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夏本番なのに「冷たい炭酸」危機?液炭・ドライアイスの需給不安膨らむ

8/17(土) 11:59配信

ニュースイッチ

設備の老朽化で稼働率低下、原料調達厳しく

 夏本番となり液化炭酸ガスやドライアイスの需要期を迎えた。液炭は石油精製やアンモニア製造工程の副生ガスとして発生する二酸化炭素(CO2)を原料とするが、近年、老朽化による設備トラブルや製油所の稼働率減少で需給逼迫(ひっぱく)が慢性化している。今年は特に西日本を中心に4月から顕著になっており、液炭を一番多く使用する溶接や飲料用の影響が懸念されている。コスト高などを嫌気する需要家からは、早期解消を望む声が多い。

<西日本で顕著>

 近年の液炭とドライアイスの需要動向は、液炭が年間約80万トン、ドライアイスが同35万トン弱と横ばいで推移する。一方、液炭製品を取り巻く環境は、製油所、アンモニアプラントの統廃合や再編などの影響で調達先が減少し、原料のCO2が不足している。

 関西では主に大阪府内の製油所や化学会社など3カ所から原料のCO2を調達している。液炭会社の中には夏の需要期に備え、液炭の貯蔵タンクを満杯にし、在庫を抱え込む動きもみられる。

 しかし、2019年は西日本地域で調達先の製油所の定期点検・修理補修により稼働率が低下。加えて、化学プラントの液炭供給ラインのトラブルなどが7月まで続いた。このため、大阪ガス子会社の大阪ガスリキッド(大阪市中央区)は「原料調達が例年に比べて厳しく、十分に確保できなかった」という。

<溶接で使用、コスト上昇懸念>

 大阪市内で自動車部品加工を手がける中小企業関係者は「溶接で液炭を使うが、2年間で2度、値上げ幅が各10―15%に達することがあった」と明かす。生産コスト上昇への懸念に加え、今夏は供給不足から仕事が滞ることを恐れている。

 他の液炭各社も調達先の突発的なトラブルが相次ぎ、5月には調達のプラントの一つが20日間も停止する事態に直面した。ただ「液炭不足で顧客の工場稼働を止めるわけにはいかない」(液炭企業関係者)と、ドライアイスの出荷を抑えて液炭に振り向ける動きがある。また、全国展開する液炭会社の中には、他地域の製造拠点や他社から液炭を調達した企業もある。

 それでも対応できない場合は分割納品や納期延期で対応した。大阪府内の液炭2次卸売会社は「急きょ関東の液炭会社から調達した」が、結果として物流コストがかさんだ。

 19年は西日本で液炭の供給懸念が目立ったが、18年は関東で化学プラントの大規模な生産停止があり、液炭の供給不足の影響は今年以上に及んだ。製油所やアンモニア生産設備の減少や老朽化に伴うトラブル、海外移転など、液炭の需給環境は不安定な状況が続く恐れがある。

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最終更新:8/17(土) 18:13
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