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地域にお金落として!活気づく「インフラ観光」

8/17(土) 14:31配信

ニュースイッチ

民間の力で集客力が高まる、抱える重要課題とは

 橋やダムなどの社会インフラを観光資源に位置づけ、地域振興を図る「インフラツーリズム」が活気づいている。埼玉県春日部市の治水施設「首都圏外郭放水路」や淡路島と神戸市をつなぐ吊り橋「明石海峡大橋」などは「SNS映え」施設としても人気を集める。

 国土交通省は観光振興の推進策としてインフラの年間来訪者数を2020年に100万人と17年比で倍増する目標を掲げており、旅行会社は新たな事業機会と期待する。一方、インフラは郊外に単独で立地するケースが多く、周辺地域の活性化には寄与しにくいといった課題も浮き彫りになっている。

 高さ18メートルの巨大な柱を見上げ、見学者たちは一様にスマートフォンで記念写真を撮り始めた―。「首都圏外郭放水路」に設けられた調圧水槽だ。重さ500トンの柱59本が水槽の天井を支える光景は「地下神殿」と呼ばれており、毎月数千人が訪れる。18年8月からは東武トップツアーズ(東京都墨田区)が見学会の企画運営を手がける。旅行会社の知見を生かしてインフラツーリズムの魅力向上に挑む先駆的な存在だ。
 
【首都圏外郭放水路:中川や倉松川など中小河川の洪水を地下に取り込み、地底50メートルを貫く総延長6.3キロメートルのトンネルを通して江戸川に流す、世界最大級の地下放水路。06年に完成した。調圧水槽は地下トンネルから流れてきた水の勢いを弱め、江戸川にスムーズに水を流す役割を担う。地下22メートルの位置に作られており、長さ177メートル、幅78メートル、高さ18メートルにおよぶ。】


 首都圏外郭放水路の観光資源化が本格化したのは16年。内閣府が同年3月にまとめた「明日の日本を支える観光ビジョン」で観光資源としてのインフラの活用拡大がうたわれ、首都圏外郭放水路の活用機運が高まった。施設を所管する国交省関東地方整備局江戸川河川事務所はそれまでも「治水施設に対する国民の理解を深めて減災意識を醸成するため」(岩崎和夫江戸川河川事務所副所長)に見学者を受け入れていたが、受け入れ可能日を拡大した。

 17年には有識者会議を通じてさらなる推進策を策定した。それを受けて地元自治体である春日部市との連携体制「首都圏外郭放水路利活用協議会」を発足した。同協議会は民間の知見を活用するため、公募で選定した東武トップツアーズと18年に連携協定を結んだ。

 東武トップツアーズとしては東武鉄道沿線地域の価値向上を図る狙いがあったほか、インフラツーリズムに新たなビジネスチャンスを感じていた。同社法人営業本部に所属する森正州担当課長は「インフラが見学者に開放され、今まで見られなかった場所が見られるという体験は顧客への訴求力になる。旅行会社として魅力がある」と説明する。

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最終更新:8/17(土) 14:35
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