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「自動車事故は一部の人たち」はもう通じない。ある思いを胸に患者たちはラジオを手に取った

8/15(木) 18:00配信

BuzzFeed Japan

居場所だけではなく、議論を発信する場として

いまでは「ぽつラジオ」は、てんかんに関わる人々が安心できる、一つの居場所になっている。

「病気を伝える必要があれば、伝えればいい。そうでなければ、伝えなくてもいい」

和島さんは、普通に暮らしながらも、病気を抱え悩みを明かせない人たちの言葉を伝えたいと思っている。

てんかんに対する偏見とどう向き合うか。患者同士の考え方に違いもあるなかで、どれだけ真剣に向き合っているのか。様々な思いが交錯するからこそ、当事者の声を発信して行きたいと思っている。

「例えば、てんかん発作を原因とする自動車事故が起きるたびに、ほかの患者は真面目にやっている、一生懸命なのにと言う人がいる。専門医でも、です。しかし、事故が起きるたびに一部の人のせいだと言い続けていて、社会はもう信用してくれていないんじゃないかな」

「少数だけれど、てんかん患者が突然死してしまうSUDEPなど、議論されにくい問題もあります。僕らが、そうした問題と向き合っていることを伝えなければ、社会は動かないかもしれない」

世の中にはびこるイメージを変えることは難しい。だからこそ、自分の周囲から理解を得ていくことが大切だと、和島さんは考えている。

「患者の周囲にいる人がてんかんの理解をしてくれて、患者の人たちが暮らしやすく楽になってくれたらいいな、と。それが少しずつ増えて、一人ひとりが過ごしやすくなるはず」

「だからこそ、ぽつラジオではできるだけ患者ではない人にも参加してもらいたい。てんかんの患者さんとその上司にも出演してもらったこともあるんですよ」

小さなコミュニティから暮らしやすい生活を作っていく。一人で悩み、苦しんでいた人たちも、周囲とつながれる可能性を「ぽつラジオ」は示す。

てんかんで家族と出会い直していく

和島さんには、目指していることがある。

「やっぱり当事者って、自分の親とてんかんのことって話せないんですよ、家族だからこそ難しいんですけど、家族と話したいっていうのはあるから。いつかぽつラジオに、親に出てもらおうかって……」

患者の周囲で、一番大切な理解者は親だ。親の考えが、てんかんの子どもの病気に対する考え方に影響すると、和島さんは考えている。

「てんかんを隠せとか、みっともないと言ってしまうと、病気と向き合えなかったり、考えづらくなったりします。子どもの時から隠そうとしていると、社会に出たときに、どこかにひずみが起きてしまいます。親が、隠すつもりはないと子どもに伝えることが理想だと思っています」

そんな思いから、7月号のぽつラジオ(「拝啓、父上様」)では、てんかんの当事者と家族がどう向き合えるかについて、ゲストと語り合った。

次こそは、いつかゲストに、自分の親を迎えたいーー。そう、和島さんは思っている。

「心配していることを子どもに察して欲しくない親はいっぱいいます。その人たちからの言葉も聞いてみたい。ぽつラジオで言葉にして楽になった人たちのように、親も少し楽になるかなって」

「両親にも、僕がてんかんを発症した時の率直な言葉をちゃんと聞きたくて。それは知らない言葉だったりするから。あ、そういうこと思ってたんだと発見もある。ゲストの言葉なんですけど、『家族と出会い直していく』ことをしていきたい。そういう人って、たくさんいるはずですから」

てんかんをきっかけに「家族と出会い直して」いきたい。

病気は前向きにだって、捉えられるはずだ。そんな思いで、和島さんは今日もマイクに向かう。

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最終更新:8/15(木) 18:00
BuzzFeed Japan

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