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現実と交差する『転校生』、男女合同稽古で本広克行「ラストに余韻を」

8/16(金) 13:07配信

チケットぴあ

新たな才能の発掘を目指し、平田オリザの戯曲を本広克行が演出するPARCOプロデュース『転校生』の開幕が迫る。初日を約10日後に控えた稽古場を訪れると、若手俳優42人が発声練習を始めた。

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1994年に初演された歴史ある「女子校版」と、今回新たに登場する「男子校版」に分かれて同時上演される本作だが、この日の稽古は男女合同で行われた。和気あいあいとした雰囲気は、さながら“共学”の教室風景。「相手の台詞をよく聞いて、大きな声ではっきり台詞を言う」と書かれた貼り紙に見守られながら、ひとりが「あいうえお、いうえおあ……」と先導すると、全員があとに続いて滑舌を鍛える。

初めての全編通し稽古を控えたこの日、最初に行われたのは作品の最後を飾る4場の場当たりだった。まずステージに立ったのは「女子校版」の21人。同級生の噂から進路まで、高校生ならではの硬軟さまざまな雑談が“同時多発会話”によって展開される。机と椅子が並ぶ“教室”を設定した舞台からの出ハケも非常にランダム。退場した生徒が両袖に居残り、作品の行方を見つめる様子が客席から確認できる演出は、2015年に本広が試みた内容を踏襲している。

ステージと客席を見下ろす小高い場所に位置する演出席。本広はそこから降り、役者と同じ視座に立って指示を飛ばした。「退場後の袖では“素の自分”でたたずんで」と提案すると、あるキャストから「“役”ではなく自分として?」と質問が。疑問点はその場で解消し、すぐ実践してみせるなど、よりよい作品づくりに努める積極的な姿勢が見受けられた。

続いて「男子校版」の21人が4場のスピードスルーと全編の通しに臨んだ。「朝起きたらこの高校の生徒になっていた」とひとりの転校生が教室に現れるストーリーは女子校版と同じだが、セリフやエピソードの一部は新たに平田が書き下ろしている。転換時、両袖のキャストがキャッチボールする──といった、女子校版の楽器演奏とは異なるパフォーマンスも楽しめた。

物語の終盤、教室には“転校生”と親の都合で学校を去るかもしれない同級生のふたりが残る。自分だけでは抗いようのない現実を背負った彼らの応酬を、他の19人が見つめる男女共通のラストについて、本広はキャスト全員に「閉幕は“現実”の終わりでもある。この夏が過ぎたら21人が揃うことはそうないと思って余韻を持たせて」と語りかけた。

互いの稽古を見学し、切磋琢磨している男女42人が役者として成長する姿を見届けよう。公演は8月17日(土)から27日(火)まで、東京・紀伊國屋ホールにて。チケット発売中。

取材・文:岡山朋代

最終更新:8/16(金) 13:07
チケットぴあ

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