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メンタルコーチが分析。渋野日向子に学ぶ、正しい「目標」の作り方

8/17(土) 6:30配信

みんなのゴルフダイジェスト

海外女子メジャー「AIG全英女子オープン」を制した渋野日向子。記者会見での言葉から偉業達成に繋がった彼女のメンタル面についてプロも教えるメンタルコーチ・池努が分析した

「適切な目標設定」ができていた

AIG全英女子オープンを制し、日本勢42年ぶりのメジャー制覇となった渋野日向子選手のメンタルについて前回に引き続き、会見でのコメントなどから分析していきたいと思います。

渋野選手が大舞台でもパフォーマンスを発揮できると特徴的な心理要因として「適切な目標設定」があると考えられます。

帰国後の会見にて記者から「目標は?」と質問され、渋野選手は「今年の目標は日本ツアーの1億円プレーヤーになること。東京五輪ぐらいまでしか考えられてないけど、将来の賞金女王になりたいし、ジュニアの見本になりたい。海外メジャーは五輪のためには大事になると思っていたので、ちょっと五輪出場につながると思いました」と答えています。

明確な成果目標がはっきりとすらすらと出てきていることを考えると、これらの目標は日頃から強く意識できていると考えられ、これがゴルフへの大きなモチベーションにつながっているのではないかと考えられます。

このコメントから彼女のモチベーションの大部分は「上のステージのレベルを見てみたい、成長して理想のゴルファーになりたい」という“自己成長を求める”達成動機や「自分が勝つことで周りに喜んでもらいたい、ジュニアの選手のやる気やゴルフをはじめるジュニアが増えてほしい」など“人のために頑張りたい”という親和動機から来ているのではないでしょうか。

試合では「結果」ではなく、「やるべきこと」を目標している

そして、最も特徴的なのが試合では成果目標への意識が薄いことです。多くのアスリートは大きな試合になればなるほど順位やスコアなどの結果を意識するあまり、過度のプレッシャーを自分で作り出してしまう傾向がある中、渋野選手はコメントから成果目標に対して意識が薄いことがわかります。

記者から「どこで優勝を意識したのか?」という問いに「3日目が終わって単独首位だったので。そこからちょっとは意識していました。」と答えています。

“ちょっと”しか意識していなかったからこそ、「勝てるかもしれない。勝ったら世界トップだ」などの思考にならずに、大舞台でありながらパフォーマンス低下につながる過度なプレッシャーは生まれなかったのではないでしょか。

また、渋野選手は試合では成果目標より、行動目標を意識していることがコメントより感じられます。

スポーツ心理学でも試合本番では結果の目標ではなく、「行動の目標」を設定し、そこに意識を向けていくことがパフォーマンス発揮に有効だと分かっています。

記者から「最終日はどんな気持ちで?」という問いに「特に緊張しなかったけど、出だしの3番からダブルボキーを打ってしまい、攻めた結果なので怒ることはなかったんですが、だんだん悲しくなってきて。それでも何も思わず攻めて、頑張ってきた」と答えています。このコメントでポイントになる言葉は“攻めた結果なので”や“何も思わず攻めて、頑張ってきた”です。

おそらく、この試合でのひとつの行動目標が「強気でプレーする、思い切りチャレンジする、今できる100を出す」など要所で“攻めるプレーをする”ことであったのではないかと推測できます。

予選カットラインぎりぎりでのプレーや優勝争いの状況で多くのゴルファーは「“結果を出すため”に~なプレーをする」と考えてしまうことが多いです。しかし、これでは1ホールごとの結果、そしてスコアや順位をより意識してしまい、大きなプレッシャーをつくってしまいます。

そうではなく渋野選手は逆説的な考え方で試合本番では「“~なプレーを続ける”ことが終わった時の結果につながる」というように結果より行動へフォーカスすることで過度の緊張、プレッシャーをより少なくすることができワンプレーへの集中につながっていたのではないでしょうか。

その証拠に記者からの「いつ優勝を確信したのか?」とうい問いに「最後バーディパットが入ってからですね」と答えています。そのことからも、最後まで行動に集中をしていたことが伝わってきました。

今回の偉業達成により、世間からの注目度が激増した渋野選手。この注目度の中において今後の試合でどんなプレーを発揮していけるのか、その心理面にも注目していきたいと思います。

メンタルコーチ池 努

最終更新:8/17(土) 6:30
みんなのゴルフダイジェスト

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