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[寄稿]安倍側近50-60代の経済官僚「新主流」に浮上…外交より覇権重視

8/14(水) 12:20配信

ハンギョレ新聞

韓日経済戦争、専門家診断 ヤン・ギホ聖公会大日本学科教授  今井・長谷川など首相秘書陣 経済産業省出身官僚ら 首相官邸・自民党の新しい実力者に  対外領土対策にきわめて強硬で 慰安婦問題など歴史わい曲もはばからない  日本を猛追撃する韓国経済を牽制 技術覇権で朝鮮半島介入算法 右派結集・憲法改正の“多目的布石”

 日本政府の韓国に対する輸出規制とホワイト国(輸出管理優遇措置対象国、8月2日より「グループA」に名称変更)からの韓国の排除は、韓国経済の急所を狙った。日本政府は昨年1月から韓国の強制徴用最高裁(大法院)判決と日本の企業資産売却を予想した具体的対策を準備してきた。首相官邸を中心に経済産業省などが一日に数回も関連部署間の連絡をやりとりするほどに緻密な経済報復策を準備した。首相官邸は、韓日両国間の国民交流に影響を及ぼさずに、韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)を維持しつつ、韓国経済に衝撃波を投じられるという“3大原則”を注文したという。

 日本の韓国に対する経済報復は、名分と現実の両面で途方もない矛盾と乖離を抱えている。経済報復か、輸出統制強化か、安保上の理由ならばなぜ先にGSOMIAの破棄を主張しないのか、無条件で朝日首脳会談を推進すると言いながら、「韓国に輸出されたフッ化水素が北朝鮮に流出した」と何ら根拠もなしに韓国を非難することが妥当なのか理解できない。安倍首相と側近、外務省と経済産業省、日本企業ら、自民党と右派マスコミの間に十分な合意があるとも見がたい。日本の官僚組織である外務省や経済産業省は、強制動員問題と経済報復を無理に構成した今回の事態に強い不満を感じている。グローバル生産と流通チェーンに連結された韓国企業に対する輸出規制は、実質的効果もなく、その根拠も常識的に納得できないためだ。

 それでは、韓国に対する今回の攻撃は誰が主導し、どのように作られてきたのだろうか。今回の事態を主導したのは、安倍首相の側近らと自民党右派の人々だ。安倍首相に盲目的に忠誠をつくす政治家と中核の官僚たちだが、なかでも経済産業省に関連した政治家や官僚が多い。外務省は事実上排除されたといわれている。安倍首相の外交ブレーンとして知られる谷内正太郎国家安全保障局長や河野太郎外務大臣は、今回の事態と関連した核心の政策決定においてほとんど役割を果たせなかった。2015年12月、韓日政府が結んだ「慰安婦」合意が、昨年末に和解・癒やし財団の解散という結論が出て、安倍首相に対する谷内局長の影響力は大きく萎縮した。

 日本軍「慰安婦」問題と少女像に対する安倍首相の過度な執着は、理性では理解し難い部分がある。彼は、慰安婦合意の第1項に記されている「総理大臣として痛切な謝罪と反省」の代わりに、二度と両国間の外交争点にしたり国際社会で問題を提起しないという「最終的で不可逆的な解決」の字句に執着した。「慰安婦」問題の本質は、被害者の苦痛を治癒し日本が謝罪・反省するのではなく、ひたすら韓国の反日外交カードに過ぎないと彼は見た。歴史的教訓と再発防止より、日本が謝罪しないとか、事実を隠すことが重要だった。強制連行を認めた河野談話を再検証したり、外務省に指示を与えて米国などにおける少女像の設置を積極的に妨害した。安倍側近の要人は、慰安婦ねつ造説や「自発性」を主張した。最近では、河村たかし名古屋市長が展示会場から少女像を撤去するよう発言した。

 安倍首相と側近による歴史わい曲と韓国不信は、昨年10月の韓国最高裁(大法院)の強制徴用賠償判決で極に達した。韓国司法府の判決は、1951年のサンフランシスコ条約で形成された国際秩序に対する挑戦であり、請求権協定という「国際法に正面から違反したもの」と批判した。日帝植民統治35年間、不法占拠の下で個人が被った被害、三権分立原則、個人請求権が生きているという点、被害者の長期にわたる訴訟と高齢化は全く考慮せずに韓国政府を非難することに汲々とした。

