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にらみ合う「NHK対N国」の今後、若狭氏に聞く

8/14(水) 20:13配信

日刊スポーツ

「NHK」VS「NHKから国民を守る党(N国)」のにらみ合いが、ヒートアップしている。受信料を支払った人だけがNHKを視聴できる「スクランブル放送の実現」を掲げるN国は受信料の支払い拒否をNHKに通告。

【写真】受信料のためNHKを訪れたN国の立花孝志参院議員

一方のNHKは支払いを求めた。元衆院議員で東京高検検事なども務めた若狭勝弁護士(62)と法的見解や政治的見地から注目の展開をチェックした。

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「スクランブル放送の実施」を唯一の公約に、N国は参院選比例区で初議席を獲得した。NHKは参院選直後に受信料負担と公共放送の立場を改めて説明した上で「スクランブル放送はNHKの役割を根本から毀損(きそん)する」と否定した。

N国の立花孝志党首(51)は今月8日、東京・渋谷のNHK放送センターに乗り込み、参院議員会館内にある立花氏の事務所に設置したテレビの受信契約を行うと同時に「契約は法律で決まっているが支払いは法律ではない」と支払い拒否を通告した。これを受けてNHKは9日から「受信料と公共放送にご理解いただきたい」と異例のアナウンス。そして「契約をいただいた場合は受信料を請求し、お支払いいただけない場合は法的手続きを取らせていただきます」とした。

若狭氏 受信料の契約義務(放送法64条1項)が憲法で保障された「契約の自由」に反するか問われた裁判で2017年12月の最高裁大法廷は受信料契約は「合憲」としました。多くの国民が受信料を払っているという実態があるのに国会議員が率先して払わないということは問題がある。

立花氏は「可及的速やかに私を訴えてほしい。その場合に受信料の8割は払いますが、残る2割は払いません。NHKに債務不存在確認の訴訟を起こす」とした。2割不払いの根拠は、昨年度に受信料契約をした世帯のうち受信料を支払った全国平均の支払率は81・2%。約2割が支払っていない。「支払わない人の分を事実上、上乗せした金額が設定されている」と立花氏は主張し、受信料の2割には支払い義務がないとする。

若狭氏 契約に基づく債務の支払い義務があります。2割だけ払わないという理屈は法的には理解できない。放送法が制定された50年当時はスマホ、パソコン、カーナビなどはなかった。令和の今、若い世代を中心にテレビを持たずにスマホやパソコンで視聴する人が増えている。だが、判例では受信料契約をしていない場合にスマホ、パソコン、カーナビなどの視聴には受信料契約と支払い義務があるとしている。

若狭氏 スマホ、カーナビまでも対象となるのは、やり過ぎでは。旧態依然としたNHKのあり方や、受信料制度に対する不満や不公平感がマグマのようにたまっていると思う。今回はNHKもかなり危機意識があるはず。立花氏が主張するスクランブル放送の実現も含めて国民全体が議論を深めるいい機会だと思う。

立花氏はスクランブル放送が実現すれば、自ら議員を辞職し、国政政党となったN国を解党すると宣言している。受信料の未払い問題を口火に対立はさらに激化しそうだ。【大上悟】 

▽NHKを所管する石田真敏総務相の話 「公共放送と民放の二元体制を崩しかねない」と反対の姿勢だ。スクランブル放送に関しても「NHKは災害放送や公共放送の社会的使命を果たすことが求められている」と国民が公平に財源を負担する現行の受信料制度の重要性を訴えた。菅義偉官房長官は記者会見で「公共放送としてのNHKの基本的性格に影響を及ぼす」と指摘した。

▽2017年12月に最高裁大法廷の判決で敗訴した男性の弁護人を務めた高池勝彦弁護士の話 受信料の支払いは憲法上、強制されるものではなく、最高裁の判決は違憲であると思ってます。受信料制度はそれ自体が、ものすごく矛盾のある制度で強制徴収はフェアではない。スクランブル放送に賛成します。

▽日本維新の会代表の松井一郎大阪市長の話 「国会議員の不払いを見て見ぬふりをするなら、一般の人はばからしくて払えない」と不快感をあらわにした。そして「議員会館での不払いがまかり通るなら大阪市役所も支払いをやめる」と言い放った。

▽元NHK記者でキャスターも務めた前高知県知事の橋本大二郎氏の話 国民の中に根強くある不満や不公平感の受け皿となったのが「れいわ新選組」やN国の躍進だったと思う。NHKは今後の対処を誤ると世論が炎上する可能性がある。ただ、スクランブル放送はすべきではないと考える。政権やスポンサーの影響を受けないメディア最後の砦(とりで)として、受信料で支えるべき。国会議員だからと徴収に踏み切らなかったら公平性が維持できないし、不公平感を助長させる。

◆NHKから国民を守る党 元NHK職員の立花孝志氏が13年に政治団体として設立した。立花氏は15年4月に千葉・船橋市議選で初当選、16年東京都知事選に立候補(落選)、17年11月に東京・葛飾区議選で当選。放送法の改正(スクランブル放送実現)、直接民主制など掲げる。参院選後に丸山穂高衆院議員が入党して衆参2議員、渡辺喜美参院議員と会派を組む。全国の地方議員28人。

◆放送法第64条(受信契約及び受信料)1項 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。

最終更新:8/15(木) 0:55
日刊スポーツ

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