなレンズを製造できるようになり、画像のクオリティが大きく飛躍する一方で、レンズはこれまでよりぐっと安価になるのです。これはスマホやデジカメなど、あらゆるレンズ・光学機器で活用されていくことが予想されます。

Kaori Myatt

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最終更新:8/13(火) 11:01
ギズモード・ジャパン

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