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水や空気や男を美しく磨く新素材? ソニーの電池開発から生まれた「トリポーラス」とは

8/14(水) 11:12配信

ITmedia NEWS

 ソニーは、独自に開発した新素材「Triporous」(トリポーラス)のライセンスビジネスを今年から本格化した。既にライセンスを受けた企業から製品第一弾となる“男性用ボディーソープ”が発売されている。ソニーは一体、何を作ったのか。同社知的財産センターの山ノ井俊氏、田畑誠一郎氏に詳しい話を聞いた。

【画像】トリポーラスは、コメの「もみ殻」を原料にして作られる多孔質炭素材料

 トリポーラスは、ソニーが独自に開発した植物由来の多孔質炭素材料だ。トリポーラスという名称は、大、中、小という3つ(=トリ)のサイズが異なる細孔(=ポーラス)を持つことに由来している。

廃棄されていた「もみ殻」、実はシリカ含有 多孔炭素素材へ

 原料は、コメの最も外側にある皮の部分。つまり脱穀の際に出る「もみ殻」だ。もみ殻は再利用の道があまりなく、一部が肥料や土壌改良剤などに使われる程度で、世界中で年間1億トン以上が廃棄されている。

 ソニーはリチウムイオン電池の電極に使用する炭素材料を研究する過程で、もみ殻のある特徴に注目した。それは、もみ殻の細胞付近には大小の二酸化ケイ素(シリカ)が存在し、「シリカの複合体と見なせる」ことだった。

 工学博士でもある田畑氏によると、1990年代後半、高性能な炭素素材を人工的に作り出そうという議論が盛んだったという。その中でシリカの微粒子を使って多孔質炭素材料を作る応用理論が脚光を浴びたこともあったが、実際に量産化しようとすると製造工程が複雑でコストがかさむため、実践に至っていない。

 しかし、もみ殻を利用すれば、天然由来の素材からシンプルな工程で多孔炭素材料が作れると分かった。これがトリポーラス誕生の経緯だ。

 もみ殻を炭化した後、シリカを除去し、水蒸気による熱処理を行うとトリポーラスができる。「従来の活性炭の製造ラインに、シリカを取り除くための工程を加えるだけでトリポーラスを量産する環境が整う」と田畑氏。ソニーは国内にトリポーラスの製造拠点を構え、既に“トン”の単位で生産できる体制を整えたとしている。

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最終更新:8/14(水) 16:38
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