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中国経済に嘆き節…「想定超の悪化」京セラ、オムロンに悲観論 堅調の村田製作所も警戒

8/13(火) 20:00配信

産経新聞

 米中貿易摩擦が、日本の大手電子部品メーカーを苦境に立たせている。令和元年4~6月期の連結決算は、自動車向け部品が主力のアルプスアルパインが最終損益で赤字を計上するなど各社が低迷。増収増益を確保できたのは村田製作所だけだった。トランプ米政権が中国を「為替操作国」に認定し、米中対立の深刻化で世界経済の不透明感は増すばかり。各社の業績が今後、一段と悪化する恐れさえある。経営陣からあがるのは、減速する中国経済に対する嘆き節だ。(林佳代子)

 ■弱まる中国設備投資「もう回復は」…

 「中国の市況は期初(4月)の想定を超えるレベルで悪化している。年間を通じて復活するのは難しいとみている」

 自動車や半導体工場向けの制御機器を手がけるオムロンの井垣勉執行役員は、7月下旬の決算会見で中国経済の先行きに関して厳しい見方を示した。

 同社の4~6月期の最終利益は前年同期比で41・8%減の85億円。本業のもうけを示す営業利益も41・2%減の100億円だった。中国で企業の設備投資が伸び悩み、主力の制御機器事業の営業利益が22・1%減となるなど苦戦した。

 「半導体関連の需要が昨年から大幅に落ちた。今期(令和2年3月期)はもう回復しないだろう」

 京セラの谷本秀夫社長は米中貿易摩擦の影響をこう嘆いた。同社は自動車や半導体製造装置向けの部品の販売が振るわず、最終利益が24・2%減の320億円にとどまった。

 電子部品各社の業績は近年、中国市場の旺盛な設備投資や個人消費に支えられてきた。ところが昨秋以降、米中貿易摩擦に伴う中国景気の減速が各社の業績を直撃。

 当初は中国市況について「令和元年4~6月期には回復する」との楽観的な見方もあったが、実際は悪化の一途をたどり、悲観論が強まってきた。

 ■堅調の村田製作所、通期予想は…

 7月に発表された中国の2019年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、1~3月期から0・2ポイント縮小。前年同期比6・2%増だったが、リーマン・ショック直後の09年1~3月期を下回り、四半期ベースで1992年以降で最低だった。長期化する米国との貿易摩擦が、成長の勢いを削ぎ、足元で日本メーカーの業績にも響いてきた。

 アルプスアルパインは4~6月期の連結決算で増収を確保したものの、車載向け部品の販売が減少するなどして最終損益で11億円の赤字(前年同期は38億円の黒字)に転落した。ロームもカーナビや制御機器関連の部品の販売不振が響き、最終利益が59・3%減に落ち込んだ。

 不振にあえぐ各社を尻目に増収増益を確保したのが村田製作所だ。最終利益は前年同期比20・1%増の468億円。世界首位のシェアを誇る積層セラミックコンデンサー(MLCC)で値上げが浸透したことに加え、利益率の高い車載向けの販売が大幅に伸びたことが業績を牽(けん)引(いん)した。

 それでも、7~9月期以降の事業環境については慎重な姿勢を崩しておらず、最終利益で17・8%減を見込む通期の業績予想を据え置いたままだ。竹村善人取締役は7月末の決算会見で、米国による対中追加関税「第4弾」の発動への警戒感を示し、「インパクトを注視していく」と述べた。

 ■頼みの綱は電気自動車

 目下、部品業界が頼りにしているのは中国が普及に力を入れる電気自動車(EV)向けの部品需要。日本電産の令和元年4~6月期の営業利益は38・8%減となったが、永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は、中国でのEV向けの駆動モーターの受注は急増しているとし、生産を強化する構えだ。

 ただ世界経済に垂れ込める暗雲は濃くなっている。トランプ米政権は今月5日、中国が人民元相場を安く誘導しているとし、制裁対象となる「為替操作国」に認定した。米中の対立はついに為替政策にまでおよび、新局面に突入した。日本企業にとって、米中の対立問題は、韓国への輸出管理の厳格化の影響に比べてはるかに大きい。新興国を巻き込む通貨の攻防は、企業の経営戦略を揺さぶりかねない。

最終更新:8/13(火) 20:00
産経新聞

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