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目指すは“小売り”の王様、右肩上がりのドラッグストア業界だが懸念材料も…

8/16(金) 10:09配信

帝国データバンク

 小売り業を代表する業界といえばスーパー、コンビニであるが、最近は頭打ち感も出てきている。

 変わって存在感を高めているのがドラッグストアだ。その市場規模はまだスーパーやコンビニには及ばないが、急速に勢いを増している。

 帝国データバンクの企業概要データベース「COSMOS2」(147万社収録)に収録されているデータから、ドラッグストアを含めた「医薬品小売」を主業とする企業を集計し、読み解く。

売上高10年連続増加

 調査対象としたのは2019年8月現在、2008年度から2018年度の業績が判明した「医薬品小売」を主業とする企業4431社。2018年度総売上高は10兆2450億6100万円となり、前年度比7%増となった。さらに、総売上高は2008年度以来10年連続で増加しており、業界として大きく成長していることが読み取れる。

 売上上位の企業を分析すると、そのほとんどがドラッグストア運営を行っていることが判明した。医薬品小売業界の中で大きな存在感を誇るドラッグストア業態に関して詳しく見ていこう。

DS業界の特徴と現状

 ドラッグストアの業態定義は統計資料や業界団体によってまちまちだが、「医薬品と化粧品、そして、日用家庭用品、文房具、フィルム、食品等の日用雑貨を取り扱うお店」(日本チェーンドラッグストア協会)というのが最も一般的なドラッグストアの定義だろう。

 このように医薬品だけでなく、幅広い商品を低価格で揃えているという点がドラッグストアの強みであり、顧客のニーズを捉えている。また、訪日外国人増加にともない、日本の医薬品・日用品を買いたいというインバウンド需要も上手く取り込むことができた。

 一口にドラッグストアと言っても、力を入れている分野や地域は各社異なる。例えば「スーパードラッグコスモス」運営の(株)コスモス薬品は食料品が売上の56.2%を占めているのに対し、「マツモトキヨシ」運営の(株)マツモトキヨシは親会社の連結ベースの売上構成で化粧品が40.4%、医薬品が31.9%を占める一方、食料品は9.7%にとどまる。

 業界の傾向として、近頃は積極的なM&Aを行い、互いの特長を取り入れながら規模拡大に動いている。

 14日、ココカラファインはマツモトキヨシと経営統合に向けた協議を始めると発表。統合すれば業界トップの規模になる。マツモトキヨシの化粧品などのプライベートブランドに持つ強み、ココカラファインのITを駆使した遠隔服薬指導など独自の調剤部門という強みを互いに評価した。

小売りの王になれるか

 勢いにのって出店攻勢を強め、スーパーやコンビニに迫るドラッグストアだが、懸念材料はある。

 TDB景気動向調査(2019年7月調査)にも、「国の医療費削減方針のため、上がる要素はあまりない」といった法改正への懸念の声や、「ドラッグ業界は激しい出店競争下で、消費者の消費意欲も弱い中、厳しい経営となってきている」といった声が業界から寄せられている。

 実際、競争の激化や人手不足等で減益となる企業もみられ、小売りという業態上、消費税率引き上げによる個人消費低迷も懸念材料となるだろう。群雄割拠の小売業界で勝ち残るために、今後さらに差別化やM&Aの動きが活発化すると予想される。

最終更新:8/16(金) 10:09
帝国データバンク

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