ここから本文です

津田大介が「表現の不自由展・その後」について「お詫びと報告」を公開

8/16(金) 13:40配信

美術手帖

 あいちトリエンナーレ2019の芸術監督・津田大介が、「表現の不自由展・その後」の展示中止に関して、「あいちトリエンナーレ2019『表現の不自由展・その後』に関するお詫びと報告」と題した長文のテキストを公開した。


 同文のなかで津田は、「表現の不自由展・その後」をあいちトリエンナーレ2019で展示することになった経緯を説明。事前に、「表現の不自由展・その後」実行委員会に対し、「《平和の少女像》については様々な懸念が予想されるため、実現が難しくなるだろう」と伝えていたことも明かした。

 しかしながら、キュレーターチームおよび実行委員会事務局は「アーティストの参加辞退というのは前代未聞で、行政としても前例がない」と反応したという。

 また、「表現の不自由展・その後」の出品作について、宮台真司が「エロ・グロ表現が入らず、『看板に偽りあり』です」と批判したこと
にも言及。鷹野隆大の《おれとwith
KJ#2》や、ろくでなし子の《デコまん》シリーズなども展示作品の候補に挙がっていたが、様々な理由によって展示に至らなかったことを説明した。


 いっぽう、キム・ソギョンとキム・ウンソンの《平和の少女像》や、大浦信行の《遠近を抱えて》の関連映像の展示に関しては「強い抗議運動に晒されるリスクがあることは理解していました」としながら、「自分の判断で出展を取りやめにしてしまうと同様の事前“検閲”が発生したことになります。芸術監督として現場のリスクを減らす判断をするか、“作家(不自由展実行委)”の表現の自由を守るかという難しい二択を迫られた自分は、不自由展実行委と議論する過程で後者を判断しました」と、展示理由について語っている(なおテキストのなかで津田はこの2作品の制作背景についても詳細に説明している)。


 津田はテキストのなかで、「『表現の不自由・その後』は、過去に暴力的に封印された作品を集め、そのような封印を行ってしまったことの是非を皆様に考えていただくことを目的としたものです」と強調。「表現の自由が形式的にだけではなく実質的に保障される社会を目指し、その障害が何であるのかを皆様に考えていただくということは、愛知県や名古屋市などの公的組織が関与した芸術祭においてなされるに相応しいものであった」とも述べており、これは芸術祭に税金が投入されていることへの一部批判に対して反論したかたちだ。


 なお、企画アドバイザーを辞任した東浩紀が津田の辞任に言及したことにも触れており、「最後まで現場監督としてトリエンナーレを無事終えることが自身の責任の取り方であると考えています」と辞任する考えがないことを示した。


 また「市民との対話」に関しては、「今後『表現の不自由展・その後』の展示と展示中止を巡る問題を議論する場を定期的に設けていきたいと考えています。今後も規模や参加者を変え、同様の機会を会期終了まで継続的に行っていく所存です」としている。

 津田のテキスト全文はこちらから閲覧可能。

 

最終更新:8/16(金) 13:40
美術手帖

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事