 韓国を安保上の理由で信頼できないとし、それでホワイトリストから排除しなければならないという主張が初めて出てきたのは、韓日哨戒機/レーダー摩擦事態の後、今年1月の自民党外交部会での青山繁晴参議院議員の発言だった。安倍首相の永年の友人である彼は「慰安婦」問題に対する米下院121号決議案に反対する広告に参加した右派政治家だ。安保と通商の専門家として日本の国会の経済産業委員会で活動している。ほぼ同じ時期に赤池誠章参議院議員も、韓国に対する経済制裁を具体的に、すぐにできることから実行することを主張した。半導体の製造過程で使われる洗浄剤の高純度フッ化水素などの戦略物資の供給を中断させるべきという発言もこの時に出てきた。

 文在寅(ムン・ジェイン)政府は、朝鮮半島平和プロセスを推進しながら、持続的に韓米、韓日間の疎通と対話を模索してきた。しかし日本は、北朝鮮に対して拉致、核兵器、中短距離を含むミサイル問題に対する完全で包括的な解決を要求している。北朝鮮の非核化の約束を信じず、北朝鮮は決して核兵器を放棄しないと判断している。韓日歴史摩擦は、韓日間の対北朝鮮政策の格差により溝が一層大きくなった。ついに1月、韓日哨戒機/レーダー事態で安倍政権はイメージ操作を通じて韓国を「安保上信頼できない国家」にしようとした。今年初め、安倍首相の施政演説から「韓日間戦略的利益共有」という内容は完全に消えた。

 安倍政権の長期執権は、戦略も一貫性もない外交政策を副産物として作っている。経済報復政策の決定を主導した人々は、安倍忠誠派で永らく安倍首相と政治日程を共にした官僚出身や政治家たちだ。創生日本、日本会議、神道政治連盟、「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」で長期間親密なよしみを積み重ねたということも共通点だ。彼らは、最近外務省を排除して日本の北東アジア外交の主要政策決定を独占してきた。露日間の争点である「北方四島」返還をロシアに対する300億ドルの経済協力と対等交換しようと主張したのも、米中通商摩擦に備えたヘッジング(危険分散)戦略として中日協力関係を推進してきたのも、2年前に外務省に北朝鮮専門担当課を設置したのも、これらの中核の側近だった。

 代表的人物としては、経済産業省の前身である通産省官僚出身の今井尚哉政務担当首相秘書官、同じく通産省官僚出身で今井秘書官の東大法学部の先輩であり中小企業庁長官を務めた長谷川栄一首相補佐官、自民党内の安倍忠誠派で産業通商専門家の世耕弘成経済産業相、憲法改正のために衆議院議長も変えなければなければならないと主張して物議をかもした萩生田光一首相秘書官がいる。彼らはすべて安倍首相の周辺をぐるぐる回り、自民党部会や首相秘書官としての活動で長期にわたり信頼関係を構築し、経済産業省出身官僚や国会内経済産業委員会所属で貿易通商と産業経済に明るい点、日本の政界では相対的に若い50~60台で、首相官邸と自民党内の新主流に位置しているという共通点がある。9月に予定された改閣で、次期外相内定説が取り沙汰されている茂木敏充も第2次安倍内閣ですでに経済産業相を歴任した。

 彼らは、尖閣諸島(釣魚島)領有権主張と北方四島返還など領土対策にきわめて強硬で、靖国神社参拝、日本軍「慰安婦」と南京大虐殺に対する歴史わい曲をはばからない。戦略的判断を重視する外務省路線に近い谷内正太郎や河野太郎が政策決定から排除され、彼らが安倍外交の主要な方向性を決めている。彼らは、韓日関係重視などの伝統的外交路線とは距離が遠く、貿易通商の視角で外交懸案を認識している点にも注目する必要がある。歴史的解決法より戦略的国益、同盟より通商に偏向した認識、多国間より二国間関係優先、国益を前面に出した技術覇権行使を重視する。彼らは首相官邸と官僚組織間の利害調整よりは、密室談合で結ばれている。

 彼らの指向は、安倍政権が韓国に対して経済報復以上を目標にしているという疑いを産んでいる。個人請求権と三権分立を無視し、韓国が強制動員問題対策のすべての責任を負えと強要するだけでなく、韓日間の被害者-加害者フレームを完全にひっくり返そうとする試みもはばからない。突然に日本を猛追撃してきた韓国経済をへし折ろうとする内心も排除できない。朝鮮半島非核化の過程から疎外された日本が、技術覇権を振り回して朝鮮半島問題に直接介入しようとする算法も重なっている。経済報復を端緒に韓国の反発を起こし、両国間の緊張と葛藤で内部右派勢力を結集させ、憲法改正推進に悪用することもできる。こうした多目的布石を疑うに足る点が少なくない。安倍政権の「新主流」の中核人物らの言動を監視し続けなければならない理由だ。

ヤン・ギホ聖公会大日本学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:8/14(水) 12:20
ハンギョレ新聞

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