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10万円で誰でも代理人になれる 相次ぐ流出の裏にFIFAの規約改正が

8/14(水) 12:24配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【Jリーガー海外大量移籍の深層】

「40~50人の日本人が欧州で活躍して経験を持ち帰れば日本は強くなる。アフリカは欧州で活躍する選手が増えて急激にレベルが上がったからね」

 2002年の日韓W杯を指揮したフィリップ・トルシエ監督はかつてこう語ったが、そんな時代が現実のものになりつつある。今夏、Jリーグから欧州へ赴いた選手は久保建英(レアル・マドリード)を筆頭に10人を超え、欧州主要リーグでプレーする選手も50人弱に上っている。欧州大量移籍時代到来の背景を探ってみた。 (取材・文=サッカージャーナリスト・元川悦子)

 ◇  ◇  ◇

■先人の功績、選手のレベルアップはもちろんだが

 カズ(三浦知良=横浜FC)がセリエA・ジェノアに移籍してから四半世紀。当時、欧州での日本人選手の位置づけは<未知数>だった。

 1998年フランスW杯直後にペルージャに赴いた中田英寿がそれを変えるきっかけをつくった。2000―01年に彼がローマでスクデットを獲得し、小野伸二(琉球)がフェイエノールトで01―02年UEFAカップ(現欧州EL)を制覇。中村俊輔(横浜FC)もセルティックで参戦した06―07年欧州CLでマンチェスター・ユナイテッド相手に素晴らしい直接FK弾を決めるなど、日本人選手たちが大きなインパクトを残した。

 そして2010年代に入ると香川真司(サラゴサ)がマンU、本田圭佑がACミラン、長友佑都(ガラタサライ)がインテルと、ビッグクラブに引き抜かれる者が続出。こうした流れの中で「日本人がどの国で、どのくらい活躍できるか、という基準が明確になった」と言えるだろう。

「スペインを例に取ると、近年はエイバルの乾貴士、セビリアの清武弘嗣(C大阪)、ヘタフェの柴崎岳(ラコルーニャ)が参戦し、ボールを止める、蹴るといった技術は全く問題ないと判断された。安部裕葵もバルセロナから技術・戦術理解力を高く評価されてオファーを受けたと思います。一方で言葉や文化への適応で苦しむ日本人も少なくないが、久保は懸念要素が皆無だった。バルサ復帰が基本路線だった彼が、億単位の移籍金でレアルに買われたのは、その優位性が大きかったのではないでしょうか」(スペインに詳しい代理人関係者)

■「少ない投資で大金を」

 日本人の評価が総じて上がったことも、若い世代の追い風になっている。今夏もU―20W杯に参戦した19歳の菅原由勢(AZ)と中村敬斗(トゥエンテ)がレンタルでオランダへ渡り、2人揃って開幕戦でゴールを決めてみせた。このままいけば1年間で価値が急騰し、より格上のクラブに引き抜かれる可能性も少なくない。

「バルサ時代の久保が引っ掛かった『18歳未満の国際移籍を制限するFIFAの規定』は、18歳になった途端に外れる。欧州クラブ側は才能あるタレントを早いうちに青田買いしておきたいから、U―20W杯に出た目ぼしい日本の若手にどんどん声をかける。うまくいけば少ない投資で大金を手にできるわけだから、いい商売なんです」(前出の関係者)

 欧州クラブに選手を売り込む代理人も急増している。現在JFAの仲介人リストに登録されているのは267人(6月27日現在)。2015年3月までのFIFA旧規約では難易度の高い試験を受け、資格を取得する必要があったが、現在は仲介人登録を行った上で初回10万円を払い、それからは年3万円の登録費を払うだけで誰でも簡単になれる仕組みに変わった。それも海外移籍の活発化につながっている。

 発足27年目を迎えたJリーグが、欧州サッカービジネスのうねりに巻き込まれている。その現実を認めざるを得ない時期を迎えている。

(元川悦子/サッカージャーナリスト)

最終更新:8/14(水) 12:48
日刊ゲンダイDIGITAL

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