ここから本文です

メルカリによるアントラーズ買収のメリット、デメリット

8/16(金) 7:30配信

VICTORY

鹿島アントラーズの経営が日本製鉄からメルカリへと移った。日本製鉄およびその子会社が有していた株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シーの発行済株式72.5%のうち61.6%がメルカリに譲渡され、譲渡額はおよそ16億円だったという。

鹿島といえば1993年に産声を上げたJリーグにおいて、リーグ優勝8回、Jリーグカップ優勝6回、天皇杯優勝5回、AFCチャンピオンズリーグ優勝1回の計20冠を達成するJリーグ随一のクラブである。そのクラブが神戸に在籍するアンドレス・イニエスタの年俸(およそ32億円)の半額で譲渡されたことは大きな驚きを持って受け止められた。

物事にはメリットとデメリットが存在する。メルカリが筆頭株主になることで、一体鹿島にはどんな未来が待ち受けているのだろうか。

まず、メリットはさまざまな部分で考えられそうだ。最も大きな変化は経営のスピードアップだろう。

近年、Jリーグを取り巻く環境は開幕当初から大きく変わっている。DAZN参入による放映権料の増大により、リーグが共存から競争に舵を切った。さらに選手の海外移籍も拍車がかかる。今夏も鹿島からは3人の主力選手が移籍を果たした。

急速な変化に対応しつつ世界で戦えるクラブを目指すには、いままでのスピード感では間に合わない。住友金属工業時代から鹿島アントラーズの親会社としてバックアップしてきた日本製鉄だが、鹿島アントラーズは巨大企業グループのなかの一子会社でしかない。大企業のガバナンスに則った経営では、そのスピード感に対応しきれないことがわかっているからこそ、7月30日に行われたメルカリの経営参画に関する記者会見において、日本製鉄の津加宏執行役員は次のようにコメントした。

「鹿島アントラーズが将来に渡って引き続き世界で戦うチームであり続けるためには、この運営会社である鹿島アントラーズFCの経営基盤の一層の強化、および企業価値をさらに高めていくことが求められています。当社としてはそれを実現できる具体的な方策について検討してまいりました。その結果、新たな事業展開をはかることが期待できる新しいパートナーを迎え入れ、新しい経営に移行し、当社は新しいパートナーとなるメルカリ殿と共にアントラーズを支えていくことが最良の方策であるとの結論に至ったものであります」

サッカークラブの経営はコンシューマービジネスである。そして、メルカリは月間の利用者数が1,000万人を突破しており、メルカリの小泉文明取締役社長兼COOは「これだけ流れが速いJリーグの変革の時期において、まだまだビジネスにおいてもできることがあるのではないか、テクノロジーであるとか、我々がこれまで培ってきたノウハウをつかってさらにビジネスを創出できる」と自信を見せていた。

鹿島はこれまでもクリニックや芝生の開発、湯治など、スタジアム事業を拡張し、インバウンドをターゲットにしたDMO(Destination Marketing Organization)、つまり鹿行地域の観光事業にも手を出している。親会社の援助に頼ることなく自力で稼ぐ力を着実に伸ばし、100億円規模のクラブを目指してきた。メルカリがバックに控えることになれば、さらなる事業展開・拡大、コラボレーションが期待される。実際に、いままでもアイデアはありながらも断念せざるを得ない案件は非常に多かったと聞く。それがIT企業のスピード感をもって取り組むことができるようになったら大きな変化が生まれるだろう。

1/2ページ

最終更新:8/16(金) 7:30
VICTORY

こんな記事も読まれています

スポーツナビ サッカー情報

あなたにおすすめの記事