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人々が寄せた2390通の戦争体験。この庶民の営みは、歴史書には記されない

8/14(水) 17:40配信

BuzzFeed Japan

「結婚式は、もんぺ姿だった」「愛犬を軍用犬として供出した」「亡くなった子を川に投げて水葬にした」「足の裏についていた飯粒を食べた」――。雑誌『暮しの手帖』が昨年から今年にかけて、読者から募った戦争体験の手記を3冊の本にまとめた。【BuzzFeed Japan/吉川 慧】

初めての恋、学生寮で仲間と語り合った日々、食べることの喜び、愛する家族との別れ。そこに編まれたのは、歴史書には記されない庶民の営みだ。

同誌は50年前にも戦争体験をまとめた異例の特集を組んでいる。創刊70周年を迎えてもなお、なぜ「戦争の記憶」の継承にこだわるのか。BuzzFeed Newsでは編集長の澤田康彦さんと担当編集者の村上薫さんに話を聞いた。

戦争の記憶を昭和から平成、そして新たな時代へ

――3年前、創業者の大橋鎭子と花森安治をモデルにした朝ドラ「とと姉ちゃん」が放送され、50年前の特集「戦争中の暮しの記録」が再び注目を浴びました。

村上:ドラマでは、唐沢寿明さん演じる花森をモデルにした花山伊佐次が、戦争特集号に命をかけて取り組むエピソードがあったんですね。

視聴者の方からも「実際にこの本ってあるんですか?」というお問い合わせをたくさんいただいたんです。新しい世代に知っていただくきっかけになりました。

――昨夏の『戦中・戦後の暮しの記録』と、今年刊行された『戦争が立っていた 戦中・戦後の暮しの記録 拾遺集 戦中編』『なんにもなかった 戦中・戦後の暮しの記録 拾遺集 戦後編』の背景にも、50年前の戦争特集があった。

澤田:僕は2015年秋に編集長を引き継ぎました。就任して日が浅い中で、この時代に何をすればよいのだろうかと自問自答が続いていました。

いまもその問いは続いているのですが、あの頃はドラマもひとつのきっかけとなり、『暮しの手帖』がどういう雑誌なのかを再び勉強することができましたね。

澤田:一人ひとりの暮らしが大切、と考えた時、服を着ることの自由、食べることの喜びと同じように、「戦争」を繰り返さないことの努力も大切なテーマの一つではないかと。

その証左として、50年前に寄せていただいた戦争体験の手記もしっかりと保管されていました。私たちは小さな所帯ですが、歴史はあるのです。

そして、折しも創刊70周年のタイミングを控えて、どんな企画をやろうかと考えていた時期でもあったのです。

『とと姉ちゃん』があり、片渕須直さんの映画『この世界の片隅に』が生まれた。時代の意識・気配が同じ方向を向いているように確信しました。主人公のすずさんのような、名もなき庶民の目線で戦争を考えることの意義も感じたのです。

――世の中では憲法改正が現実味を増したり、そういう世相もあった。

澤田:まったく偶然ですが、平成の終わりにそんな状況が重なった。それらのことが50年の時を経て、再び戦争に関する特集をやる動機となりました。

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最終更新:8/14(水) 18:29
BuzzFeed Japan

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