ここから本文です

矢口史靖監督、俳優の知名度は無視 関口大輔Pが10年ぶりタッグでこだわり明かす

8/16(金) 9:00配信

オリコン

■「Film makers(映画と人 これまで、そして、これから)」第15回 関口大輔プロデューサー

【場面カット】矢口監督最新作にはムロツヨシも登場

 『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』など、まるでドキュメンタリーを観ているかのように、登場人物に感情移入してしまう映画を世に送り出し、邦画界に“矢口映画”という一つのジャンルを確立した矢口史靖監督。そんな矢口監督と『ハッピーフライト』以来、約10年ぶりにタッグを組み、最新作映画『ダンスウィズミー』を完成させたワーナー・ブラザース ジャパンの関口大輔プロデューサーが、矢口監督の魅力を大いに語った。
 
■『ウォーターボーイズ』制作秘話

 関口氏と矢口監督の出会いは2001年に公開され大きな反響を呼んだ妻夫木聡主演の『ウォーターボーイズ』まで遡る。「当時『報道ステーション』で、埼玉県川越高校水泳部の男子シンクロナイズトスイミングの特集をしていたのを見て、アルタミラの桝井さんと企画を考えたんです。監督を誰にしようかという話になったとき、矢口監督の名前が挙がりました。ぴあフィルムフェスティバルでも賞を取っていましたし『ひみつの花園』(1997年公開)も面白かったので、矢口さんに合う企画かなと思ったんです」。
 
 しかし、フジテレビ映画という看板を持ってしても、企画段階で矢口監督にはあっさりと断られたという。関口氏は「そのときから矢口監督は、映画に対する思いや、自分がやりたいと思うことがはっきりしている方でした。お金持ちになりたいとか、有名監督になりたいという思いがまったくない人なんです」と当時を振り返る。

 逆に言えば、矢口監督が「やりたい」と思えば、どんなに困難でも企画は進む。最初矢口監督は男子シンクロに対して「イロモノ」的なイメージを持っていたというが、実際の映像を見せ「爽やかさ」をアピールすると「面白い」と乗り気になったという。取材を重ね、矢口監督は魅力的なストーリーを構築した。
 
■矢口監督にとって俳優の知名度やマーケティング的発想はどうでもいい

 ここで矢口監督は、また“らしさ”を発揮したという。この作品の条件は「キャストをオーディションで選ぶこと」。プロデューサーの立場からすれば、ある程度知名度のある人を選びたかったというが「演者が本当にシンクロをやることに意味がある。そうしないとラストで感動できない」と考えた矢口監督は、数多くの著名な俳優がオーディションに訪れるなか、知名度や芝居ができるかは無視。泳げて、3ヶ月間みっちりシンクロのレッスンができるスケジュールがとれる人=暇な人を選んだ。「スケジュールが忙しい人気の人を入れて、大切なところを吹き替えでやるような映画にしたら、絶対成功しない」というのが矢口監督の一貫した考えだったという。

 関口氏は「矢口監督が狙っているのは本物なんです」と語る。『ウォーターボーイズ』はコメディ要素の強い作品だったが「本人たちが一生懸命やっているから笑えるし、感動ができる。矢口監督が目指しているものが具現化できた作品」と胸を張る。

 ただ、今でこそ日本を代表する俳優となったが、メインを張った妻夫木聡、玉木宏は、まだブレイク前であり、名前で劇場に足を運ばせる存在ではなかったという。「スタートは『シャンテ・シネ』の単館公開という提案だったのですが、どうしても全国の人に観てほしいという思いで、ボーイズたちは毎日舞台あいさつを行ったりして、コツコツ映画を広めていったんです。劇場のスタッフさんたちも、とても協力的で最終的には99館まで劇場も増えました。こうした努力も『いい映画ができた』という自信があったからできたことなんです」。

1/3ページ

最終更新:8/17(土) 20:25
オリコン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事