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タイ洞窟の閉じ込め事故から1年 少年たちを翻弄する「ビッグな話」 耳打ちされた「取材拒否」の理由とは

8/17(土) 7:00配信

withnews

様変わりした洞窟 観光客押し寄せる

 当時、周辺はパイナップル畑が広がり、洞窟の近くに小さな小屋がある程度でした。それが今や、近くの道には露店が並び、パイナップル畑はカフェに。何度も往復した洞窟までの道は、満員の客を乗せたバスが行き来し、観光客用の馬も歩いています。

 メディアが机や椅子を並べていた広場には、どーんと大きな建物が。「洞窟記念館」で、中には救出劇に携わった人たちの壁画や、みやげものまで売っています。あたりは観光客でごった返し、あちこちで記念撮影していました。

 記念館を訪れた教師のピヤチャット・エカサポーンタウィーさん(38)はチェンマイから4時間かけて車でやってきたそうです。「奇跡的に全員が無事で救出された場所を是非見てみたかった」。少年たちが閉じ込められていた当時、毎日テレビにかじりついて状況を見守っていたといいます。「初めはニュースの一つとして見ていたけれど、次第に子どもたちが自分の親戚のような気がして……」

 救出では日本の国際協力機構(JICA)も技術協力しました。「日本を始め、いろいろな国の人たちが力を合わせて実現させた。本当に素晴らしい出来事だった」とピヤチャットさん。

 洞窟の入り口を訪ねると、しっかりとフェンスがはられ、入れないようになっていました。気になったのは、あちこちにカメラを持って観光客をパシャパシャ撮影したり、「撮影しませんか」と声をかけている人たち。

 「記念写真」を1枚100バーツ(約350円)で売っていたのです。まるでテーマパークのようでした。

 店番の人に聞くと、平日は今でも1000人、週末は2000人ほどの人が洞窟を訪れ、1割くらいの人が写真を買っていくといいます。「一番多いときは1日5000人くらい来たこともあった。それより減ったけれど、今もすごい人気」

 地元の人はこの変化をどうみているのでしょうか。

 洞窟のすぐそばにあるパイナップル畑で働いていたウィーチュー・ムーコーさん(30)さんは、「子どもたちが助かったのはよかったけれど、この騒ぎには驚いたわね。道もきれいになったし店も増えたけれど、私たちの生活は何も変わらない」。

 朝8時から夕方5時まで働いて、1日の稼ぎは300バーツ。「洞窟のはこんなに近いのに、私たちとは遠いできごとみたい」

 少年たちが無事に救出され、今も元気でいることは、もちろんすばらしいんですが。

 もやもやしたものを胸に抱えたまま、現場を後にしました。

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最終更新:8/17(土) 7:00
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