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会計終了まで26秒! 超アナログ「からくり決済」。キャッシュレス時代にあえて「待つ」魅力

8/16(金) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「世の中にないものをゼロから作りたい」

子どもの頃はシャープペンシルの改造や割り箸製のゴム鉄砲作り、折り紙に夢中になる工作好きな少年だった。世代的にはデジタルネイティブのど真ん中。それでも鈴木さんは、自分の好きなことに素直に夢中になっていた。

地元工業高校の機械科で学んだ後、東北芸術工科大学へ。当初は文房具などの商業デザインの道に進むつもりで、パソコン上での設計の研究に打ち込んでいた。しかし、大学2年生の時、先輩が制作していたからくり作品を見た時、根っこにある“工作好き”に火が付いた。

卒業制作で発表したのは、からくりの動きによって時刻が文字で書かれる「書き時計」。同級生がプロダクトデザイン中心の発表をする中での超アナログ作品は異色だったが、Twitter上で話題となり、卒業制作の展示には例年の3倍の来場者が宮城に集まった。

卒業後は自動車部品などを設計する会社に1年ほど勤めたが、「世の中にないものをゼロから作りたい」という思いが募って退職。2年前から「からくり時計作家」として活動を始めた。

「安定を捨てることには不安もありました。でも、若い時しか挑戦できないと思い切りました」

その精緻な設計力には業界も注目し、シチズンからの依頼で「美しすぎる耐久試験」プロジェクトに参画。現在、みずほフィナンシャルグループの広告でも、その活動が紹介されている。

店舗での気持ちを盛り上げる仕掛けを

鈴木さんをSNS上で有名にした「書き時計」に惹かれ、東京から見学に行った“鈴木ファン”の中に、今回の「からくり決済」をオーダーした中西功さん(40)もいた。

この春まで楽天の社員として個人店の支援をしていた中西さんは、「いつか鈴木さんに作品を作ってほしい」と熱望。吉祥寺・バツヨンビルの運営者として企画を練る中で、今回のオーダーに至った。

しかし、鈴木さんが過去に作ってきたのはすべて時計作品。なぜ「時計」ではなく「決済」をオーダーしたのか。中西さんの意図を聞くと、そこには「小売りの可能性」に賭ける思いがあった。

「小売業、中でもリアル店舗が生き残る道は、いかにその場で楽しく豊かなコミュニケーションを演出できるかだと思っています。物を買う時には、人は気持ちを高ぶらせるもの。その前向きな気持ちをもっと盛り上げる仕掛けとして、新しい会計の形を提案してみたかった」

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最終更新:8/17(土) 8:10
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