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「彼」「彼女」ではなく中性的な代名詞を使うと性的偏見が軽減 研究

8/13(火) 12:02配信

The Guardian

【記者:Ian Sample】
 ジェンダーニュートラルな(性別を問わない)代名詞は男性優位の偏見を減らし、女性やLGBT(性的少数者)に対して肯定的な感情を促すことが新たな研究で分かった。研究者らは成果と捉え、言葉遣いを少し変えるだけで、ジェンダーにおける長年の不平等を減らす助けになると考えている。

 研究を行った米ロサンゼルス・カリフォルニア大学のエフレン・ぺレス教授とミズーリ州セントルイス・ワシントン大学のマーギット・タビッツ教授は、3000人以上のスウェーデン人を対象にジェンダーニュートラルな代名詞の影響を調べた。スウェーデンは、2015年に英語の「she(彼女)」「he(彼)」に相当する「hon」「han」の他にジェンダーニュートラルな「hen」を採用している。

 研究を本格的に始める前に、参加者は中性的な人物が犬の散歩をしている絵を渡された。そこから参加者はランダムに3グループに分かれ、その絵で何が起こっているのかを書くよう指示された。ただし、一つ目のグループでは中性的な代名詞のみ、二つ目のグループでは女性の代名詞、そして三つ目では男性の代名詞しか使用してはいけないというルールが設けられた。

 次に、研究者らは参加者に対し、名前やジェンダーがなく、特定の政治団体に属していない人物に関する短い物語を完成させるよう指示。そして、女性やLGBTに関する自身の考えを明らかにする質問に答えてもらった。

 米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載した論文によると、絵を見て答える課題でジェンダーニュートラルな代名詞を使用した参加者は、自分が考えた話で男性ではない名前を使う傾向があった。また、ジェンダーニュートラルな代名詞を使うことで、LGBTの人々に対しても肯定的な感情が増すとみられる結果が出た。研究者らは、「hen」という言葉が男性優位な偏見をなくし、他のジェンダーに対する認識を高める一助になったと考えている。

 スイス・ベルン大学で社会心理学を教えるサビーヌ・セズニー教授は、この研究は、ジェンダーインクルーシブな(あらゆる性別を含んだ)言葉遣いが性的偏見を軽減し、「ジェンダーやLGBTの平等な権利と寛容を促すことに貢献」できることを改めて証明したと指摘している。

 一方、英語では、「they」が性別に中立な単数代名詞として使われている。この使い方を許容できないとする文法学者もいるが、用法自体の歴史は古い。オックスフォード英語辞典によると、1375年のロマンス詩「パレルモのギヨーム」には「they」の単数代名詞としての使用例が登場する。

 オックスフォード英語辞典の編集副主任を務めるジョナサン・デント氏は、「少なくとも19世紀半ば以降から、文法的にも受け入れられるジェンダーニュートラルな単数代名詞や形容詞が新たに造られた」と指摘。「米国の作家らは1860年から1870年に『(s)he』『s/he』そして『ze』という表記や新たな代名詞をもたらした。また、カリフォルニアのサクラメント・ビー紙は『hir』を採用。これは1910年に『hier』として提案されていた代名詞を短くしたもので、『him』や『her』、『his』や『her』の代わりに1920年から1940年代後半にかけて使われた」と説明している。

 またデント氏は、「近年ではノンバイナリー(男女どちらの性別にも属さない人)に対する認識が高まり、『he』と『she』が排他的になるケースが増えてきた。その代わりに『they』や『ze』『zir』『hir』などの代名詞が単数の個人に対して使われるようになり、好んで使う人もいる」と付け加えた。【翻訳編集】AFPBB News

「ガーディアン」とは:
1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

最終更新:8/13(火) 12:07
The Guardian

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