ここから本文です

高速で自転するパルサーの加速現象「グリッチ」を詳細に観測した研究成果

8/13(火) 21:50配信

sorae 宇宙へのポータルサイト

オーストラリアのモナシュ大学は8月13日、パルサーの自転が瞬間的に速まる「グリッチ」と呼ばれる現象に迫ったGreg Ashton氏らの研究成果を発表しました。研究内容は論文にまとめられ、8月12日付でNature Astronomyに掲載されています。

パルサー「PSR J0348+0432」の想像図(YouTube)

■パルサーの5%はときどき自転が速くなる

パルサーとは、恒星の超新星爆発によって誕生した高密度の中性子星のうち、パルス状の電磁波(光、電波、X線など)が観測されるものを指します。

中性子星の自転軸に対して磁軸が傾いている場合、磁極から宇宙空間に放出された電磁波のビームが自転周期に従って断続的に地球に届くことがあるのですが、中性子星の自転速度は非常に速いため、まるで点滅しているように観測されるのです。

この動画は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が公開しているパルサー「PSR J0348+0432」の想像図。小さいほうがパルサーで、大きいほうは連星系としてペアを組む白色矮星です。パルサーの自転に伴い、ビームがくるくると回転している様子がよくわかります(実際のPSR J0348+0432の自転周期は40ミリ秒と非常に短く、回数にすれば1秒間に25回と極めて高速で自転しています)。

電磁波が明滅する周期を測ることで、パルサーの自転速度はかなり精密に求めることができます。数多くのパルサーが見つかっている現在では、自転速度がときどき急激に速くなり、徐々に減速していくという変わった特徴を示すパルサーが知られています。この急激な加速は「グリッチ(glitch)」と呼ばれていて、パルサー全体のおよそ5%だけに見られる現象です。

■3年ごとにグリッチを繰り返す「ほ座パルサー」

Ashton氏らの研究チームは、南天の「ほ座」の方向およそ1000光年先にあるパルサー「ほ座パルサー」で2016年に発生したグリッチを観測しました。ほ座パルサーの自転周期は89ミリ秒ほど(1秒間におよそ11回自転)ですが、約3年ごとにグリッチを繰り返すことが知られており、Ashton氏をはじめとした研究者によって繰り返し観測されています。

今回の精密な観測によって、ほ座パルサーにおけるグリッチ発生時の自転速度はややオーバーシュートしており、13秒未満という短時間で最大速度まで急加速したのちにわずかに減速してから落ち着いていく様子が判明しました。例えるなら、自動車を急加速したときにタイヤが一旦スピンしてしまい、そのすぐあとに路面をグリップするようなイメージです。

1/2ページ

最終更新:8/13(火) 21:50
sorae 宇宙へのポータルサイト

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事