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【今週の一枚】欅坂46が感情を素直に開放できる場所=「欅共和国」――最新映像作品からその尊さを紐解く

8/14(水) 16:30配信

rockinon.com

欅坂46とファンにとって「欅共和国」は特別なライブイベントだ。演出規模の大きさや、野外という特殊な会場、そして何よりメンバーの開放的なパフォーマンスは共和国ならではの特色と言える。欅坂46は楽曲の世界観を体現することに全身全霊をかけているグループで、そこに強烈に惹き込まれる魅力があるわけだが、共和国では感情を素直に出すメンバーの姿もライブを構成する大きな要素。ウォーターショットやバブルマシンを使って客席に放水攻撃を仕掛ける彼女たちは微笑ましいほど無邪気で、素に近い自然な笑顔を見せてくれる。

そんな緊張と緩和がバランスよく混在する共和国は、グループ全体のパフォーマンスの進化だけでなく、メンバーひとりひとりの変化にもスポットが当てられる。実際に、今年の共和国を思い出しながら今回リリースされた2018年の映像作品を観てみると、彼女たちの表情にあどけなさが残っているように感じた。それによって聴こえ方が少し違う楽曲もある。筆者は特に“サイレントマジョリティー”が昨年と今年では全く別物に思えたのだが、それはきっとパフォーマンスというより彼女たちのパーソナルな部分の変化が大きく影響している。欅坂46としての表現力は間違いなく進化しているから過去と現在で比較しやすいが、少女から大人へと成長し続ける彼女たち自身の魅力は、その時々にそれぞれの良さがある。共和国はその時点での彼女たちの「完成形」を記録として刻むためのライブで、だからこそ映像作品で残されるべきなのだ。

さて、2018年の共和国も強く印象に残る場面が沢山あったが、あなたにとってのハイライトシーンはどこだろうか? オープニングの集団行動を取り入れたダンスパフォーマンスに始まり、泡だらけ水浸しの花道を駆け抜け、なりふり構わずびしょ濡れになるメンバーと客席の熱狂。MCでは守屋茜の振りからメンバーで富士急ハイランドのアトラクションを楽しんだ話になり、下を向いて照れる平手友梨奈が愛らしかった。キュートさの中にも静かに燃える炎が宿る長濱ねるの眼差しや、夕日が差す最高のロケーションで披露された“制服と太陽”、菅井友香と佐々木久美が「欅王国、最高!」と声を合わせた瞬間などなど……。当日会場に居た人、この映像作品を観た人の数だけ、鮮やかに心に刻まれた景色があることだろう。その中でも“ガラスを割れ!”が始まる前の演出を映像で観て、再び心が震えたという人は多いと思う。少女の可憐さ、憂い、危うさ、そして芽生えた反骨的な感情というリアルなグループの移り変わりを、言葉も発さず身一つで表現する様はひときわ衝撃的だ。

そんな風にひとつひとつのシーンをじっくり堪能することで、感動の増幅があるのも円盤化の嬉しいところ。例えばステージ上でメンバーがうつむいた瞬間の切実な表情から伝わってくるのは、見えないところまで手を抜かず集中力を絶やさないプロ根性だ。また、客席ではなくステージ目線のカメラワークによって、全体で観るダンスのダイナミズムから美しくスカートが翻る姿ひとつにしても、実に細かい立ち位置と見え方の計算で形成されていることがわかる。当然、欅坂46の堂々たる佇まいは最初から備わっていたわけではない。リハーサル映像ではあんなにバラバラだった行進を完璧に揃えるまで、一体どれほどの努力が重ねられたのだろう。観るたびに胸を熱くさせてくれる新たな気付きがあって、何度も繰り返し再生したくなる。こういう映像作品こそ、永久保存版と言える価値があると思うのだ。(渡邉満理奈)

rockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

最終更新:8/14(水) 16:30
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